君と跳んだ未来の約束

らいむ

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第1話:モニターの誘い

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佐藤涼太、29歳、独身、会社員。人生はまるで薄っぺらい書類の束のようだ。毎日、同じ時間に起きて、同じ電車に揺られ、同じデスクでExcelを叩く。夢も希望も、どこかで置き忘れてきた気がする。

「はぁ…今日も残業かよ」

会社の蛍光灯がチカチカと点滅する中、涼太はため息をつきながらパソコンを閉じた。時計はすでに21時を回っている。帰宅途中のコンビニで買ったビールとカップ麺が、今夜の唯一の楽しみだ。

アパートにたどり着き、狭いワンルームのドアを開けた瞬間、涼太は目を疑った。

「…なんだ、これ?」

部屋の中央に、まるでホログラムのような半透明のモニターが浮かんでいる。SF映画のセットみたいだが、妙に現実的だ。画面にはシンプルな文字が表示されている。

「過去へ」「未来へ」

二つの選択肢が、青い光で点滅している。涼太は思わずビニール袋を床に落とした。カップ麺がゴロリと転がる。

「は? 何? イタズラ? ドッキリ?」

誰もいない部屋を見回すが、モニターは消えない。試しに手を伸ばしてみると、指先が画面に触れた瞬間、ピリッと静電気が走った。

「うわっ! なんだよこれ、マジで!」

画面に新たな文字が浮かぶ。

「選択してください。制限時間:60秒」

カウントダウンが始まった。59、58、57…。

「待て待て、急に言われても! 過去? 未来? 何だよこれ!」

頭が混乱する。過去に行けば、大学時代のあの恋をやり直せるかもしれない。あの時、告白できなかった彼女の笑顔が脳裏をよぎる。でも、未来なら…自分の人生がどうなってるか、知りたい気もする。

45、44、43…。

「くそっ、考える時間ねえ!」

焦った涼太は、勢いで「未来へ」の文字をタップした。

瞬間、視界が白く染まり、身体が浮くような感覚に襲われる。まるでエレベーターが急上昇するような、胃が縮こまる感覚だ。

「うおっ、なんだこれ!?」


目を開けると、涼太は見慣れない場所に立っていた。いや、場所自体は見覚えがある――東京の街、いつも通る駅前の交差点だ。でも、どこか違う。空気が少し甘く、微かに花の香りが漂っている。ビルの看板はカラフルで、文字が立体的に浮かんで動いている。道行く人々の服は、まるでアニメのコスプレみたいに光沢があって、袖や襟に小さな光点がチカチカ光っている。

「え…ここ、未来の東京?」

涼太は目をこする。確かに未来っぽいが、映画みたいな荒廃した世界じゃない。むしろ、街は活気に満ちている。ただ、妙に現実離れした雰囲気がある。空にはドローンらしきものがブンブン飛び回り、道端の自動販売機は「DNA認証でお好きな味をカスタマイズ!」と喋っている。

「すみませんでした!」

後ろからぶつかった若い女性が、慌てて謝る。彼女の髪は虹色に光っていて、瞳にはデジタル時計みたいな模様が浮かんでいる。

「いや、大丈夫…って、え、目!?」

涼太が驚くと、女性はキョトンとして笑った。

「古いタイプのコンタクト使ってる? それ、20年前のデザインじゃん!」

「20年…?」

涼太は自分の服を見下ろす。確かに、くたびれたスーツが場違いに感じる。通りすがりの人々がチラチカとこちらを見ている。まるで時代遅れの観光客だ。

ポケットを探ると、スマホはなくなっていた。代わりに、透明なカードのようなデバイスが入っている。触ると、空中にホログラムが浮かび、「佐藤涼太、2045年7月10日、認証済み」と表示された。

「2045年…!? 20年後!?」

心臓がバクバクする。未来に来たのはいいけど、自分はどうなってるんだ? 結婚してる? 仕事は? そもそも生きてるのか?

その時、目の前に再びあのモニターが現れた。青い光が揺らめき、新たな文字が浮かぶ。

「次の選択をしてください。残り時間:30秒」

「え、なんだよ、また!?」

涼太の叫びが、未来の街に響いた。
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