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第7章 期末試験編
第7章ー㉕
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「はあっ!」
「ピエ――――――――!!!」
大鷹が上昇する前に刀を振る。突きでは僅かな高低差で深く突き刺さらずに致命傷を与えられない。なら、横薙ぎで腹を掻っ捌いた方が致命傷を与えやすい。
「ピエ――――――――!!!」
「ッ!? くっ!?」
しかし、刀を振る丁度の間合いで拙者の上昇速度がピタッと止まってしまった。あと一歩、あと一歩という所で届かない。もう少しだというのに。悔しい。悔しすぎる。
「…くそ」
段々あやつとの距離が遠のいていく。向こうは油断せずにどんどん上昇していく。一方の拙者は逆にどんどん降下しておる。流石にあそこまで距離を離されてはどうしようもない。そこで拙者は敗北を悟ってしまった。
「…すまぬ。フィー殿」
落下していく最中、ふとフィー殿に謝罪の言葉を呟いていた。手は打ち尽くした。それでもあやつを倒せなかった。拙者はここまででござるな。せめて、フィー殿だけでも受かってくれればよいのだが。
『マズイ。大鷹《ホーク》、それ以上高度を上げては駄目だ!』
「…?」
拙者が諦めかけている中、地上に居るライラック師範の声が聞こえてきた。大鷹になにか注意喚起をしているようだが、あれ以上上昇したらどうなってしまうのだ?
「ピエ―!?」
「ッ?!」
と思っていた矢先に事態は急変。遥か上空へと上昇していた大鷹だが、見えない何かに激突し、気を失ったかのように急降下していく。何が起こったのでござる? 師範は直前に予期していたようでござるが。
「…はっ、そういえば…」
そこで思い出す。この学園全体に目に見えぬ結界が張っており、外部からの攻撃や野生の魔物等の襲撃を防ぐ効果があるそうな。
だが、それは内部からでも同じ事。内部に居る魔物も外に逃げ出す事は不可能。つまり、大鷹はその結界に激突してしまったのだ。恐らくあやつはそれを知らなかったのでござろう。もしくは、拙者に気を取られすぎてそこまで頭に入っていなかったか。
「…」
物凄い勢いで降下しておる。その瞬間、拙者は考える。これは好機なのではござらんか、と。向こうの失態とはいえ、勝負に運は付き物。この絶好の好機、逃すのは勿体ない。
「…まだ、諦める訳にはいかぬ」
意識が戻るまでどのくらい掛かるかは分からぬが、降下している間にあやつの元まで行けば届く筈。拙者も降下している最中でござるが、まだ届きそうな建物が残っておる。
となれば、考える事はただ一つ。あやつが意識を取り戻す前になんとかして辿り着き、今度こそ致命傷の一撃を与えてみせる。
「ピエ――――――――!!!」
大鷹が上昇する前に刀を振る。突きでは僅かな高低差で深く突き刺さらずに致命傷を与えられない。なら、横薙ぎで腹を掻っ捌いた方が致命傷を与えやすい。
「ピエ――――――――!!!」
「ッ!? くっ!?」
しかし、刀を振る丁度の間合いで拙者の上昇速度がピタッと止まってしまった。あと一歩、あと一歩という所で届かない。もう少しだというのに。悔しい。悔しすぎる。
「…くそ」
段々あやつとの距離が遠のいていく。向こうは油断せずにどんどん上昇していく。一方の拙者は逆にどんどん降下しておる。流石にあそこまで距離を離されてはどうしようもない。そこで拙者は敗北を悟ってしまった。
「…すまぬ。フィー殿」
落下していく最中、ふとフィー殿に謝罪の言葉を呟いていた。手は打ち尽くした。それでもあやつを倒せなかった。拙者はここまででござるな。せめて、フィー殿だけでも受かってくれればよいのだが。
『マズイ。大鷹《ホーク》、それ以上高度を上げては駄目だ!』
「…?」
拙者が諦めかけている中、地上に居るライラック師範の声が聞こえてきた。大鷹になにか注意喚起をしているようだが、あれ以上上昇したらどうなってしまうのだ?
「ピエ―!?」
「ッ?!」
と思っていた矢先に事態は急変。遥か上空へと上昇していた大鷹だが、見えない何かに激突し、気を失ったかのように急降下していく。何が起こったのでござる? 師範は直前に予期していたようでござるが。
「…はっ、そういえば…」
そこで思い出す。この学園全体に目に見えぬ結界が張っており、外部からの攻撃や野生の魔物等の襲撃を防ぐ効果があるそうな。
だが、それは内部からでも同じ事。内部に居る魔物も外に逃げ出す事は不可能。つまり、大鷹はその結界に激突してしまったのだ。恐らくあやつはそれを知らなかったのでござろう。もしくは、拙者に気を取られすぎてそこまで頭に入っていなかったか。
「…」
物凄い勢いで降下しておる。その瞬間、拙者は考える。これは好機なのではござらんか、と。向こうの失態とはいえ、勝負に運は付き物。この絶好の好機、逃すのは勿体ない。
「…まだ、諦める訳にはいかぬ」
意識が戻るまでどのくらい掛かるかは分からぬが、降下している間にあやつの元まで行けば届く筈。拙者も降下している最中でござるが、まだ届きそうな建物が残っておる。
となれば、考える事はただ一つ。あやつが意識を取り戻す前になんとかして辿り着き、今度こそ致命傷の一撃を与えてみせる。
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