315 / 415
第十七節・落日の国編
第298幕 不可侵領域
しおりを挟む
様々な銃火器を持っている兵士を従え、アスクード王は堂々とした佇まいで余裕な笑みを浮かべていた。
「ここに来て王、ですか。しかし、私が知る限りではあのような能力は持っていなかったはずですが……」
ヘンリーの驚きに歪む表情を見る限り、彼には秘密にされていた事の一つなのだろうと容易に想像する事が出来た。
何かの壁……俺たちには全く見えないそれは、確かに爆風を阻んでいた。一体どういう魔方陣なんだろうか?
「グレリアの攻撃が効かないんじゃ、私たちの魔方陣も届くかどうか……」
「あれをどう見ますか? ただの起動式とは思えませんが……」
まず間違いなく原初の起動式だろう。だが、それがわかったところでどうする事も出来ない。対抗出来るとしたらこちらも原初の起動式しかない……のだが、その間、二人が持ち堪えられるかどうか……。
「どうした? 貴様たちの力は、その程度で終わりか?」
そんな風に頭の中で悩んでいると、通常では考えられない大きさで響く声……『拡声』の魔方陣を使ってるのだろう。
「ならばここで死ぬが良い。我らが栄光の為にな!」
アスクード王が剣を抜き、振り下ろしたと同時に銃撃が再開され、俺たちは再び死の嵐に身を晒す事になる。
「くっ、このままでは……不味いですね」
「ど、どうするの? グレリア……」
「情けない声を出すな。二人とも、しばらくの間だけ持ち堪えられるか?」
「……私とシエラさんの二人で一人分の防御の魔方陣を作ればなんとか」
「ちょ、ちょちょちょっと待ってよ! それじゃあ、効果範囲も……」
「ええ。一人分です。密着するしかないですね」
「いや! 絶対嫌!」
こんな時にお前たちは何を言ってるんだ……思わず呆れ返ってしまったが、ある意味ではシエラらしい。
「何を悠長な事を言ってるんですか。このままでは、私とシエラさんは死んでしまいますよ?」
「う、うぅー……」
「ここまで来て、グレリアさんの足手まといなる訳にはいかない、でしょう?」
「……わ、わかっ、た」
嫌々ながらなんとか承諾したシエラはヘンリーと出来る限りくっつかながら魔方陣を同時に展開している。
それを見届けた俺は、すぐさま原初の起動式による魔方陣の構築に取りかかった。
発動させるのは『神』に『雷』の文字を使った魔方陣だ。これで周囲の敵を一気に無力化することにした。
「ふん、無駄だ!」
相変わらず『拡声』を使ったままとは随分余裕だ。この一撃で目を覚まさせてやる。
構築後した瞬間に発動させた魔方陣から無数の雷が出現して、流れるように周囲に拡散していく。そしてそれは――
――アスクード王の魔方陣によって阻まれてしまった。
「嘘…….」
後ろの方からシエラの声が聞こえる。信じたくないという感情の吐露を聞きながら、アスクード王の原初の起動式を確認した。
組まれているものは『結界』『壁』の二文字。間違いなく前者がそれだろう。
俺が生み出した雷は、その全てが透明な何かに遮られ、兵士たちに届く事はなかった。
「ふ……ふふ、はーっはっはっはっ!! その程度の攻撃で俺の魔方陣を突破出来ると? 甘い。貴様らはここで、朽ゆく運命なのだ!」
何をそんなに勝ち誇っているのかはわからないが、たったこれだけの事を防げたからといって子どものように笑わないで欲しいものだ。
冷静に分析すると、俺の攻撃を受け止めた時、壁には僅かな揺らぎがあった。なら、より強力な魔方陣は止められないだろう。突き破るには『焔』の時のように形状に留め、力を集約させるしかない。
「シエラ、ヘンリー。まだ大丈夫そうか?」
「ええ。問題ありませんよ。貴方は存分にやってください」
「大丈夫じゃないと思うんだけど……」
「ふふっ、そういう減らず口を聞けるなら大丈夫ですよ」
ヘンリーは随分余裕そうな口を聞いてるが、本音はかなり切迫している状態なのだろう。今すぐにでも弱音を吐いてもおかしくない。それでも笑顔でいるのは彼の矜持なのだろう。悪くない。なら……それに応えるのは俺の役目だ。
「行くぞ……!」
「死ねっ! 愚か者どもぉぉ!」
大きな弾がこっちに撃たれたと同時に爆風が辺りを包み込む。熱で肌がちりついて、髪を僅かに焦がすような感じがする。
マシンガン、ロケットランチャー……そのどれもが未だこの世界では到達し得ない技術を集めたものなのだろう。
「グレリア! 防御の魔方陣!」
シエラは叫ぶように訴えかけて来ているが、問題ない。自分に飛んでくる弾丸だけは最低限防いでいる。それに……今からは本気で戦う。出来る限り、俺の本来の戦い方、でな。
『神』『速』の二つの文字で起動式を構築する。その瞬間――俺は風よりも速くなり、一瞬で透明の『結界』のとこらまで辿り着いた。
「ふん、いくら何をしようとも――」
「はああああっ!」
次いで『神』『拳』の起動式の魔方陣を自らの拳に纏わせ、思いっきりその『結界』を殴り抜く。
一瞬の静。そこから響き渡るのは陶器の割れるような激しい音。
「な……に……!?」
「覚悟はいいか!? アスクードォォッ!!」
驚愕の表情を浮かべているアスクード王に、不敵な笑みを浮かべてやる。たかだか『結界』で……俺の行手を阻める訳がないと教えてやる……!
「ここに来て王、ですか。しかし、私が知る限りではあのような能力は持っていなかったはずですが……」
ヘンリーの驚きに歪む表情を見る限り、彼には秘密にされていた事の一つなのだろうと容易に想像する事が出来た。
何かの壁……俺たちには全く見えないそれは、確かに爆風を阻んでいた。一体どういう魔方陣なんだろうか?
「グレリアの攻撃が効かないんじゃ、私たちの魔方陣も届くかどうか……」
「あれをどう見ますか? ただの起動式とは思えませんが……」
まず間違いなく原初の起動式だろう。だが、それがわかったところでどうする事も出来ない。対抗出来るとしたらこちらも原初の起動式しかない……のだが、その間、二人が持ち堪えられるかどうか……。
「どうした? 貴様たちの力は、その程度で終わりか?」
そんな風に頭の中で悩んでいると、通常では考えられない大きさで響く声……『拡声』の魔方陣を使ってるのだろう。
「ならばここで死ぬが良い。我らが栄光の為にな!」
アスクード王が剣を抜き、振り下ろしたと同時に銃撃が再開され、俺たちは再び死の嵐に身を晒す事になる。
「くっ、このままでは……不味いですね」
「ど、どうするの? グレリア……」
「情けない声を出すな。二人とも、しばらくの間だけ持ち堪えられるか?」
「……私とシエラさんの二人で一人分の防御の魔方陣を作ればなんとか」
「ちょ、ちょちょちょっと待ってよ! それじゃあ、効果範囲も……」
「ええ。一人分です。密着するしかないですね」
「いや! 絶対嫌!」
こんな時にお前たちは何を言ってるんだ……思わず呆れ返ってしまったが、ある意味ではシエラらしい。
「何を悠長な事を言ってるんですか。このままでは、私とシエラさんは死んでしまいますよ?」
「う、うぅー……」
「ここまで来て、グレリアさんの足手まといなる訳にはいかない、でしょう?」
「……わ、わかっ、た」
嫌々ながらなんとか承諾したシエラはヘンリーと出来る限りくっつかながら魔方陣を同時に展開している。
それを見届けた俺は、すぐさま原初の起動式による魔方陣の構築に取りかかった。
発動させるのは『神』に『雷』の文字を使った魔方陣だ。これで周囲の敵を一気に無力化することにした。
「ふん、無駄だ!」
相変わらず『拡声』を使ったままとは随分余裕だ。この一撃で目を覚まさせてやる。
構築後した瞬間に発動させた魔方陣から無数の雷が出現して、流れるように周囲に拡散していく。そしてそれは――
――アスクード王の魔方陣によって阻まれてしまった。
「嘘…….」
後ろの方からシエラの声が聞こえる。信じたくないという感情の吐露を聞きながら、アスクード王の原初の起動式を確認した。
組まれているものは『結界』『壁』の二文字。間違いなく前者がそれだろう。
俺が生み出した雷は、その全てが透明な何かに遮られ、兵士たちに届く事はなかった。
「ふ……ふふ、はーっはっはっはっ!! その程度の攻撃で俺の魔方陣を突破出来ると? 甘い。貴様らはここで、朽ゆく運命なのだ!」
何をそんなに勝ち誇っているのかはわからないが、たったこれだけの事を防げたからといって子どものように笑わないで欲しいものだ。
冷静に分析すると、俺の攻撃を受け止めた時、壁には僅かな揺らぎがあった。なら、より強力な魔方陣は止められないだろう。突き破るには『焔』の時のように形状に留め、力を集約させるしかない。
「シエラ、ヘンリー。まだ大丈夫そうか?」
「ええ。問題ありませんよ。貴方は存分にやってください」
「大丈夫じゃないと思うんだけど……」
「ふふっ、そういう減らず口を聞けるなら大丈夫ですよ」
ヘンリーは随分余裕そうな口を聞いてるが、本音はかなり切迫している状態なのだろう。今すぐにでも弱音を吐いてもおかしくない。それでも笑顔でいるのは彼の矜持なのだろう。悪くない。なら……それに応えるのは俺の役目だ。
「行くぞ……!」
「死ねっ! 愚か者どもぉぉ!」
大きな弾がこっちに撃たれたと同時に爆風が辺りを包み込む。熱で肌がちりついて、髪を僅かに焦がすような感じがする。
マシンガン、ロケットランチャー……そのどれもが未だこの世界では到達し得ない技術を集めたものなのだろう。
「グレリア! 防御の魔方陣!」
シエラは叫ぶように訴えかけて来ているが、問題ない。自分に飛んでくる弾丸だけは最低限防いでいる。それに……今からは本気で戦う。出来る限り、俺の本来の戦い方、でな。
『神』『速』の二つの文字で起動式を構築する。その瞬間――俺は風よりも速くなり、一瞬で透明の『結界』のとこらまで辿り着いた。
「ふん、いくら何をしようとも――」
「はああああっ!」
次いで『神』『拳』の起動式の魔方陣を自らの拳に纏わせ、思いっきりその『結界』を殴り抜く。
一瞬の静。そこから響き渡るのは陶器の割れるような激しい音。
「な……に……!?」
「覚悟はいいか!? アスクードォォッ!!」
驚愕の表情を浮かべているアスクード王に、不敵な笑みを浮かべてやる。たかだか『結界』で……俺の行手を阻める訳がないと教えてやる……!
0
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる