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秘書技能編
capture08 職務知識-秘書の役割と機能-
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ある日の嶋尻家にて…
”ザザザ…”
『番組の途中ですが、ここで報道特番をお送り致します…』
「えぇ~。ちょうど良いところだったのにぃ…」
美琴が、残念そうにテレビの画面を見ながらぼやいている。
「…仕方ないでしょ。美琴、朝のニュース、チェックしなかったの!?」
「朝のニュース?」
「ほら。有名な議員の汚職事件の話よ」
「あぁ。そんなこと、あったような無かったような…」
「あんたって娘は…」
『東京地検特捜部は、本日午前10時ちょうどに◯◯議員宅に家宅捜索のメスを入れ、◯◯議員の現役議員秘書A容疑者を公職選挙法違反の罪で逮捕しました!』
「…やっぱり、秘書が逮捕される事態になったわね…」
「ねぇお姉。議員本人は逮捕されないのかなぁ…」
「…恐らく、『秘書がやったことで、自分は知らない』の一点張りで、事態の収拾を図るでしょうね…」
「そっか…『秘書』っていうのは、上司の罪も被らなくちゃいけない職業なんだね…」
「えっと………美琴、そうじゃないわよ」
「違うの!?」
「国会議員の秘書は『直接補佐型秘書』と言われていて、別名『参謀型秘書』とも言われるわ。上司が忙しい時は代わってお客様と面談したり、上司に意見を述べたりと、上司の頭脳として自身の持つ専門的な知識や見識で、上司に影響力を持つ秘書なの」
「秘書に、上司の機能の一部が移転されているって感じ?」
「そうね。会社の社長秘書にもそういう人がいるらしいけど、ほとんどの場合は『間接補佐型秘書』で、上司の雑務や身の回りの世話などをして、間接的に補佐をすることが多いわね」
「…でもさ、ドラマで『秘書課』を舞台にしたのがあったじゃん!?あれは、どういうことなんだろう?」
「あれは、大きな会社で重役がたくさんいて、一人一人に秘書をつけるのが大変だから『秘書課』っていう部署を設けて、重役に対する秘書業務を効率化しているパターンね。この場合も、秘書課の秘書の仕事は、基本的に『間接補佐型秘書』になるわ」
***
秘書は、『所属』『上司の職種』『担当任務』によって、さまざまな形に分類することができます。
真琴さんと美琴さんの会話以外にも…
『所属による分類』
・個人付き秘書 → 特定の個人につく秘書。個人専属のため、仕事の範囲が限定。
・秘書課秘書
・兼務秘書 → 部長・課長などのミドルマネジメントに付く秘書で、部門内の業務をしながら上司の補佐を行う。
・チーム秘書 → プロジェクトチームや研究チームに付く秘書。チーム全体を補佐。
『上司の職種による分類』
・公務員関係の秘書 → 大臣や高官の秘書・知事の秘書・議員秘書 等
・自由業や専門職の秘書 → 法律秘書や医療秘書・会計士や税理士の秘書・作家やタレント、大学教授の秘書等
・外資系商社や大使館の秘書 → 支店長秘書や外交官秘書等。外国語や海外事情に対する詳しい知識が求められる
『担当任務による分類』
・直接補佐型秘書
・間接補佐型秘書
のような分類の仕方ができます。
***
「そう言えば、あのドラマの中で、秘書が会社に大きな損失を出すようなミスをして、その上司が責任を取って左遷されるってシーンがあったよね」
「そうね。秘書の責任は上司の責任。もちろん、上司の責任は上司の責任なんだけど、だからこそ秘書という仕事は、失敗すると対外的には上司の責任になってしまう、とても重要な仕事なのよ」
***
上司は、利潤を追求するという企業の目的を実現するため、様々な意思決定をし、企業の期待に応えていくという機能があります。
一方、秘書は上司が本来の役割に専念できるよう、上司が行うべき様々な雑務や身の回りの世話を引き受けるなどして、上司を補佐する機能があります。
その中で、秘書が起こしたミスは、対外的には上司のミスとなるため、その責任も上司が担うことになります。故に、秘書の仕事は、ミスの許されない、大変重要な仕事であると言えます。
***
「だから、秘書って仕事は『自分で判断する範囲と、上司に判断を仰ぐべき事柄を正確に理解しておく』必要があるの」
「…でも、それって、一般社員にも言えることなんじゃない?」
「その通りね。だから、秘書検定は社会人になる前の学生が受験しておくと、仕事の仕方を事前に学ぶことができる、良い機会になる訳」
「そうかぁ…ていうことは、自分だけで処理していい仕事と、上司に判断をしてもらう仕事を正確に理解した上で、上司ともコミュニケーションを図りながら仕事を進める必要があるってことだよねぇ」
「そういうこと。だから、上司のことを理解して、良好な関係を築いておくことも、仕事をする上では不可欠になるわね」
***
秘書の職務遂行における基本姿勢は、真琴さんが述べていたように『自分で判断する範囲と上司に判断を仰ぐべき事柄を正確に理解する』にあります。
この理解があって、初めて秘書の仕事を遂行できると言っても過言ではありません。
・定型業務以外は上司の指示や許可を受ける(=日常的に行う定型業務は、事前にどうするかを上司と相談しておき、都度上司には確認しない)
・上司不在の際は、上司の代理か秘書課長等に相談して指示を仰ぐ
・仕事に主観的な解釈や感情は持ち込まない(=仕事を軽視する・不得意な仕事や面倒な仕事を後回しにする・勝手な解釈で行動する等はNG)
この3点を念頭に、業務を遂行することが秘書には求められます。
また、上司を理解し、良好な関係を築くためには…
・上司の基本的な人物像をつかんでおく(=仕事関係・生活環境・人物特性等)
・上司の信頼を得る(=仕事を中心とした人間関係・対話の機会を密にする・上司の私事に深く立ち入らない・機密を守る等)
ことが大きなポイントとなります。
***
『………さらに、新しい情報が入りました。◯◯議員本人も、公職選挙法違反で逮捕とのことです!繰り返します!!◯◯議員も、公職選挙法違反で…』
「…結果的に、秘書の失敗に対して、上司が責任をとった形になったわね…」
「秘書が勝手な判断をしてこうなったのか…議員が秘書に指示をしてこうなったのか‥」
「…いずれにしても、秘書って仕事は、とても大変な仕事なんだってことがハッキリしたな…」
「秘書に限らず、社会人の心構えとして必要なことなんだから、さっき話していたこと、忘れない方が良いわよ!」
「は~~い」
capture09 に続く
~検定問題にチャレンジ!~
次は秘書が、上司の仕事の手助けや身の回りの世話などをする上で知っておく必要のあることである。中から『不適当』と思われるものを1つ選びなさい。
(第97回 秘書技能検定 3級問題より)
「1.家族構成」
「2.学歴と職歴」
「3.社内での評判」
「4.趣味や嗜好品(その人の好みによって味わい楽しむ飲食物(酒・コーヒー等)のこと)」
「5.仕事以外の所属団体」
『不適当』な選択肢は…
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
「3.社内での評判」
~解説~
「秘書の仕事は、上司の仕事の手助けや身の回りの世話をすることです。社内での評判などは、仕事をする上で必要のない、余計なことなので不適当ということになります」
”ザザザ…”
『番組の途中ですが、ここで報道特番をお送り致します…』
「えぇ~。ちょうど良いところだったのにぃ…」
美琴が、残念そうにテレビの画面を見ながらぼやいている。
「…仕方ないでしょ。美琴、朝のニュース、チェックしなかったの!?」
「朝のニュース?」
「ほら。有名な議員の汚職事件の話よ」
「あぁ。そんなこと、あったような無かったような…」
「あんたって娘は…」
『東京地検特捜部は、本日午前10時ちょうどに◯◯議員宅に家宅捜索のメスを入れ、◯◯議員の現役議員秘書A容疑者を公職選挙法違反の罪で逮捕しました!』
「…やっぱり、秘書が逮捕される事態になったわね…」
「ねぇお姉。議員本人は逮捕されないのかなぁ…」
「…恐らく、『秘書がやったことで、自分は知らない』の一点張りで、事態の収拾を図るでしょうね…」
「そっか…『秘書』っていうのは、上司の罪も被らなくちゃいけない職業なんだね…」
「えっと………美琴、そうじゃないわよ」
「違うの!?」
「国会議員の秘書は『直接補佐型秘書』と言われていて、別名『参謀型秘書』とも言われるわ。上司が忙しい時は代わってお客様と面談したり、上司に意見を述べたりと、上司の頭脳として自身の持つ専門的な知識や見識で、上司に影響力を持つ秘書なの」
「秘書に、上司の機能の一部が移転されているって感じ?」
「そうね。会社の社長秘書にもそういう人がいるらしいけど、ほとんどの場合は『間接補佐型秘書』で、上司の雑務や身の回りの世話などをして、間接的に補佐をすることが多いわね」
「…でもさ、ドラマで『秘書課』を舞台にしたのがあったじゃん!?あれは、どういうことなんだろう?」
「あれは、大きな会社で重役がたくさんいて、一人一人に秘書をつけるのが大変だから『秘書課』っていう部署を設けて、重役に対する秘書業務を効率化しているパターンね。この場合も、秘書課の秘書の仕事は、基本的に『間接補佐型秘書』になるわ」
***
秘書は、『所属』『上司の職種』『担当任務』によって、さまざまな形に分類することができます。
真琴さんと美琴さんの会話以外にも…
『所属による分類』
・個人付き秘書 → 特定の個人につく秘書。個人専属のため、仕事の範囲が限定。
・秘書課秘書
・兼務秘書 → 部長・課長などのミドルマネジメントに付く秘書で、部門内の業務をしながら上司の補佐を行う。
・チーム秘書 → プロジェクトチームや研究チームに付く秘書。チーム全体を補佐。
『上司の職種による分類』
・公務員関係の秘書 → 大臣や高官の秘書・知事の秘書・議員秘書 等
・自由業や専門職の秘書 → 法律秘書や医療秘書・会計士や税理士の秘書・作家やタレント、大学教授の秘書等
・外資系商社や大使館の秘書 → 支店長秘書や外交官秘書等。外国語や海外事情に対する詳しい知識が求められる
『担当任務による分類』
・直接補佐型秘書
・間接補佐型秘書
のような分類の仕方ができます。
***
「そう言えば、あのドラマの中で、秘書が会社に大きな損失を出すようなミスをして、その上司が責任を取って左遷されるってシーンがあったよね」
「そうね。秘書の責任は上司の責任。もちろん、上司の責任は上司の責任なんだけど、だからこそ秘書という仕事は、失敗すると対外的には上司の責任になってしまう、とても重要な仕事なのよ」
***
上司は、利潤を追求するという企業の目的を実現するため、様々な意思決定をし、企業の期待に応えていくという機能があります。
一方、秘書は上司が本来の役割に専念できるよう、上司が行うべき様々な雑務や身の回りの世話を引き受けるなどして、上司を補佐する機能があります。
その中で、秘書が起こしたミスは、対外的には上司のミスとなるため、その責任も上司が担うことになります。故に、秘書の仕事は、ミスの許されない、大変重要な仕事であると言えます。
***
「だから、秘書って仕事は『自分で判断する範囲と、上司に判断を仰ぐべき事柄を正確に理解しておく』必要があるの」
「…でも、それって、一般社員にも言えることなんじゃない?」
「その通りね。だから、秘書検定は社会人になる前の学生が受験しておくと、仕事の仕方を事前に学ぶことができる、良い機会になる訳」
「そうかぁ…ていうことは、自分だけで処理していい仕事と、上司に判断をしてもらう仕事を正確に理解した上で、上司ともコミュニケーションを図りながら仕事を進める必要があるってことだよねぇ」
「そういうこと。だから、上司のことを理解して、良好な関係を築いておくことも、仕事をする上では不可欠になるわね」
***
秘書の職務遂行における基本姿勢は、真琴さんが述べていたように『自分で判断する範囲と上司に判断を仰ぐべき事柄を正確に理解する』にあります。
この理解があって、初めて秘書の仕事を遂行できると言っても過言ではありません。
・定型業務以外は上司の指示や許可を受ける(=日常的に行う定型業務は、事前にどうするかを上司と相談しておき、都度上司には確認しない)
・上司不在の際は、上司の代理か秘書課長等に相談して指示を仰ぐ
・仕事に主観的な解釈や感情は持ち込まない(=仕事を軽視する・不得意な仕事や面倒な仕事を後回しにする・勝手な解釈で行動する等はNG)
この3点を念頭に、業務を遂行することが秘書には求められます。
また、上司を理解し、良好な関係を築くためには…
・上司の基本的な人物像をつかんでおく(=仕事関係・生活環境・人物特性等)
・上司の信頼を得る(=仕事を中心とした人間関係・対話の機会を密にする・上司の私事に深く立ち入らない・機密を守る等)
ことが大きなポイントとなります。
***
『………さらに、新しい情報が入りました。◯◯議員本人も、公職選挙法違反で逮捕とのことです!繰り返します!!◯◯議員も、公職選挙法違反で…』
「…結果的に、秘書の失敗に対して、上司が責任をとった形になったわね…」
「秘書が勝手な判断をしてこうなったのか…議員が秘書に指示をしてこうなったのか‥」
「…いずれにしても、秘書って仕事は、とても大変な仕事なんだってことがハッキリしたな…」
「秘書に限らず、社会人の心構えとして必要なことなんだから、さっき話していたこと、忘れない方が良いわよ!」
「は~~い」
capture09 に続く
~検定問題にチャレンジ!~
次は秘書が、上司の仕事の手助けや身の回りの世話などをする上で知っておく必要のあることである。中から『不適当』と思われるものを1つ選びなさい。
(第97回 秘書技能検定 3級問題より)
「1.家族構成」
「2.学歴と職歴」
「3.社内での評判」
「4.趣味や嗜好品(その人の好みによって味わい楽しむ飲食物(酒・コーヒー等)のこと)」
「5.仕事以外の所属団体」
『不適当』な選択肢は…
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
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↓
「3.社内での評判」
~解説~
「秘書の仕事は、上司の仕事の手助けや身の回りの世話をすることです。社内での評判などは、仕事をする上で必要のない、余計なことなので不適当ということになります」
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