転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第6章 初任務編

第6章ー㉙

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 「…?」

 爆発が起こり、自分達は死んでしまったかに思えた。だが、何故か身体が浮遊している感覚がある。おかしい。浮遊しているならともかく、感覚があるのは変だな。そう思った自分は瞑っていた目を恐る恐る開いた。

 「ッ!? これは?」

 目を開けると、自分達は馬車に乗ったまま。だが、地面を離れ、宙を飛んでいた。一体何が起こった? なんで空を飛んでいる? そもそも自分達は生きてるのか? 状況が飲み込めず、またもや思考がフリーズしかけた。

 『ふー。ギリギリセーフ』

 「ッ?! フィー?! これ、お前が?!」

 フリーズしかけたが、後ろに居たフィーの一言で思考が停止せずに済んだ。今の口振り、どうやら彼女の仕業のようだが、あの一瞬で何をしたのだ。

 『うん。馬が暴れて危なかったから一応結界張っておいたの。まさか地面が爆発して空を飛ぶとは思わなかったけど』

 「結界を? あの一瞬でよく出来たな」

 『【代弁者マスクスピーク】は予め魔法を唱えられるように詠唱とか魔法名を裏側に記録して残してるんだよ。それをセットした状態で魔力を込めればすぐに魔法が使用出来るんだ』

 「つまり、実質無詠唱で魔法を発動で出来るって事か?」

 『ま、ストックは五本までだし、切り替えるのに少しコツがいるから覚えないと無駄に時間掛かって普通に詠唱するよりめんどくなるけどね』

 「いや、結構便利な魔道具っすね」

 『それはそうと、衝撃に備えた方がいいよ』

 どうやら彼女は直前に結界を張ってくれたらしく、そのおかげで爆発から身を守れたようだ。よく見ると、薄っすらとガラスのような箱に閉じ込められていた。簡易的な結界とはいえ、爆発を防げる程の耐久力、それだけの結界を一瞬で張ってしまう彼女の魔道具はかなり優秀だ。無論、それを使いこなして自分達の身を守ってくれた彼女も凄い。彼女が居なければ間違いなく今ので全滅していただろう。

 『おうっと』

 「ぐっ!?」

 宙を飛んでいた馬車が勢いよく着地。着地の反動で馬車が思いっきり跳ねたが、なんとか地上に辿り着けたようだ。

 「はあ。ありがとうフィー。おかげで助かったよ」

 『ふっふっふ、もっと私を褒め称えよ、って言いたい所だけど、皆大丈夫?』

 「う、うん。私はなんとか」

 「おろー? なんか奇妙な感覚で目が回ったでござるぅ」

 「んっ、んん…」

 自分がフィーに礼を言うと、皆の状況を確認する。自分とフィーはとりあえず無事。ミオも大丈夫そうだ。マヒロは爆発でいきなり宙に飛ばされて気分が悪くなったようだ。ギリスケの方は…こいつ、あんな事があったにも関わらず、まだ寝ていやがった。なんで今ので起きなかったのか全くもって不思議なのだが。
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