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けやき商編 第1章 出会い
第1話 けやき祭
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「遅れてすまない。準備はどうなっている!?」
「おう。もうすぐ終わるぞ」
「そうか…。何とか間に合いそうだな…」
ここは、都立けやき商業高等学校第2OA教室。
年に1度の文化祭「けやき祭」の準備で、いつもは静かなOA教室はてんやわんやになっていた。
俺は、沢継煉。都立けやき商業高等学校パソコン部の副部長を任されている。 けやき商パソコン部は、年に3回、春、秋、冬にWeb上で開催される、日文新聞社主催「日文パソコン入力スピード大会」での上位入賞、そして、夏に行われる全国大会での団体優勝を目指した部活動を行っている。この大会は、日文新聞社の新聞記事を10分間で入力し、正確に入力できた文字数によって競われる大会で、商業高校を始めとした日本の多くの高校生が参加している大会だ。
けやき商パソコン部は、俺が入学する1年前に全国大会で団体初優勝を果たし、今まで連覇を成し遂げていた。
俺も、今年の夏の全国大会で選手として参加。団体優勝、個人準優勝の栄冠を勝ち取った。
そんな、けやき商パソコン部では、今年のけやき祭で「全国優勝者にチャレンジ!けやき商入力スピード大会」と銘打って、俺や個人優勝をした部長に、パソコンの入力スピードに挑戦する大会を企画した。
ところが、クラスの出し物の準備に追われていた俺は、立案者であるにも関わらず、部活の準備に全く手が回っていなかった。だが、現部長の的確な指示で、俺がOA教室に到着するころには、すっかり準備が終わっていた。
「煉。遅いじゃないか!」
「部長。すいません。クラスの準備が終わらなくて…」
「煉のクラスは、確かステンドグラスを使った出し物だったよな」
「ええ。俺の分はとっくの昔に終わっているんですけど…」
「まあいい。お前の企画案がしっかりしていたお陰で、準備はほとんど終わっている。あとは、開始時刻を待つだけだ」
「そうみたいですね。本当にすいませんでした」
部長に平謝りをしていると、後ろから聞き覚えのある声に呼ばれた。
「煉先輩!」
彼女は、嶋尻真琴。けやき商の1年で、パソコン部の部員だ。今年の大会では、新入部員であるにも関わらず個人で3位に入賞し、早くも再来年度の部長とまで囁かれている。
「真琴。準備に参加できなくてすまない」
「いいえ。クラスの準備が終わっているみんなで終わらせましたから、大丈夫ですよ!」
「ありがとう」
「それよりも、今日こそ部長さんをギャフンと言わせるんですよね」
「真琴!それは…」
「何だって!?煉、お前がこの私に勝てると思っているのか?」
「部長…。いや、全国大会では苦汁を飲みましたが、今日は負けませんよ!」
「よし、いいだろう。次期部長のお前の実力、しっかり見させてもらおうか…」
「部長さん、私だっているんですからね。敵は煉先輩だけじゃないんですよ!」
「そうだったな。煉には負けたとしても、新入部員の真琴に負ける訳にはいかないな!」
「部長!準備が全て整いました!」
「煉先輩と真琴ちゃんも、自分の席に座って!」
部員達の声に促され、俺達は普段自分たちが座っている席に着いた。
それと同時に、OA教室に備え付けられたスピーカーから校内放送が響き渡った。
“本日は「けやき祭」にお越し頂き、まことにありがとうございます!只今から、パソコン部による「けやき商入力スピード大会」を開催致します。パソコンの入力スピードの大会で、全国優勝から3位に輝いたつわものが、皆様の挑戦をお待ちしております。ぜひ、A館3階第2OA教室まで足をお運び下さい!!”
放送が入るや否や、OA教室の外が騒がしくなった。
「私たち3人は、けやき商はおろか、全国的にも有名になったからなぁ。校内の挑戦者は少ないかも知れないが、来場者からの挑戦は多いかもな」
「そうですね。日文新聞にも取材受けましたし、大会の直後はテレビの取材も受けましたしね。そうだ!煉先輩。私の妹が、この大会に参加するって言ってましたよ!」
「えっ、真琴の妹って、中学3年の?」
「はいっ!今年、けやき商を受験するって言ってました!」
「そうなんだ。こりゃ、ライバルが増えそうだな…」
“ガラガラガラ”
OA教室の扉が開き、外の受付で手続きを済ませた挑戦者たちがOA教室内に入ってきた。
「挑戦者の皆様は、受付で渡されたカードに記載された端末の席にお座り下さい」
「全員が着席しましたら、開会式を始めさせて頂きます!」
案内係の部員に促され、挑戦者たちが所定の場所に着席していく。
そんな中、煉達が座っている席に近づく人影があった。
「お姉!約束通り参加しに来たよ!!」
「おう。もうすぐ終わるぞ」
「そうか…。何とか間に合いそうだな…」
ここは、都立けやき商業高等学校第2OA教室。
年に1度の文化祭「けやき祭」の準備で、いつもは静かなOA教室はてんやわんやになっていた。
俺は、沢継煉。都立けやき商業高等学校パソコン部の副部長を任されている。 けやき商パソコン部は、年に3回、春、秋、冬にWeb上で開催される、日文新聞社主催「日文パソコン入力スピード大会」での上位入賞、そして、夏に行われる全国大会での団体優勝を目指した部活動を行っている。この大会は、日文新聞社の新聞記事を10分間で入力し、正確に入力できた文字数によって競われる大会で、商業高校を始めとした日本の多くの高校生が参加している大会だ。
けやき商パソコン部は、俺が入学する1年前に全国大会で団体初優勝を果たし、今まで連覇を成し遂げていた。
俺も、今年の夏の全国大会で選手として参加。団体優勝、個人準優勝の栄冠を勝ち取った。
そんな、けやき商パソコン部では、今年のけやき祭で「全国優勝者にチャレンジ!けやき商入力スピード大会」と銘打って、俺や個人優勝をした部長に、パソコンの入力スピードに挑戦する大会を企画した。
ところが、クラスの出し物の準備に追われていた俺は、立案者であるにも関わらず、部活の準備に全く手が回っていなかった。だが、現部長の的確な指示で、俺がOA教室に到着するころには、すっかり準備が終わっていた。
「煉。遅いじゃないか!」
「部長。すいません。クラスの準備が終わらなくて…」
「煉のクラスは、確かステンドグラスを使った出し物だったよな」
「ええ。俺の分はとっくの昔に終わっているんですけど…」
「まあいい。お前の企画案がしっかりしていたお陰で、準備はほとんど終わっている。あとは、開始時刻を待つだけだ」
「そうみたいですね。本当にすいませんでした」
部長に平謝りをしていると、後ろから聞き覚えのある声に呼ばれた。
「煉先輩!」
彼女は、嶋尻真琴。けやき商の1年で、パソコン部の部員だ。今年の大会では、新入部員であるにも関わらず個人で3位に入賞し、早くも再来年度の部長とまで囁かれている。
「真琴。準備に参加できなくてすまない」
「いいえ。クラスの準備が終わっているみんなで終わらせましたから、大丈夫ですよ!」
「ありがとう」
「それよりも、今日こそ部長さんをギャフンと言わせるんですよね」
「真琴!それは…」
「何だって!?煉、お前がこの私に勝てると思っているのか?」
「部長…。いや、全国大会では苦汁を飲みましたが、今日は負けませんよ!」
「よし、いいだろう。次期部長のお前の実力、しっかり見させてもらおうか…」
「部長さん、私だっているんですからね。敵は煉先輩だけじゃないんですよ!」
「そうだったな。煉には負けたとしても、新入部員の真琴に負ける訳にはいかないな!」
「部長!準備が全て整いました!」
「煉先輩と真琴ちゃんも、自分の席に座って!」
部員達の声に促され、俺達は普段自分たちが座っている席に着いた。
それと同時に、OA教室に備え付けられたスピーカーから校内放送が響き渡った。
“本日は「けやき祭」にお越し頂き、まことにありがとうございます!只今から、パソコン部による「けやき商入力スピード大会」を開催致します。パソコンの入力スピードの大会で、全国優勝から3位に輝いたつわものが、皆様の挑戦をお待ちしております。ぜひ、A館3階第2OA教室まで足をお運び下さい!!”
放送が入るや否や、OA教室の外が騒がしくなった。
「私たち3人は、けやき商はおろか、全国的にも有名になったからなぁ。校内の挑戦者は少ないかも知れないが、来場者からの挑戦は多いかもな」
「そうですね。日文新聞にも取材受けましたし、大会の直後はテレビの取材も受けましたしね。そうだ!煉先輩。私の妹が、この大会に参加するって言ってましたよ!」
「えっ、真琴の妹って、中学3年の?」
「はいっ!今年、けやき商を受験するって言ってました!」
「そうなんだ。こりゃ、ライバルが増えそうだな…」
“ガラガラガラ”
OA教室の扉が開き、外の受付で手続きを済ませた挑戦者たちがOA教室内に入ってきた。
「挑戦者の皆様は、受付で渡されたカードに記載された端末の席にお座り下さい」
「全員が着席しましたら、開会式を始めさせて頂きます!」
案内係の部員に促され、挑戦者たちが所定の場所に着席していく。
そんな中、煉達が座っている席に近づく人影があった。
「お姉!約束通り参加しに来たよ!!」
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