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Episode8 聖遺物を求めて
第48話 分身の力
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「…国王を逃がしたか………まぁ良い」
「セレスタ王は、そなたたちを倒してから、ゆっくりと始末するとしよう」
雷雲から出現した金色に輝く槍を持ち、二人のインドゥーラが俺とアルモに近づいてくる。
「………どうやら、俺の力量では、奴を倒すことは難しいらしい…」
俺は、インドゥーラと対峙し、奴の力に押されて自分の得物が情けなくカタカタと震えている光景を思い出していた。
「だが…致命傷を受けることなく、奴と対峙することはできると思う」
「…君がインドゥーラの攻撃を防いでいる間に、私が本体を倒すことができれば…」
「ああ。分身の方は消滅する………違うか!?」
力が同じとは言え、一方は結局のところ、本体の魔力を使って作られた分身に過ぎない。
ということは、本体が倒されれば、魔力で作られた分身も消滅する、という訳だ。
「これまで、多くの我が同胞を屠ってきただけのことはあるな。そなたの言う通り、分身は本体が倒されれば消滅するであろう」
「だが、我が本体を、そこの女が倒すことなどできぬぞ!」
“ピカァーーーン!!”
次の瞬間、二人のインドゥーラが持つ槍と、アルモの全身がほぼ同時に眩い光を放ち始めた。
「アルモ!!」
「大丈夫!クレスの鎧が、剣・盾・冠と、私の気持ちに反応しているだけよ!」
「ほほぅ。だが、小細工でどうにかなる我ではないぞ!」
「小細工かどうか、試してみれば良いのではなくって!?」
「その減らず口を、今から叩けないようにしてくれるわ!!」
“ザザッ”
アルモの挑発に乗った一方のインドゥーラが、アルモめがけて突撃する。
「分身は、君に任せたわよ!!」
“ザザッ”
挑発に乗ったインドゥーラが本体であると認識したアルモも、自身に向かってくるインドゥーラに向かって突撃を繰り出した。
***
「…全く、我が主は血の気が多くていけない。女の言うことなど、捨て置けばよいものを…」
俺とアルモが分身と判断したインドゥーラが、捨て台詞を吐くように言い放つ。
「…ならば、やはりお前は…」
「ああ、お主らの言う通り、我は我が主の分身。男よ…自らの力量を図り、女に命運を託したところまでは誉めてやろう。だが、お主の力量で、分身である我を凌げるなど、それはまるで夢物語であったと、今知るが良い!!」
恐らくは、槍も分身の一部なのであろう。アルモと激闘を繰り広げているインドゥーラ本体のように、分身が持つ槍の刀身は輝いてはいなかったが、その鋭い切っ先で屠られたら常人であればひとたまりもないだろうと思った矢先、それが俺を薙ぎ払おうと弧を描いた。
“ブゥン!!”
“スタッ!タッタッタッ…”
俺はその一撃を間一髪でかわし、奴と距離を取った。
“ザザッ!”
“ブゥン!!”
だが、奴も間髪入れずに地面を蹴ると、俺が取った間合いを一瞬にして埋め、次の一撃を繰り出した。
“ギィン!!”
体制が整わないままかわすのは無理だと判断した俺は、ショートソードで奴の攻撃を防ぐ。
“カタカタカタカタ…”
俺の得物の刀身が、情けなく震える。
「ぐぬぬぬぬぬ…」
俺は力を込めて奴を押し返そうとするが、それを叶えることができず、身体には疲労感だけがどんどんと蓄積されていく。
「ふぅん!!」
そして、それを知ってか知らずか、奴は槍に力を籠めると、受け止められていたショートソードを俺もろとも押し飛ばした。
“ヒュン!!”
“ドサッ”
「ぐはっ!」
再び宙に舞った俺の身体は近くにあった岩に激突し、口から紅(くれない)の液体が吐き出され、地面を紅く染めた。
“タッタッタッ…”
気は失っていないものの、朦朧(もうろう)とする意識の中、その場に立てずにいる俺の元へ、奴の足音が少しずつ近づいてくるのが分かった。
「(…奴の言う通り、俺は奴の攻撃を防ぐことすら叶わないのか…)」
“タッタッタッ…”
奴の足音が、俺を屠ろうと刻一刻と大きくなっていく。
“カチャリ…”
「ぐはっ!……ゲホゲホ…」
俺はショートソードを杖代わりにしてその場に立ったものの、再び吐血し、その場の地面を紅く染めた。
“タッタッタッ………カチャリ…”
だが、奴との間合いを取ることができなかった俺の喉元に、奴の刀身が当てられた。
「2回も我が攻撃をもろに受け、それでもその場に立つことができるとは………だが、それもここまでだ。我が槍の錆となるがい…」
俺への最後の罵声を言い切るか切らないかところで、奴はまるで魔法にでもかかったかのように停止する。
“スタッ”
その瞬間を見逃さなかった俺は、力を振り絞って2、3歩後退し、奴との間合いを取ることに成功した。
「…」
「……」
「………我が本体がそこまで押されていようとは………わかった」
“ザザッ!”
本体と交信をしていたのであろう。奴はぶつぶつと独り言を言ったかと思うと、その場を蹴り、再び俺の間合いに入ろうとする。
「“アコード!逃げてぇぇ!!!!”」
「…」
俺の頭の中に、アルモから精神感応(テレパシー)が届いたものの、その警告に応えることができなかった俺は次の瞬間、視界を失っていたのだった。
「セレスタ王は、そなたたちを倒してから、ゆっくりと始末するとしよう」
雷雲から出現した金色に輝く槍を持ち、二人のインドゥーラが俺とアルモに近づいてくる。
「………どうやら、俺の力量では、奴を倒すことは難しいらしい…」
俺は、インドゥーラと対峙し、奴の力に押されて自分の得物が情けなくカタカタと震えている光景を思い出していた。
「だが…致命傷を受けることなく、奴と対峙することはできると思う」
「…君がインドゥーラの攻撃を防いでいる間に、私が本体を倒すことができれば…」
「ああ。分身の方は消滅する………違うか!?」
力が同じとは言え、一方は結局のところ、本体の魔力を使って作られた分身に過ぎない。
ということは、本体が倒されれば、魔力で作られた分身も消滅する、という訳だ。
「これまで、多くの我が同胞を屠ってきただけのことはあるな。そなたの言う通り、分身は本体が倒されれば消滅するであろう」
「だが、我が本体を、そこの女が倒すことなどできぬぞ!」
“ピカァーーーン!!”
次の瞬間、二人のインドゥーラが持つ槍と、アルモの全身がほぼ同時に眩い光を放ち始めた。
「アルモ!!」
「大丈夫!クレスの鎧が、剣・盾・冠と、私の気持ちに反応しているだけよ!」
「ほほぅ。だが、小細工でどうにかなる我ではないぞ!」
「小細工かどうか、試してみれば良いのではなくって!?」
「その減らず口を、今から叩けないようにしてくれるわ!!」
“ザザッ”
アルモの挑発に乗った一方のインドゥーラが、アルモめがけて突撃する。
「分身は、君に任せたわよ!!」
“ザザッ”
挑発に乗ったインドゥーラが本体であると認識したアルモも、自身に向かってくるインドゥーラに向かって突撃を繰り出した。
***
「…全く、我が主は血の気が多くていけない。女の言うことなど、捨て置けばよいものを…」
俺とアルモが分身と判断したインドゥーラが、捨て台詞を吐くように言い放つ。
「…ならば、やはりお前は…」
「ああ、お主らの言う通り、我は我が主の分身。男よ…自らの力量を図り、女に命運を託したところまでは誉めてやろう。だが、お主の力量で、分身である我を凌げるなど、それはまるで夢物語であったと、今知るが良い!!」
恐らくは、槍も分身の一部なのであろう。アルモと激闘を繰り広げているインドゥーラ本体のように、分身が持つ槍の刀身は輝いてはいなかったが、その鋭い切っ先で屠られたら常人であればひとたまりもないだろうと思った矢先、それが俺を薙ぎ払おうと弧を描いた。
“ブゥン!!”
“スタッ!タッタッタッ…”
俺はその一撃を間一髪でかわし、奴と距離を取った。
“ザザッ!”
“ブゥン!!”
だが、奴も間髪入れずに地面を蹴ると、俺が取った間合いを一瞬にして埋め、次の一撃を繰り出した。
“ギィン!!”
体制が整わないままかわすのは無理だと判断した俺は、ショートソードで奴の攻撃を防ぐ。
“カタカタカタカタ…”
俺の得物の刀身が、情けなく震える。
「ぐぬぬぬぬぬ…」
俺は力を込めて奴を押し返そうとするが、それを叶えることができず、身体には疲労感だけがどんどんと蓄積されていく。
「ふぅん!!」
そして、それを知ってか知らずか、奴は槍に力を籠めると、受け止められていたショートソードを俺もろとも押し飛ばした。
“ヒュン!!”
“ドサッ”
「ぐはっ!」
再び宙に舞った俺の身体は近くにあった岩に激突し、口から紅(くれない)の液体が吐き出され、地面を紅く染めた。
“タッタッタッ…”
気は失っていないものの、朦朧(もうろう)とする意識の中、その場に立てずにいる俺の元へ、奴の足音が少しずつ近づいてくるのが分かった。
「(…奴の言う通り、俺は奴の攻撃を防ぐことすら叶わないのか…)」
“タッタッタッ…”
奴の足音が、俺を屠ろうと刻一刻と大きくなっていく。
“カチャリ…”
「ぐはっ!……ゲホゲホ…」
俺はショートソードを杖代わりにしてその場に立ったものの、再び吐血し、その場の地面を紅く染めた。
“タッタッタッ………カチャリ…”
だが、奴との間合いを取ることができなかった俺の喉元に、奴の刀身が当てられた。
「2回も我が攻撃をもろに受け、それでもその場に立つことができるとは………だが、それもここまでだ。我が槍の錆となるがい…」
俺への最後の罵声を言い切るか切らないかところで、奴はまるで魔法にでもかかったかのように停止する。
“スタッ”
その瞬間を見逃さなかった俺は、力を振り絞って2、3歩後退し、奴との間合いを取ることに成功した。
「…」
「……」
「………我が本体がそこまで押されていようとは………わかった」
“ザザッ!”
本体と交信をしていたのであろう。奴はぶつぶつと独り言を言ったかと思うと、その場を蹴り、再び俺の間合いに入ろうとする。
「“アコード!逃げてぇぇ!!!!”」
「…」
俺の頭の中に、アルモから精神感応(テレパシー)が届いたものの、その警告に応えることができなかった俺は次の瞬間、視界を失っていたのだった。
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