BLOOD HERO'S

慶名 安

文字の大きさ
28 / 120
episode3 「風神の豪鬼」

episode3#14「夜の集い」

しおりを挟む
 ---豪鬼の最後のトレーニングが終わったその日の夜、志村のところに豪鬼、柑菜、涼子、細谷の4人が集められた。

 「ホッントひやひやしましたよ。もう少しで殺しちゃいそうだったじゃないですかー!」

 柑菜は豪鬼に向かって説教を垂れる。

 「お前さんも人んこと言えた立場か。お前も殺す気でやってたやないのー」

 「ゔっ、それは…」

 豪鬼の発言に柑菜は何も言い返せなかった。

 「でも炎美君が一命をとりとめてよかったです」

 涼子はホッとしたかの様に言った。あの後、炎美はスグに医務室に連れていかれ緊急手術をすることになったのだ。幸い命に別状はなかったそうだが、暫くは動けそうになかった。

 「全く、豪鬼さんは人が悪すぎる。危うく折角入ってきた貴重な新人を失うとこだったよ」

 志村は皮肉っぽく言った。

 「わーっとるよ! もうあんなマネしねーよ」

 豪鬼は葉巻に火を点けながらそう返した。

 「…でも豪鬼さんが本気を出すなんて珍しいねー」

 志村はメガネを上げながら豪鬼に問いかけた。

 「ああ、そやのー。何年ぶりかのー」

 豪鬼は自分の右手を閉めたり開いたりしながら見つめていた。

 「あの時、何考えてたの?」

 志村はさらに問い詰めてみたが豪鬼は暫く黙ってから口を開いた。

 「…振り返った時、アイツの目が一瞬殺気を放っておった。本気で殺しに掛かってくる奴の眼やったわ。せやからこっちもムキになってしもうた」

 豪鬼はそう言うと吸っていた葉巻を握り潰した。

 「せやけどアイツは強よーなるでー! ここの誰よりよものー」

 「それって私よりも?」

 豪鬼の発言に誰よりも先に志村が聞き返した。

 「さあのー。それは分からへん」

 「矛盾してるなー、その発言」

 曖昧な返事をされて困った顔をする志村。

 「それぐらい期待出来るっちゅう意味や!」

 そう言うと再び葉巻を取り出し火を点けた。

 「でも正直あそこまで成長したのはビックリしたよ! これはひとえに指導者の賜物のお陰かな?」

 志村は豪鬼を見てクスリと笑いながら冗談をかました。

 「いや、ワシは何もしとらんよ。アイツが諦めずコツコツ頑張ってきた証拠じゃろ」

 豪鬼は炎美を高く評価した。最初の頃は力を使うとスグに倒れていたのにたった1カ月で急成長を遂げた炎美を大層気に入ってしまった様だ。

 「それはそうとして私達を集めたのはどういう了見ですか? 局長」

 すると今まで黙っていた細谷がようやく口を開いた。

 「ああゴメンよ、君達を呼んだのはその炎美君の事について分かった事があるんだ」

 そして彼等は衝撃の事実を知ることになったのだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。

さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています? ※更新について 不定期となります。 暖かく見守って頂ければ幸いです。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...