転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第6章 初任務編

第6章ー㉖

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 「お前等のすべき事は三つ。一つ、集落の人をなるべく遠くに避難させること。二つ、このブザーを鳴らして応援を呼ぶこと。三つ、それまでの間死なないよう努力すること。もう一つ付け足すなら戦闘は極力避けろ。もし、賊のようなガラの悪い連中を先に見かけた場合でも鳴らしておけ。その方が素早く助けに行けるだろう」

 「あの、それってなんですか?」

 「あ? ああ、そういえば説明してなかったな」

 先生が懐から防犯ブザーのような物を取り出すと、ミオが先生に質問を投げかけた。ナチュラルに話してたが、それがなんなのかは皆知らない。かく言う自分も防犯ブザーにしか見えないだけでそれがなんなのか分かってはいなかった。

 「これは遠方から学園に応援を要請出来る魔道具だ。これを鳴らせば職員室にアラーム音が流れて鳴らした場所を教師陣が特定し、応援を向かわせれるようになっている。各班の代表に一個渡してあるからお前持っとけ」

 「は、はい」

 「言っとくがそれは貴重なもんだ。失くしたり盗られたりするようなヘマはするなよ? 仮に盗まれたりして変に悪用されたりしたら学園側としてとても迷惑だ。分かったな?」

 「…は、はい…」

 自分にその魔道具を渡すと、物凄い圧で忠告してくる先生。よりにもよってなんで自分がそんな貴重な物を預からなければならないんだ、くそ。

 「さて、これで任務の詳細等については大体話せた筈だ。何か質問がある奴は居るか?」

 「…」

 内心自分が舌打ちしているのを余所目に、先生は終わりに入ろうとしていた。一応、大体の事は話してあるから特に聞きたい事はなかった。どうやら皆も同じようで数秒沈黙の時間が流れた。

 「よし。んじゃあこれでミーティングを終了とする。最後に俺から一つだけ言いたい事がある」

 「言いたいこと?」

 質問が無い事を確認した先生は、最後に何か言いたい事があるようだ。何か大事な話なのだろうか。

 「今回の任務は本来、騎士団や冒険者がやるべきレベルの内容だ。それを入って間もない尻の青いガキ共に任せる理事長の気が知れない」

 「…」

 かと思いきや、ただの愚痴らしい。何で自分達が他人の愚痴を聞かねばならないかは分からないが、あんまり茶々入れると先生がキレかねないと思った自分達は静かに聞くことにした。

 「…だが、やるからにはしっかりこなしてこい。この任務をこなせれば、お前達も一皮剥ける筈だ。要するに、頑張って来いってことだ」

 「…先生…」

 更に愚痴を聞かされるかと思ったが、どうやら先生は激励の言葉を送りたかったようだ。改めて思うが、やはりこの人はちゃんと生徒の事考えてるんだな。

 「…拙者、青くないでござる…」

 「「…は?」」

 先生の言葉にしんみりさせられている中、何故かマヒロが席を立った。急にどうしたのかと思い全員の視線が彼女に向くが、一体何の話をしているのか誰も理解出来ていなかった。

 「拙者、尻は青くないでござるよ!? なんなら、確認して見るでござるか?!」

 「ッ!? ちょっとマヒロ?! 何しようとしてるの?!」

 「師範は見てもいないのに拙者達の尻が青いと申したのだぞ?! ならば、拙者の尻が青くない事を証明せねば!」

 「いや、あれは皮肉っていうか…って、ここで脱いじゃ駄目だってー?!」

 『女の子がそんなはしたない事したら駄目だよー!?』

 「おおっ!? それなら俺が確認してやう゛う゛う゛っ!?」

 「アンタは黙ってて!!」

 「…ハア。やっぱこいつらには無理な気がしてきた」

 「…は、ははははは…」

 どうやら尻が青いという比喩表現を馬鹿正直に受け取った彼女は、青くないという事を証明するために自身のスカートに手を掛け始めた。それを必死に止めるミオとフィー。調子に乗って反応するギリスケにミオの鉄拳制裁。その様子を見た先生は呆れ果て、自分は乾いた笑いしか出てこなかった。はたして、この面子で初任務をこなす事が出来るのだろうか。
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