113 / 500
第4章 入学試験編
第4章ー㉗
しおりを挟む
「リーフさん…?」
「サダメ、あの人って…」
階段に上がるリーフさんの姿を見て、自分とミオはお互い顔を見合わせるや否や驚きの表情を隠せずにいた。彼女もリーフさんの存在は知っていたようで、顔も少しだけ見ていて覚えていたようだ。
にしても、未だに信じられなかった。まさか、あの人がこの学園の理事長だったなんて。てっきり学園のスカウト担当だと思っていた。部活とかしてた時に偶にグラウンドで見かけたおじさんぐらいのものだと思ってた。そんな偉い人がわざわざスカウトしに出回っていたというのか。今考えると、リーフさんに恐れ多い事をしてしまったような罪悪感がちょっとだけ現れてきた。言うほど悪い事をした覚えはないつもりだけど。
『さて、ここで長話なんて退屈するだろうし、そろそろ試験を始めようか』
「えっ?! もう?!」
「つーか、本当にここでやんのかよ?」
「いくらなんでも急すぎるって」
「てか、試験って結局なにするの?」
「こんだけ人いんのに大丈夫かよ?!」
自己紹介を終えたリーフさんは、すぐに試験を始めると皆に告げる。しかし、説明もロクに受けていないせいで受験者達から質問やら不満やらが飛び交い、静まりかけていた会場が再び騒然としてきた。たしかに、急にそんなことを言われてもどうしたらいいのか全くわからない状況だ。せめて事前に説明が入ってもおかしくないはずだが。
『はっはっは、安心したまえ。ちゃんと説明はしてあげるよ。その前に…』
皆が騒いでいる様を笑いながら宥めようとしているリーフさん。随分と落ち着いている様子なのも気になるが、それよりも気になったのはあの人の右手。指を鳴らそうと右手を前に向けていた。なにかするつもりだが、一体なにを…
『会場の準備を済ませてからだね』
するのだろうと気がかりを感じていた矢先、リーフさんの指パッチンが鳴ると、その瞬間、唐突に野原の地面がグニャグニャと波打ち始める。あまりにも突然のことで、皆素人のサーフィンのように必死に体勢を崩さないようバランスを取り出した。自分も必死にバランスを取るが、身動きが全く取れずにいた。
「な、なにコレ?!」
「ミオ! 捕まれ!?」
だが、辛うじて左手だけは動かせそうな自分は、ミオに向かって手を差し伸べた。何か嫌な予感がした自分は、せめて彼女とははぐれないように手を繋ごうと考えた。
「…うっ、ダメ、動けない」
「ッ?! 頑張れ、ミオ!」
しかし、彼女は地面に手を着いて姿勢を安定するが手一杯のようで、片手を動かすのも厳しそうだ。今の彼女の姿は産まれたての小鹿のようだ。それでも自分は、少しでも彼女が手を取りやすいよう腕を伸ばす。かなりギリギリな状態だが、踏ん張れはなんとかイケなくもない。
「うっ、うぅ…」
「ほら、もう少しだ、頑張れ!」
彼女の目先までなんとか伸ばす事が出来、彼女の方も勇気を振り絞ってゆっくりゆっくり手を出そうとしていた。もうちょっとで彼女の手を掴めそうだ。あとちょっと。あとちょっ…
「ッ!?」
「キャッ!?」
とだった。もう少しで手を掴めそうになった瞬間、波打っていた地面が一瞬にして大きな穴へと変貌。惜しくも自分達は手を掴む事が出来ないまま穴へと落っこちって行った。
「サダメ、あの人って…」
階段に上がるリーフさんの姿を見て、自分とミオはお互い顔を見合わせるや否や驚きの表情を隠せずにいた。彼女もリーフさんの存在は知っていたようで、顔も少しだけ見ていて覚えていたようだ。
にしても、未だに信じられなかった。まさか、あの人がこの学園の理事長だったなんて。てっきり学園のスカウト担当だと思っていた。部活とかしてた時に偶にグラウンドで見かけたおじさんぐらいのものだと思ってた。そんな偉い人がわざわざスカウトしに出回っていたというのか。今考えると、リーフさんに恐れ多い事をしてしまったような罪悪感がちょっとだけ現れてきた。言うほど悪い事をした覚えはないつもりだけど。
『さて、ここで長話なんて退屈するだろうし、そろそろ試験を始めようか』
「えっ?! もう?!」
「つーか、本当にここでやんのかよ?」
「いくらなんでも急すぎるって」
「てか、試験って結局なにするの?」
「こんだけ人いんのに大丈夫かよ?!」
自己紹介を終えたリーフさんは、すぐに試験を始めると皆に告げる。しかし、説明もロクに受けていないせいで受験者達から質問やら不満やらが飛び交い、静まりかけていた会場が再び騒然としてきた。たしかに、急にそんなことを言われてもどうしたらいいのか全くわからない状況だ。せめて事前に説明が入ってもおかしくないはずだが。
『はっはっは、安心したまえ。ちゃんと説明はしてあげるよ。その前に…』
皆が騒いでいる様を笑いながら宥めようとしているリーフさん。随分と落ち着いている様子なのも気になるが、それよりも気になったのはあの人の右手。指を鳴らそうと右手を前に向けていた。なにかするつもりだが、一体なにを…
『会場の準備を済ませてからだね』
するのだろうと気がかりを感じていた矢先、リーフさんの指パッチンが鳴ると、その瞬間、唐突に野原の地面がグニャグニャと波打ち始める。あまりにも突然のことで、皆素人のサーフィンのように必死に体勢を崩さないようバランスを取り出した。自分も必死にバランスを取るが、身動きが全く取れずにいた。
「な、なにコレ?!」
「ミオ! 捕まれ!?」
だが、辛うじて左手だけは動かせそうな自分は、ミオに向かって手を差し伸べた。何か嫌な予感がした自分は、せめて彼女とははぐれないように手を繋ごうと考えた。
「…うっ、ダメ、動けない」
「ッ?! 頑張れ、ミオ!」
しかし、彼女は地面に手を着いて姿勢を安定するが手一杯のようで、片手を動かすのも厳しそうだ。今の彼女の姿は産まれたての小鹿のようだ。それでも自分は、少しでも彼女が手を取りやすいよう腕を伸ばす。かなりギリギリな状態だが、踏ん張れはなんとかイケなくもない。
「うっ、うぅ…」
「ほら、もう少しだ、頑張れ!」
彼女の目先までなんとか伸ばす事が出来、彼女の方も勇気を振り絞ってゆっくりゆっくり手を出そうとしていた。もうちょっとで彼女の手を掴めそうだ。あとちょっと。あとちょっ…
「ッ!?」
「キャッ!?」
とだった。もう少しで手を掴めそうになった瞬間、波打っていた地面が一瞬にして大きな穴へと変貌。惜しくも自分達は手を掴む事が出来ないまま穴へと落っこちって行った。
0
あなたにおすすめの小説
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる