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最終話
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部屋に閉じこもってから三日が経った。スマホは電源を切っているわけでも無いのに連絡は一つも来ない。
本当に俺は邪魔者だったんだなと嫌でも実感してしまう。
でも、もうそんなことは関係無い。
俺には、天野がいるんだから。
━━━━━━
もうあれから既に一ヶ月程経過しているがやはり連絡も何も来ない。
出席していないのだから不審に思われる筈なのにも関わらずだ。
ただ単に落ちぶれた元生徒会長なんてどうでもいいのだろうか。
まぁ…。天野が帰ってきたら軽く尋ねることにしようか。
━━━━━━
「なぁ、天野。例えFクラスだろうと、ここまで欠席しているのに連絡も何も無しなのはおかしいぞ。
お前が何か上手く言ってくれたにしても、一声もかからないのは流石に…」
恐る恐る尋ねれば、言い忘れてた!と言うような顔をし、天野は思い出したように話し出した。
「あぁ、それか!それなら心配すること無いぞ!!爺ちゃんに俺がちゃんとお前のことを伝えておいたんだ。だから連絡が無いのは当然だ、気にするなって!」
その言い方だと、まるで天野の祖父がこの学園の上の立場の人間のように聞こえる。
まて、この学園の理事長の苗字は天野だ。
あぁ、なるほど。確かにそうか。そういうことだったのか。
それなら理事長の孫の立場にいる天野なら俺がリコールされることを止めることが出来たのではないだろうかとおかしな考えが浮かび上がったがそれはすぐにかき消された。
学園の生徒達からの同意に教師や風紀、役員達のサイン。
これらを理事長という立場だからと言って覆してしまえば相当なバッシングを受けることになる。天野が声をかけてもかけなくても結果は同じだった。
そんなことを考えるなんて、俺は一体どうしてしまったんだろう。優しさに甘えすぎて贅沢になってきているのか。
いくら甘えても慰められても、もっともっとと欲しくなる程、心地が良い。
ずっとこのままどろどろに甘やかしてほしくなる。
━━━━━━
それから更に2週間程経った頃、天野から正式にアプローチされたことで晴れて恋人同士となり、関係はより一層親密なモノとなっていた。
なにか他に大切な気持ちを持っていた気がするけれど、ぬるま湯に浸かっているような生活に思考が蕩けてどうにも思い出せなかった。
「天野、傍にいてくれてありがとう。俺、もらってばっかり…。なにか、してほしいことはあるか?俺、なにも出来ないかもしれないけど、なにか…」
いつも貰ってばかりの俺でも少しでも俺からも天野を満たすことができれば。
意を決してそう言えば、
天野は少し考えた後意地悪そうな笑顔を俺に向けてきた
「なら、今日は春のこと俺の好きにしていい?」
耳元で囁かれ、ゾクゾクっと甘い痺れが体中に広がり肩がビクンと跳ねる。
この声の時の天野は苦手だ。いつもの騒がしい様子とは違ってゆっくりと体に毒を染み込ませていくように優しく優しく囁いてくる。
なんでも言うことを聞いてしまいたくなるような、そんな甘い声に為す術もなく頷く。
「…いいよ…あまのの、すきにして…♡♡おれのぜんぶ、あまののものにして…♡」
ついこの間まであんなに好きだった誰かの顔が思い出せない、気持ちも何も、思い出せない。
今はただ天野が好きで好きで頭がおかしくなりそうだ。
俺から天野に触れるだけのキスをすれば、すぐさま頭を押さえつけられ噛み付くようなキスに変えられた。
押さえつけていた手は次第に頭を撫でるような動きに変わり、快楽でどうにかなりそうになる。
「よしよし、春は撫でられるのが好きだな。可愛い、可愛い春。俺だけの春。
俺がずっとずっと守ってやるからな」
天野は初めはこういった性格ではなかったが、俺を守りたいという気持ちがいつしか愛情や独占欲と錯覚しごちゃごちゃになってしまったのか、俺を溺愛し、何かから守るように四六時中抱きしめてくる。
どこか歪んでしまっているけれど、俺はそんな天野に愛されるのが幸せで幸せで堪らない。
スマホのバイブレーションが、ここ最近何故かずっと止まらなかった。
まぁ、いいか。もう関係の無いことだし、スマホも使わない。電源も後で切ってしまおう。
天野、天野。俺のこと、ずっとずっと守ってくれよ。
「だいすきだよ、天野…♡♡♡」
※元会長が完全にメンタルブレイクしました。
風紀委員長の余計なあの言葉さえ無ければこうはならなかった…。
取り敢えず話は一旦ここで終わりです。
噂を流したのは言わずもがな副会長。信じ込んだお馬鹿は風紀委員長その他役員。
番外編の投稿をすっかり忘れて放置していたので、確認出来次第風紀委員長視点の物を更新します
2022/03/14/修正
本当に俺は邪魔者だったんだなと嫌でも実感してしまう。
でも、もうそんなことは関係無い。
俺には、天野がいるんだから。
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もうあれから既に一ヶ月程経過しているがやはり連絡も何も来ない。
出席していないのだから不審に思われる筈なのにも関わらずだ。
ただ単に落ちぶれた元生徒会長なんてどうでもいいのだろうか。
まぁ…。天野が帰ってきたら軽く尋ねることにしようか。
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「なぁ、天野。例えFクラスだろうと、ここまで欠席しているのに連絡も何も無しなのはおかしいぞ。
お前が何か上手く言ってくれたにしても、一声もかからないのは流石に…」
恐る恐る尋ねれば、言い忘れてた!と言うような顔をし、天野は思い出したように話し出した。
「あぁ、それか!それなら心配すること無いぞ!!爺ちゃんに俺がちゃんとお前のことを伝えておいたんだ。だから連絡が無いのは当然だ、気にするなって!」
その言い方だと、まるで天野の祖父がこの学園の上の立場の人間のように聞こえる。
まて、この学園の理事長の苗字は天野だ。
あぁ、なるほど。確かにそうか。そういうことだったのか。
それなら理事長の孫の立場にいる天野なら俺がリコールされることを止めることが出来たのではないだろうかとおかしな考えが浮かび上がったがそれはすぐにかき消された。
学園の生徒達からの同意に教師や風紀、役員達のサイン。
これらを理事長という立場だからと言って覆してしまえば相当なバッシングを受けることになる。天野が声をかけてもかけなくても結果は同じだった。
そんなことを考えるなんて、俺は一体どうしてしまったんだろう。優しさに甘えすぎて贅沢になってきているのか。
いくら甘えても慰められても、もっともっとと欲しくなる程、心地が良い。
ずっとこのままどろどろに甘やかしてほしくなる。
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それから更に2週間程経った頃、天野から正式にアプローチされたことで晴れて恋人同士となり、関係はより一層親密なモノとなっていた。
なにか他に大切な気持ちを持っていた気がするけれど、ぬるま湯に浸かっているような生活に思考が蕩けてどうにも思い出せなかった。
「天野、傍にいてくれてありがとう。俺、もらってばっかり…。なにか、してほしいことはあるか?俺、なにも出来ないかもしれないけど、なにか…」
いつも貰ってばかりの俺でも少しでも俺からも天野を満たすことができれば。
意を決してそう言えば、
天野は少し考えた後意地悪そうな笑顔を俺に向けてきた
「なら、今日は春のこと俺の好きにしていい?」
耳元で囁かれ、ゾクゾクっと甘い痺れが体中に広がり肩がビクンと跳ねる。
この声の時の天野は苦手だ。いつもの騒がしい様子とは違ってゆっくりと体に毒を染み込ませていくように優しく優しく囁いてくる。
なんでも言うことを聞いてしまいたくなるような、そんな甘い声に為す術もなく頷く。
「…いいよ…あまのの、すきにして…♡♡おれのぜんぶ、あまののものにして…♡」
ついこの間まであんなに好きだった誰かの顔が思い出せない、気持ちも何も、思い出せない。
今はただ天野が好きで好きで頭がおかしくなりそうだ。
俺から天野に触れるだけのキスをすれば、すぐさま頭を押さえつけられ噛み付くようなキスに変えられた。
押さえつけていた手は次第に頭を撫でるような動きに変わり、快楽でどうにかなりそうになる。
「よしよし、春は撫でられるのが好きだな。可愛い、可愛い春。俺だけの春。
俺がずっとずっと守ってやるからな」
天野は初めはこういった性格ではなかったが、俺を守りたいという気持ちがいつしか愛情や独占欲と錯覚しごちゃごちゃになってしまったのか、俺を溺愛し、何かから守るように四六時中抱きしめてくる。
どこか歪んでしまっているけれど、俺はそんな天野に愛されるのが幸せで幸せで堪らない。
スマホのバイブレーションが、ここ最近何故かずっと止まらなかった。
まぁ、いいか。もう関係の無いことだし、スマホも使わない。電源も後で切ってしまおう。
天野、天野。俺のこと、ずっとずっと守ってくれよ。
「だいすきだよ、天野…♡♡♡」
※元会長が完全にメンタルブレイクしました。
風紀委員長の余計なあの言葉さえ無ければこうはならなかった…。
取り敢えず話は一旦ここで終わりです。
噂を流したのは言わずもがな副会長。信じ込んだお馬鹿は風紀委員長その他役員。
番外編の投稿をすっかり忘れて放置していたので、確認出来次第風紀委員長視点の物を更新します
2022/03/14/修正
応援ありがとうございます!
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