リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット

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第六節 リアラルト訓練学校編

第122幕 学校長との対面

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 アウラン先生に連れられてやってきたのは、やはり学校長室だった。
 勇者を討伐したというこの重要な案件……一般の職員にはとても荷が重いものだろう。

「学校長先生ー、いらっしゃいますかー?」

 扉をたたきながら大きな声で向こうにいるであろう学校長に話しかけてるが……それで聞こえているのだろうか?

「入ってきなさい」

 なんでわざわざ大声で返さなければならないのか……そんなうんざりとしたような調子が感じられる声で、扉の向こう側から呼びかけられ、アウラン先生は意気揚々とその扉を開く。

「失礼しまーす」

 学校長室は大きな執務机が一つと、俺たち側にソファとそれと同じ程度の高さの長テーブルが一つ。
 執務机の方では仕事している……金髪の男性が目に入った。

「まったく、少しは扉を開けるということを覚えたらどうです?
 うるさいことこの上ない」
「ですが、学校長室の扉を許可なく開ける……というのもどうかなーと……」

 微妙そうな顔で頬を掻きながら入るアウラン先生に習って、俺たちも扉の前で頭を下げてから部屋の中に入っていく。

『失礼します』
「ああ、君たちは礼儀正しいね。うん」
「学校長……それじゃ私が礼儀正しくないみたいじゃないですか……」

 悲しげな声を上げているアウラン先生の事は若干無視するような形で、学校長は俺たちのことをにこやかな表情で見ている……が、その目は全く笑っていない。

 何かを観察するようなその目は……恐らくヒッポグリフの平原に勇者がいたことまでは掴んでいるのだろう。
 俺とミシェラの二人に様子を見るような視線を向け、この二人が……とでもいうかのような期待を宿しているようにも感じた。

「……ああ、すまない。新人がくると、どうしても、ね。
 特に期待のある子には、つい見てしまうんですよ」

 あはは、と笑いながら手に持っていた書類にサインを終えると、こちらに話を聞くかのように背もたれに上体を預けていた。

「それで、学校長先生。じつは……」

 アウラン先生が異名に言い淀んでいると、左手を上げてそれを制し、ゆっくりと頭を左右に振った。

「別に構いませんよ。ヒッポグリフの住んでいた平原で何かがあった。
 ……恐らく、とても信じきれないなにかが、ね。
 そうじゃなかったらアウラン君がこんなに大勢を引き連れては来ないでしょう」

 ミシェラ以外の全員が驚きと尊敬の表情で学校長のことを眺めていたけど、正直な話、彼は何もわかっておらず、こちらにかまをかけようとしている気が満々……と言っているように感じた。

 もし、勇者の話を知っているのだとしたら、最初から『信じ切れないなにか』だなんて言い方はしないからな。

「は、はい……実は、平原の方に勇者が現れて、それをこの子たちが討伐した……と言ってましたので。
 こちらがその証拠の品です。ミシェラくん」
「はーい」

 カーターの大剣は結局アウラン先生には重たくて持つことが出来ず、ミシェラがまた手に持っていた。
 それをゆっくりと来賓用のテーブルの上に置いて後ろに下がるのを見届けると、学校長は椅子から立ち上がって、その大剣の方に歩み寄っていた。

「……ほう、これは確かに素晴らしい出来栄えの剣だ。
 さぞかし高価で貴重な鉱石を使って作られた大剣ですね。
 で、勇者と出会ってこれを手に入れた……ということは倒して奪った、ということで良いんですよね?」

 目の奥が怪しく輝いたような気がしたが、それほど興味心身という色に満ちているからが原因だろう。

「はい。それでー……」
「……俺が倒しました」

 ちらっとアウラン先生が説明してくれ、と言った様子で俺のことを見ていたから、仕方ない……と内心ため息を吐いた後、自分が倒したことを告白し、どういった経緯でそんなふうになったのかを詳しく説明することになった。

 大まかな流れ――戦闘やその時の勇者の様子を思い出しながら、時折ミシェラやレグルたちの補足を交えて、俺がアリッカルの勇者であるカーターとソフィアの二人と戦い、経過と結果を残さず報告した。

 ……が、誰も俺が彼らから『グレリア』と呼ばれていたことを口にせず、エセルカの名前が出た時に動揺していたことも何も言わなかった。
 ここらへん、ルルリナならなにか言うだろうと思っていたのだが……それが意外でしょうがなかった。

 ひとしきり説明が終わると、学校長は腕を組んで困り顔で唸っていた。
 恐らくだが、今彼の頭の中ではどう対処したらどう結果に繋がるのか……そんなことが渦巻いているのじゃないかと思う。

「うーん……わかりました。
 一度陛下に報告することになるでしょう。君たちはそれまでしばらく寮の中で待機していてもらうことになる。
 くれぐれも誰かに言いふらしたりしないように。いいですね?」

 ぐっと真剣な表情で俺たちを睨んでいるが……そんな事は当然だ。
 話したって信じられるかどうかわからないし、下手に大きく広める必要なんかない。

「わかりました」
「はーい」
「よろしい。ではもう行きなさい」

 俺とミシェラ以外の奴らも頷いて答え、そのまま学校長室を後にすることになった。
 なにはともあれ、現状待機。

 色々と考える時間もなくて本当に気が休まる時がなかった。
 今は……少し休もう。
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