174 / 500
第5章 入学編
第5章ー㊲
しおりを挟む
「魔法つーのはいわば運動の一種みたいなもんだ。走る、飛ぶ、投げる、蹴る、泳ぐ。魔法を使うのはそれと同様に疲労と共にパフォーマンスが下がるものだ」
「パフォーマンス?」
「あー、口で説明するのも面倒だし、実際にやってみた方がお前らも分かり易いだろう。おい、そこの赤髪のお前、立て」
「俺、ですか?」
「今ここに居る赤髪はオメー以外に誰がいんだよ? 早く立てや。早く立たねーとぶっ殺すぞ」
「は、はいー!?」
先生は説明の途中、自分を指さし半ば脅すように立つよう促してきた。それより、オーヴェン先生といいこの人といい、ここの学園の教師陣はなんで物騒な物言いしか出来ないのだろうか。もうちょっと言い方というものがあるだろ。あと、受け持ってる生徒の名前ぐらい把握しておいて欲しい…と思ったが、自己紹介の時、この人二日酔いでそれどころじゃなかったか。
「お前、今日見た感じそこそこ体力はあるみてーだが、昨日今日の連日走り込みでだいぶ疲労溜まってるだろ?」
「? はい。そりゃあ一応。まあ…」
「はっきりしねーが、よし。じゃあ、あそこに向かって魔法を撃ってみろ」
「ッ?! 撃っていいんですか?」
「ああ。魔法は好きなもん適当に撃っていい。やってみろ。一応、周りの連中に被害出ない程度にやれよ」
「は、はい!」
立たされた自分に先生は魔法を撃つよう言われた。適当に撃てと言われたから火球でも撃つとするか。威力は三、いや四ぐらいいっても大丈夫そうか?
「爆ぜる焔よ、火《か》の球《きゅう》として聚合《しゅうごう》し、眼前に移りし標的に猛る一投を撃ちかけん。【火球《フレール》】!」
自分は言われた通り誰も居ない野原に向かって右手を突き出し、詠唱を唱える。いつも練習していた通りに火球を放った。
「…あ、れ?」
「…」
初速は上々でサイズも野球ボールサイズに抑えて放った火球は野原を一直線に駆ける…かに見えたが、五十メートルも過ぎない地点でいきなり火球が霧散していく。威力を抑えたとはいえ、物体に一切接触せずに消失したのは初めてだ。どういうことだ? 詠唱も魔法のイメージも今まで通りちゃんと出来ていたはずなのに。
「今、なんで消えちまったか分かるか?」
「い、いえ」
先生から何故消失してしまったのか聞かれるが、全く分からず首を横に振った。すると、先生は煙草の煙を吐き出しながらやれやれと言いたげな表情を浮かべる。勿体ぶらずに言って欲しいのですが。
「何故今の火魔法が途中で霧散してしまったのか。答えは単純。それは、肉体の疲労が原因だ」
「パフォーマンス?」
「あー、口で説明するのも面倒だし、実際にやってみた方がお前らも分かり易いだろう。おい、そこの赤髪のお前、立て」
「俺、ですか?」
「今ここに居る赤髪はオメー以外に誰がいんだよ? 早く立てや。早く立たねーとぶっ殺すぞ」
「は、はいー!?」
先生は説明の途中、自分を指さし半ば脅すように立つよう促してきた。それより、オーヴェン先生といいこの人といい、ここの学園の教師陣はなんで物騒な物言いしか出来ないのだろうか。もうちょっと言い方というものがあるだろ。あと、受け持ってる生徒の名前ぐらい把握しておいて欲しい…と思ったが、自己紹介の時、この人二日酔いでそれどころじゃなかったか。
「お前、今日見た感じそこそこ体力はあるみてーだが、昨日今日の連日走り込みでだいぶ疲労溜まってるだろ?」
「? はい。そりゃあ一応。まあ…」
「はっきりしねーが、よし。じゃあ、あそこに向かって魔法を撃ってみろ」
「ッ?! 撃っていいんですか?」
「ああ。魔法は好きなもん適当に撃っていい。やってみろ。一応、周りの連中に被害出ない程度にやれよ」
「は、はい!」
立たされた自分に先生は魔法を撃つよう言われた。適当に撃てと言われたから火球でも撃つとするか。威力は三、いや四ぐらいいっても大丈夫そうか?
「爆ぜる焔よ、火《か》の球《きゅう》として聚合《しゅうごう》し、眼前に移りし標的に猛る一投を撃ちかけん。【火球《フレール》】!」
自分は言われた通り誰も居ない野原に向かって右手を突き出し、詠唱を唱える。いつも練習していた通りに火球を放った。
「…あ、れ?」
「…」
初速は上々でサイズも野球ボールサイズに抑えて放った火球は野原を一直線に駆ける…かに見えたが、五十メートルも過ぎない地点でいきなり火球が霧散していく。威力を抑えたとはいえ、物体に一切接触せずに消失したのは初めてだ。どういうことだ? 詠唱も魔法のイメージも今まで通りちゃんと出来ていたはずなのに。
「今、なんで消えちまったか分かるか?」
「い、いえ」
先生から何故消失してしまったのか聞かれるが、全く分からず首を横に振った。すると、先生は煙草の煙を吐き出しながらやれやれと言いたげな表情を浮かべる。勿体ぶらずに言って欲しいのですが。
「何故今の火魔法が途中で霧散してしまったのか。答えは単純。それは、肉体の疲労が原因だ」
0
あなたにおすすめの小説
最弱弓術士、全距離支配で最強へ
Y.
ファンタジー
「弓術士? ああ、あの器用貧乏な最弱職のことか」
剣と魔法が全てを決める世界において、弓は「射程は魔法に及ばず、威力は剣に劣る」不遇の武器と蔑まれていた。
若き冒険者リアンは、亡き叔父から譲り受けた一振りの弓「ストーム・ウィスパー」を手に、冒険者の門を叩く。周囲の嘲笑を余所に、彼が秘めていたのは、世界をナノ単位で解析する「化け物じみた集中力」だった。
リアンの放つ一矢は、もはや単なる遠距離攻撃ではない。
風を読み、空間を計算し、敵の急所をミリ単位で射抜く精密射撃。
弓本体に仕込まれたブレードを操り、剣士を圧倒する近接弓術。
そして、魔力の波長を読み取り、呪文そのものを撃ち落とす対魔法技術。
「近距離、中距離、遠距離……俺の射程に逃げ場はない」
孤独な修行の末に辿り着いた「全距離対応型弓術」は、次第に王道パーティやエリート冒険者たちの常識を塗り替えていく。
しかし、その弓には叔父が命を懸けて守り抜いた**「世界の理(ことわり)」を揺るがす秘密**が隠されていた――。
最弱と笑われた少年が、一張の弓で最強へと駆け上がる、至高の異世界アクションファンタジー、開幕!
暗殺者から始まる異世界満喫生活
暇人太一
ファンタジー
異世界に転生したが、欲に目がくらんだ伯爵により嬰児取り違え計画に巻き込まれることに。
流されるままに極貧幽閉生活を過ごし、気づけば暗殺者として優秀な功績を上げていた。
しかし、暗殺者生活は急な終りを迎える。
同僚たちの裏切りによって自分が殺されるはめに。
ところが捨てる神あれば拾う神ありと言うかのように、森で助けてくれた男性の家に迎えられた。
新たな生活は異世界を満喫したい。
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる