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615・竜型兵器
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相対するそれを眺めていると自分の小ささが改めて実感できる。しかも聖黒族というのは幼さが残りやすい種族だから尚更だ。そんなのが五体もいるのだから少し感心してしまう。よくもこんなものを誰にも知られずに大事にとっておいたな……と。
「さて、と……」
どう戦うか。首の長い竜で翼も生えているけれど……たたんだまま飛ぶ気配がないところからワイバーンのように自由に空を飛ぶことは出来ないと推察できる。生物というより誰かに作られた兵器だからそういうところまで気が回らなかったのかもしれない。
以前に戦った狼のゴーレム――クーティノスと比べると遥かに大きいから武器による攻撃はあまり効果がないだろう。ということは必然的に魔導に頼るしかない。元よりそういう戦い方しか出来ないのだけどね。
「……【トキシックスピア】」
結構悩んだ末に以前にゴーレムの身体を溶かした酸性の強い毒の槍を放つ事にした。分割したら毒性が弱まる可能性があったから一発に魔力を込めて解き放つ。真っ直ぐ竜の一体に向かっていく。反撃されるかもしれないといつでも対応できるように身構えていた……けれど、特に何の反応もない。むしろ私に気付いていないぐらいこちらを気にも留めていない。
長い首に当たった【トキシックスピア】はじゅわじゅわと音を立ててゴーレムの材料を溶かしていく。あまりにも無防備で本当に動いているのか疑問に思えてきたけれど、その理由も納得出来た。
「なるほどね」
ほとんど溶けていない上に攻撃されたことに気付いたのかその顔がゆっくりとこちらを向いていた。それも五体全部に。
「ガギャアアアアア!!」
耳の奥底まで響くような雄叫びと同時に襲い掛かってくる。相変わらず魔導などの攻撃は出来ないみたいだ。竜族特有のブレス攻撃もないし、動作もクーティノスよりは遅い。身体の大きさと頑丈さと引き換えに俊敏性を失った……そんな感じだろう。なら問題ない。
一斉にこちらを敵として視認してきた首長竜共はその首を活かして振り回してくる。一度、二度と襲い掛かってくる首をしゃがんで避け、魔導で身体能力を強化して跳んで避ける。
「【プロトンサンダー】!」
私の十八番である魔導を解き放つと、その中の一つが雷の光線の中に飲み込まれて行った。
最大限魔力を込めた一撃は流石に耐え切れなかったのだろう。魔導が収まると頭と首が吹き飛んだ無残な姿を晒していた。
「まずは一つ」
これで問題なく処理できただろう……そう思った直後。頭を失った竜のゴーレムはその大きな図体で私に向かって突撃を仕掛けてきた。想定していなかっただけに回避が間に合わず、横薙ぎに振るわれた手が打ち付けられる瞬間に【フィジカルガード】で衝撃を最小限に留めた。ごろごろと転がって着ている服が汚れるが、そんな事を気にしている場合じゃない。まさかまだ活動出来るとは思っていなかった。クーティノスのように魔力を吸収して魔導の威力を落とす、というのは見られなかったから仕留めたと安心してしまった。目の前にいるのは生き物じゃない。それだけにこの判断は余計に悪手としか思えない。
「……【フレアフォールン】!」
胴体の方に核があると踏んで一気に破壊する事が出来るだろう魔導を発動させる。襲い掛かってくる首や腕をなんとか掻い潜りながら発動した太陽はゆっくりと降りてきて胴体だけで動く竜のゴーレムを飲み込んで……跡形もなく焼き尽くしてしまった。
「……よし」
今後こそ確実に仕留めた。思わず声が漏れたけど、流石にこれで動いていたら恐ろしいことこの上ない。
続いて追撃を仕掛けてきた首長竜に同じように【フレアフォールン】を発動させて二体目のゴーレムを仕留めた。ここまで来るともはや作業に近い。
ゴーレムの大きさに威圧された人たちがいたが、魔導を発動させることが出来ない以上、遠距離を保っていればこんなものだろう。これなら問題なく――
「……!?」
悠長に考えていると同時にそんな妄想は容易く撃ち抜かれる。生き残った竜の口内に魔力が溜まり、ブレス攻撃が放たれる。まさかそんなものを使うとは全く想定していなかった。
「くっ……【カラフル・リフレクション】!」
確実に魔力によって作られたものだ。ならこっちは防御しつつ反撃すればいい。そう考えていたのだけど、その判断も甘かったと思い知らされた。
ぶつかったブレスと【カラフル・リフレクション】の反射が激しくぶつかり合って、その間にも何を考えているのかこちらに攻撃を仕掛けてくる残りの二体。
「もうちょっと!」
ちょっとはゆっくり思考を巡らせて戦いたい。そんな訴えなんて通じるはずもない。結局跳ね返していたブレス攻撃は途中で受け止める事が出来ず、回避に専念する事に。
少しずつ動きが鋭くなってきて、そこからなんとか物理攻撃ばかりしてくる首長竜を一体仕留め、後はブレス攻撃を使ったのと何か嫌な予感がするリーダーっぽいのが一体。五体からは大分減らすことが出来たし大分こちら側有利なはずなんだけど……この胸騒ぎは何だろう?
「さて、と……」
どう戦うか。首の長い竜で翼も生えているけれど……たたんだまま飛ぶ気配がないところからワイバーンのように自由に空を飛ぶことは出来ないと推察できる。生物というより誰かに作られた兵器だからそういうところまで気が回らなかったのかもしれない。
以前に戦った狼のゴーレム――クーティノスと比べると遥かに大きいから武器による攻撃はあまり効果がないだろう。ということは必然的に魔導に頼るしかない。元よりそういう戦い方しか出来ないのだけどね。
「……【トキシックスピア】」
結構悩んだ末に以前にゴーレムの身体を溶かした酸性の強い毒の槍を放つ事にした。分割したら毒性が弱まる可能性があったから一発に魔力を込めて解き放つ。真っ直ぐ竜の一体に向かっていく。反撃されるかもしれないといつでも対応できるように身構えていた……けれど、特に何の反応もない。むしろ私に気付いていないぐらいこちらを気にも留めていない。
長い首に当たった【トキシックスピア】はじゅわじゅわと音を立ててゴーレムの材料を溶かしていく。あまりにも無防備で本当に動いているのか疑問に思えてきたけれど、その理由も納得出来た。
「なるほどね」
ほとんど溶けていない上に攻撃されたことに気付いたのかその顔がゆっくりとこちらを向いていた。それも五体全部に。
「ガギャアアアアア!!」
耳の奥底まで響くような雄叫びと同時に襲い掛かってくる。相変わらず魔導などの攻撃は出来ないみたいだ。竜族特有のブレス攻撃もないし、動作もクーティノスよりは遅い。身体の大きさと頑丈さと引き換えに俊敏性を失った……そんな感じだろう。なら問題ない。
一斉にこちらを敵として視認してきた首長竜共はその首を活かして振り回してくる。一度、二度と襲い掛かってくる首をしゃがんで避け、魔導で身体能力を強化して跳んで避ける。
「【プロトンサンダー】!」
私の十八番である魔導を解き放つと、その中の一つが雷の光線の中に飲み込まれて行った。
最大限魔力を込めた一撃は流石に耐え切れなかったのだろう。魔導が収まると頭と首が吹き飛んだ無残な姿を晒していた。
「まずは一つ」
これで問題なく処理できただろう……そう思った直後。頭を失った竜のゴーレムはその大きな図体で私に向かって突撃を仕掛けてきた。想定していなかっただけに回避が間に合わず、横薙ぎに振るわれた手が打ち付けられる瞬間に【フィジカルガード】で衝撃を最小限に留めた。ごろごろと転がって着ている服が汚れるが、そんな事を気にしている場合じゃない。まさかまだ活動出来るとは思っていなかった。クーティノスのように魔力を吸収して魔導の威力を落とす、というのは見られなかったから仕留めたと安心してしまった。目の前にいるのは生き物じゃない。それだけにこの判断は余計に悪手としか思えない。
「……【フレアフォールン】!」
胴体の方に核があると踏んで一気に破壊する事が出来るだろう魔導を発動させる。襲い掛かってくる首や腕をなんとか掻い潜りながら発動した太陽はゆっくりと降りてきて胴体だけで動く竜のゴーレムを飲み込んで……跡形もなく焼き尽くしてしまった。
「……よし」
今後こそ確実に仕留めた。思わず声が漏れたけど、流石にこれで動いていたら恐ろしいことこの上ない。
続いて追撃を仕掛けてきた首長竜に同じように【フレアフォールン】を発動させて二体目のゴーレムを仕留めた。ここまで来るともはや作業に近い。
ゴーレムの大きさに威圧された人たちがいたが、魔導を発動させることが出来ない以上、遠距離を保っていればこんなものだろう。これなら問題なく――
「……!?」
悠長に考えていると同時にそんな妄想は容易く撃ち抜かれる。生き残った竜の口内に魔力が溜まり、ブレス攻撃が放たれる。まさかそんなものを使うとは全く想定していなかった。
「くっ……【カラフル・リフレクション】!」
確実に魔力によって作られたものだ。ならこっちは防御しつつ反撃すればいい。そう考えていたのだけど、その判断も甘かったと思い知らされた。
ぶつかったブレスと【カラフル・リフレクション】の反射が激しくぶつかり合って、その間にも何を考えているのかこちらに攻撃を仕掛けてくる残りの二体。
「もうちょっと!」
ちょっとはゆっくり思考を巡らせて戦いたい。そんな訴えなんて通じるはずもない。結局跳ね返していたブレス攻撃は途中で受け止める事が出来ず、回避に専念する事に。
少しずつ動きが鋭くなってきて、そこからなんとか物理攻撃ばかりしてくる首長竜を一体仕留め、後はブレス攻撃を使ったのと何か嫌な予感がするリーダーっぽいのが一体。五体からは大分減らすことが出来たし大分こちら側有利なはずなんだけど……この胸騒ぎは何だろう?
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