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工業簿記編
chapter23 「個別原価計算-仕損品・仕損費-」って何!?
しおりを挟むある日の嶋尻家のキッチンにて…
「キャー!!!」
「美琴!どうしたの!?」
ママが目線を下に落とすと、私がひっくり返してしまった料理の残骸が散らばっている。
「手が滑って、フライパンを落としちゃったの…」
「ケガはしていない?」
「うん、大丈夫。ママ、ごめんなさい…」
「なんか凄い音が聞こえたけど…」
「美琴がね…料理中のフライパンを落としちゃったのよ…」
「ほんと、あんたはドジね…ケガはしなかったの?」
「だいじょ~ぶ!」
「ならいいけど…」
「真琴も悪いけど、片付けるの手伝ってちょうだい」
「お母さん、分かったわ!」
「それにしても、これじゃ今日の昼食は、全部作り直しね…」
「そうだね…ママとお姉には悪いけど、片付けたらまた作り直すから、少し待ってて」
「修正できないほどダメになっちゃったから、最初から作り直す…片付けながらで何だけど、美琴、覚えがあるんじゃない!?」
「それ、この前の工業簿記の授業でやったよ!「仕損費」のことでしょ!?」
「それそれ。個別原価計算で、生産物の加工に失敗して、製品としては認められないモノが完成した時に発生する勘定科目ね」
「美琴がフライパンをひっくり返してダメにした今回の料理みたいな例が、工場で発生した場合に使うわ」
「ただ、工場でそれが発生した場合は、その不合格品に資産価値がある場合には「仕損品」として処理し、その評価額と製造原価の差額が「仕損費」になるわね」
「じゃあ例えば、製造原価 10,000 仕損品評価額 3,000 の場合は…
(借方(左側))仕損品 3,000
仕損費 7,000
/
(貸方(右側))仕掛品 10,000
みたいな仕訳をするって事!?」
「そういうことになるわね」
「ちなみに、製品の製造に失敗した場合、通常は新しい製造指図書を発行して代用品を製造することになるけど、その際、新しい製造指図書にこの「仕損費」を持っていくことになるわ」
「そっか~じゃあ、結局新しい製造指図書で…
(借方(左側))仕掛品 7,000
/
(貸方(右側))仕損費 7,000
みたいな仕訳をすることになるんだね!」
「母さんは簿記のことはちっともわからないけど、例えば…「料理の味付けに失敗して、予定よりも余計に材料や調味料を使って料理を完成させた」なんてことが、あなたたちが話していた工業簿記の世界で起こることなんて…ないかな?」
「ママ!!それも、この前「仕損費」で処理するって、戸山先生が言ってたよ!!」
「あらやだ!そうなの!!」
「確か…
(借方(左側))仕損費 10,000
/
(貸方(右側))材料 10,000
みたいな仕訳になったはず!!」
「その通りね」
「作り直さず、材料や賃金を消費して「補修」すれば製品が完成する程度の仕損の場合には「補修指図書」というものが発行されて、仕損品になりかけている仕掛品の補修が行われるわ」
「その際に、美琴が言ったような仕訳が行われて、最終的にその「仕損費」は、全損の時と同様に「仕掛品」に振り替えられるわ」
「結果的には、「仕損費」勘定は使われない(製造原価に算入する)、ってことだね!!」
「検定の問題によっては『「仕損費」は使用しないで仕訳しなさい』的に出題されることもある位だし、ね」
「さてさて、これ以上嶋尻家でも「仕損費」が発生しないよう、美琴、昼食の準備、頼んだわよ!!」
「私も手伝うわ!」
「ありがとう!お姉!!」
chapter24 に続く
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