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(別軸・魔王・受け同名)
本編
しおりを挟む「うまっ!」
側近のイヴォルから与えられる菓子をベッドの上で寝転がったまま頬張りだらだら過ごすのが俺様の日常だ。
服はぼーっとしてたら勝手に着替えさせてくれるし、体だって自分で洗ったこともない。魔法の力が弱すぎて鍛えたところで無意味だと思って、家庭教師の呼びかけを無視し続けていたらいつの間にか何も言われなくなっていた。
マナーもだめ、ダンスなんかできないし、丁寧な言葉だって使えない。親が寿命で死んだ後お飾りの魔王になりはしたけれど、執務も何もかもイヴォルがやってくれている。
もうイヴォルが魔王でよくないかって何度か聞いたけどそういうわけにもいかないようだ。
「カロ様、今日も最高に愛らしいですね。カロ様が食べたいっておねだりしてくださったマカロン、まだまだご用意しておりますよ」
「も、もういい…口の中甘いし、もう平気だ」
「そうですか…」
イヴォルは俺様を溺愛していて、俺様もイヴォルのことが大好きだ。イヴォルの愛はきっと親愛だけど俺様のは違う。イヴォルと、いつか恋仲になりたいんだ。
こんなに毎日可愛い可愛い愛らしいなんて言われて好きになるなと言う方が無理だ。
だけどイヴォルに対して一つだけ不満があった。イヴォルは俺様を魔王城の外に出してくれない。
外の世界は危険だからって言って閉じ込められて、ずっと傍で見守られている。イヴォルが不在の日はなかなか訪れなくて、俺様の代わりに他の種族の国に訪問する時ぐらいだ。だからその日を狙ってこっそり外に出て、少しだけ外界を見てみることにした。日中は他の魔族も俺様を監視しているけれど、夜中寝る時だけ監視が薄くなる。その時がチャンスだ。ほんの数十分だけならきっと大丈夫。そう思っていたのに。
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人間界に下りて数分、森を散策している途中で背後から心臓を矢で貫かれ一撃で絶命。外に出たことを後悔しながら息絶えたと思ったが、何故か目覚めることに成功した。
しかし、体がやけに大きい。まるで青年期の悪魔のようだ。
翼も小さく使い物にならなかったのに、今は斜め後ろを振り向いただけで少し見える程になっている。
明らかに自分の体じゃない、ただ生き返ったわけではなさそうだ。
何はともあれ意識がある、それだけで十分だ。イヴォルがきっと心配しているから早く戻らなきゃ。
「いや…ここどこだ?」
周りを見渡すと、出店が立ち並び多くの魔族で賑わっている通りだった。上を見上げると、少し離れた場所に見覚えのある城が確認できた。ということは、ここは話に聞いていた城下町か。
右も左も串焼きや見たことのない菓子で溢れていて夢のようだけれど、生憎金を持っていない。誘惑を振り切り、城を目指して浮遊する。
「うわ、すごいすごいっ、早く飛べるぞっ!」
普通の悪魔はこんなにも早く飛べるのか。今までふわふわのろのろ浮かぶことしか出来なかったのに、感動だ。
前世の俺様は本当に何も出来ない奴だったんだ、イヴォルはそんな俺様でもずっと大切に優しくしてくれてなんて良い奴なんだろう。イヴォルが悲しんでたらどうしよう、そもそもここは前世と同じ世界なんて保証もないし、俺様が死んでから何千年も経ってたらおしまいだ。
城の庭に向かって飛べば見えない壁に激突する。そうか、今の俺様じゃここには入れないのか。仕方ない、門から行くしかない。
渋々門まで向かい入ろうとすれば、当然城の警備に止められる。
「ここに何の用だ」
「おお、ご苦労。俺様はカロだ、死んでしまったがこうして生まれ変わった。姿は違うだろうが、まぁ雰囲気や気配で分かるな?通してくれ」
「魔王様が行方不明なのをいいことに、デタラメを話す輩はお前だけではない。今すぐ立ち去れ」
「なっ、無礼だぞ!お前じゃ話にならない、イヴォルを出せ!」
何度説得しても聞く耳を持たない兵が段々と恐ろしくなり、目の端に涙が溜まっていく。反論することも出来ず、手を握りしめて下を向くしかなくなった時、背後から声がかかった。
「何事ですか」
「ッ、イヴォル様。この輩が魔王様の名を騙り城へ侵入しようと、」
「違う!俺様がカロだ!分からないのか!?姿が違っても俺様は俺様だろう!…!イヴォル!イヴォル、迎えに来てくれたんだな!よかった、早く部屋に、」
イヴォルに近づき手を伸ばすが、強い力で跳ね飛ばされそのまま向かいの壁に激突する。
内臓が潰れるような衝撃に呼吸が止まり、地面にぐしゃりと崩れ落ちてそのまま何度も咳き込み口から血が吐き出される。顔を上げると、宙に浮いた鋭い無数の氷の刃が俺様に向けられていた。
「…カロ様の口調を模倣しておいて正解でしたね、少しだけ猶予をあげます。早く立ち去りなさい」
「ひ、いぃっ…!」
俺様がカロの生まれ変わりだって分からないのか、イヴォルは俺様を殺そうとしている。猶予ってなんだ、なんで俺様ここから逃げなくちゃいけないんだ?模倣って…俺様そのものなのに、なんでイヴォルは…
「っ、はぁっ……はぁっ……」
大量の血を流しながら城から必死に遠ざかる。この後どうしたらいいんだ、金もないし、働き方なんて分からない、このまま死ぬしかないのか?無駄に延命してしまったのか?
もう一度言ってイヴォルを説得するか?でも今度こそ殺されるかもしれない…どうしよう、どうしよう…。
城下町まで戻り、何とか路地裏まで逃げ込むが意識が朦朧とする。頭が揺れて頭痛が酷い、血の気も引いてきた。
ああ、俺様また死ぬのか、今度は好きなやつに殺されて…。
「しにたくない、また、会いたい、イヴォル…」
そのまま意識が遠のき、完全に視界が暗転した。
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「っ……う゛ぐ……っ、ぁ、…、あ?」
後ろの穴に何かが挿入されている違和感と同時に目が覚める。酷い頭痛と吐き気に襲われながら霞む視界で必死に状況を理解しようとする。砂利で背中が擦れて痛い、誰かに揺さぶられている、男の声がする、1人、2人、…4人…?
「、っ、ん゛、ぉ゛っ♡♡」
勢いよく奥を貫かれ、全身に甘い痺れが駆け巡って脳が震える。中に、はいってる、俺様なんで、犯されてるんだ、痛い、体中、痛い。服全部剥がされてて、後ろから別の男に両手首掴まれて逃げられない、動けない。
「うわ起きた」
「起きた?本当だ。こいつ暴れんぞ、押さえつけとけ」
「ん゛ひぃ゛いっ♡♡♡お゛ッ♡♡おごっ♡♡お゛~~♡♡♡」
中にたっぷり種付けされて、ずるりと肉棒を抜かれるとごぼごぼ大量の精液が溢れ出す。体が異常に熱い、風が吹いた刺激で感じるほど全身が敏感になっている。痙攣が止まらない、頭が真っ白で、耳鳴りが酷い、寝てる間にどれだけ犯されたんだろう、俺様、何回イって、
「ひぎぃ゛いぃ゛っ♡♡♡ほ、ッ、ぉ゛♡♡♡」
「お、潮吹いたわ」
「ごめんな坊主、具合良かったぜ。ヤク打っといて正解だったな」
「ぐッッッ♡♡げぇ゛ッ♡♡♡」
腹を強く踏み付けられ勢いよく穴に溜まった精液が吹き出し、ゲラゲラと男たちの笑い声が響く。
「どうする、また使えるように縛っとくか?」
「体に使用料書いて放置したら小銭稼げんじゃね?」
「ギャハハ!お前最低だな」
「ん゛ぉっ♡♡、ん、ぃ゛い♡♡っ♡♡」
膝を曲げ開脚した状態で片手足を纏めて縛られ、反対側も同様に拘束される。男の1人が捨てられていた酒の空き瓶の先っぽを後ろの穴に当てて、グリグリ奥まで押し込んでくる。ミチミチ音を立てながら中を無理矢理押し広げられて、しこりがぎゅーって押しつぶされた。頭の中ぴりぴり痺れて体が小さくかたかた震え出す。じわじわ刺激が蓄積して、ビクンっと大きく全身が跳ねる。
「お゛ッッ♡♡♡…ッ~~…♡♡い゛、ぐ、っ♡♡♡」
「んじゃ、大人しくしとけよ」
「ぁ゛…ッ♡♡ま゛っ、へ、ぇ…っ、♡♡はじゅ、ひ、…っ♡♡」
足音が遠ざかり、視界も奪われ身動きもできない状態で放置される。そのうちまた別の奴らが来て犯されて、腕に薬を打たれて、また別の奴らが来て、経験したことのないほどの恐怖と快楽に侵され続けて何度気が触れそうになったかわからない。
「ん゛っ、…♡♡ぁ゛、…お゛く、ひゅり゛…♡♡♡」
大丈夫だ、きっと大丈夫、イヴォルが気が付かないはずない。昔小説で読んだことがある、こうしてピンチの時、大好きな人が必ず駆けつけてくれるんだ。
少しすれば、耐えていればイヴォルの声が聞こえるはず。
「も゛ぉ゛おかひゃな゛ぃれ゛ぇっ♡♡だじゅげでッ♡♡♡い゛う゛ぉるぅッッ♡♡」
まだ来ないのか?まだ、待っていればいいのか?何日経ったのかわからない、もうしにたい、しにたいのに、魔力、精液いっぱいそそがれて、しねない、お薬、欲しい、気持ちいい、早く打って、苦しい、頼む、イヴォル助けて、壊れる、壊れる、俺様、このままじゃ、
「や゛ぁぁ゛いぐッ♡い゛ぐッッ♡♡♡」
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