転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安

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第6章 初任務編

第6章ー㊻

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 『はっ! 食い止めて見せるだあ?! やれるもんならやってみろやー!!』

 「くっ!?」

 怒り心頭の男は真正面から再び錘を投げつけて来た。今度はなんとか裁いたでござるが、この武器、流星錘でござるな。下手をすれば頭蓋骨すら砕いてしまうという恐ろしい武器。現に拙者もさっきの一撃だけで肋骨を数本折られてしまった。故に何度も受けるのは危険。刃物や銃よりも厄介な武器でござるな。

 『ははははは、俺が身に着けてるマントは魔力感知すらさせないぐらい完璧に気配を消すことが出来るんだ。そんな俺の攻撃を捉えるなんてできやしねーよ!』

 「…」

 その上、あやつには気配を消す魔道具もある。これではどこから攻撃が来るか分からぬ。非常にマズイ状況でござるな。

 それに、今は魔妖ではなく雷電を使用している為、魔法もロクに使えぬ。魔妖さえあればこのような状況…




          『刀は所詮、借り物の力に過ぎぬ』

 「ッ!?」

 なんとかなる、などと考えていると、ふと『あの人』が脳裏を過った。拙者に剣術を教えてくれた師範。どこか冷たく厳しいお方ではあったが、あの人の教えは凄く勉強になった。

 師範はあの言葉の後、こう続けた。刃物で心臓を突き刺す事は剣術をかじらぬ幼子でも出来る。己の真の力を発揮するのは、鈍《なまくら》でも岩を斬れるだけの技巧であると。

 その言葉を思い出し、ハッとさせられた。拙者は今まで魔妖に頼りすぎていた。それだと魔剣の力を己の力だと錯覚していたにすぎぬ。

 「…ふー」

 それだけでは駄目でござる。もっと強い相手と戦う時、基師範を超える等到底無理でござる。一度深呼吸をし、目を瞑って冷静になる。

 拙者が今手にしているのは魔剣ではござらん。しかし、この刀で魔剣にも劣らぬ力を見せれば、拙者も真の強さを発揮することが出来るやもしれぬ。

 『おいおいおい。どうした、目なんか瞑ってー!? どっから飛んで来るか分からなくて怖気づいちまったかー?! はっはっはっ、所詮はガキだな。俺達を止めるだなんだ言っておきながら口先だけかよ?! これだからガキは嫌いなんだよ!』

 「…」

 耳を澄ましても奴の声があちこちから聞こえてくる故奴の位置を把握出来ぬ。恐らく、そこら中に拡声器を仕込んでいるのでござろう。耳を頼りにしても居場所は探れぬな。匂いも他の者の体臭やら爆発時の焦げ臭い煙の匂いが散乱している為、同様に不可能。肉眼で捉えようとしても奇妙に動く物陰がない。あやつ、相当手慣れておるのだろう。今のあやつは完全に透明人間と化しておる。忍もこれには度肝を抜かれるであろうな。

 五感が頼れぬ以上、あやつを捉えられる方法は一つ。それであやつの攻撃を捉え、この名刀・雷電であやつの武器を斬ってみせる。
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