13 / 17
第13話:修復の鼓動
しおりを挟む
佐藤涼太は、2045年の時間管理局のコア部屋で、光る球体――タイムライン修復装置の前に立っていた。白い空間にホログラムスクリーンが浮かび、「最終選択:タイムラインを修復しますか? 代償:選択の記憶の一部が失われる可能性があります」と表示されている。美咲が隣で涼太の手を握り、エージェント・クロノのデジタル時計のような瞳が二人を見据える。
「涼太様、準備はできていますか?」クロノの声は静かだが、どこか重い。
涼太は美咲の手の温もりを感じ、深呼吸した。「美咲…お前が信じてくれるなら、俺、やれる」
美咲がニコッと笑う。「涼太、絶対大丈夫! こんなキラキラした未来、君と一緒なら、なんでも乗り越えられるよ!」
その笑顔に、涼太の心が少し軽くなる。だが、胸の奥でそわそわする不安が消えない。記憶が失われる? 美咲との2015年の桜並木、告白の瞬間、それも消えるのか?
「クロノ、始めよう。どうやるんだ?」
クロノが球体に手を触れる。ホログラムスクリーンが光り、モニターのメッセージが変化する。
「修復開始:デバイスを接続してください」
涼太はポケットから透明なカードデバイスを取り出し、球体のスロットに差し込んだ。瞬間、低い振動音が部屋に響き、球体が青白く輝き始める。ホログラムスクリーンに、数字が流れ出す。「崩壊率:80%…79%…78%…」
「動いてる…!」美咲が目を輝かせ、涼太の腕にしがみつく。「涼太、なんかドキドキする! ほんとに時間直ってるの!?」
クロノが冷静に言う。「修復装置は、複数のタイムラインを一つに統合します。あなたの選択の記憶を解析し、最も安定した未来を選びます。だが…」
「だが?」涼太が眉を上げる。
「過程で、不安定な記憶が断片化する可能性があります。たとえば、2015年の美咲様との記憶が、部分的に変形するかもしれません」
美咲がハッとする。「変形って…! 私と涼太の思い出、なくなるの?」
クロノが首を振る。「完全にはなくなりません。だが、細部が変わる可能性はあります。準備してください。修復は不可逆です」
球体の光が強くなり、部屋が揺れ始める。ホログラムスクリーンに、映像の断片がチラチラと映る。2015年の桜並木、2025年の涼太のアパート、2045年の新宿のマンション。美咲と笑う涼太、孤独に歩く涼太。映像が混ざり合い、ノイズが走る。
「涼太、なんか…頭、クラクラする…」美咲が額を押さえる。
「美咲、大丈夫か!?」涼太が支えるが、彼自身もそわそわする感覚に襲われる。まるで記憶が揺らぐような、奇妙なざわめき。2015年の告白の瞬間が、なぜか曖昧に感じる。美咲の笑顔は覚えているのに、どんな言葉を言ったか、思い出せない。
「クロノ! これ、ほんとに大丈夫なのか!?」
クロノの瞳が一瞬強く光る。「修復は進行中です。焦らないでください。タイムラインが統合されつつあります」
その時、部屋の隅で、影が動いた。涼太が振り返る。誰もいない。だが、かすかに、スーツの擦れる音と、疲れた溜息のような気配。49歳の自分の姿が、頭をよぎる。いや、気のせいか? だが、そわそわする胸騒ぎが止まらない。
「涼太、なんか…あそこ、変な感じしない?」美咲が部屋の隅を指す。彼女も気配を感じたらしい。
クロノが鋭く言う。「集中してください! 修復装置はあなたの意志に反応します。動揺すると、タイムラインがさらに不安定になります!」
球体の光がピークに達し、部屋全体が青白く輝く。スクリーンに「崩壊率:50%…40%…」と数字が急降下。だが、同時に、涼太の頭にノイズが走る。美咲とカフェで話した記憶、2045年の光る街、全部が揺らぐ。
「涼太…! 君の声、覚えてるよ…」美咲が涼太の手を強く握る。「絶対、忘れないから!」
その言葉に、涼太は力を振り絞る。「美咲、俺もだ! お前との時間、絶対守る!」
突然、球体から爆音が響き、ホログラムスクリーンが一瞬暗転。クロノの声が響く。
「修復率:90%。最終統合フェーズへ。涼太様、最後の意志を!」
モニターが再び現れ、シンプルなメッセージ。
「最終確認:タイムラインを固定しますか? 代償:一部の記憶が永久に失われます」
カウントダウンが始まる。10、9、8…。
涼太の心臓がバクバクする。部屋の隅の気配が、またチラリと動く。美咲の手の温もりだけが、そわそわする不安を抑える。
「涼太…君なら、きっと…!」美咲の声が、希望の光のようだ。
「涼太様、準備はできていますか?」クロノの声は静かだが、どこか重い。
涼太は美咲の手の温もりを感じ、深呼吸した。「美咲…お前が信じてくれるなら、俺、やれる」
美咲がニコッと笑う。「涼太、絶対大丈夫! こんなキラキラした未来、君と一緒なら、なんでも乗り越えられるよ!」
その笑顔に、涼太の心が少し軽くなる。だが、胸の奥でそわそわする不安が消えない。記憶が失われる? 美咲との2015年の桜並木、告白の瞬間、それも消えるのか?
「クロノ、始めよう。どうやるんだ?」
クロノが球体に手を触れる。ホログラムスクリーンが光り、モニターのメッセージが変化する。
「修復開始:デバイスを接続してください」
涼太はポケットから透明なカードデバイスを取り出し、球体のスロットに差し込んだ。瞬間、低い振動音が部屋に響き、球体が青白く輝き始める。ホログラムスクリーンに、数字が流れ出す。「崩壊率:80%…79%…78%…」
「動いてる…!」美咲が目を輝かせ、涼太の腕にしがみつく。「涼太、なんかドキドキする! ほんとに時間直ってるの!?」
クロノが冷静に言う。「修復装置は、複数のタイムラインを一つに統合します。あなたの選択の記憶を解析し、最も安定した未来を選びます。だが…」
「だが?」涼太が眉を上げる。
「過程で、不安定な記憶が断片化する可能性があります。たとえば、2015年の美咲様との記憶が、部分的に変形するかもしれません」
美咲がハッとする。「変形って…! 私と涼太の思い出、なくなるの?」
クロノが首を振る。「完全にはなくなりません。だが、細部が変わる可能性はあります。準備してください。修復は不可逆です」
球体の光が強くなり、部屋が揺れ始める。ホログラムスクリーンに、映像の断片がチラチラと映る。2015年の桜並木、2025年の涼太のアパート、2045年の新宿のマンション。美咲と笑う涼太、孤独に歩く涼太。映像が混ざり合い、ノイズが走る。
「涼太、なんか…頭、クラクラする…」美咲が額を押さえる。
「美咲、大丈夫か!?」涼太が支えるが、彼自身もそわそわする感覚に襲われる。まるで記憶が揺らぐような、奇妙なざわめき。2015年の告白の瞬間が、なぜか曖昧に感じる。美咲の笑顔は覚えているのに、どんな言葉を言ったか、思い出せない。
「クロノ! これ、ほんとに大丈夫なのか!?」
クロノの瞳が一瞬強く光る。「修復は進行中です。焦らないでください。タイムラインが統合されつつあります」
その時、部屋の隅で、影が動いた。涼太が振り返る。誰もいない。だが、かすかに、スーツの擦れる音と、疲れた溜息のような気配。49歳の自分の姿が、頭をよぎる。いや、気のせいか? だが、そわそわする胸騒ぎが止まらない。
「涼太、なんか…あそこ、変な感じしない?」美咲が部屋の隅を指す。彼女も気配を感じたらしい。
クロノが鋭く言う。「集中してください! 修復装置はあなたの意志に反応します。動揺すると、タイムラインがさらに不安定になります!」
球体の光がピークに達し、部屋全体が青白く輝く。スクリーンに「崩壊率:50%…40%…」と数字が急降下。だが、同時に、涼太の頭にノイズが走る。美咲とカフェで話した記憶、2045年の光る街、全部が揺らぐ。
「涼太…! 君の声、覚えてるよ…」美咲が涼太の手を強く握る。「絶対、忘れないから!」
その言葉に、涼太は力を振り絞る。「美咲、俺もだ! お前との時間、絶対守る!」
突然、球体から爆音が響き、ホログラムスクリーンが一瞬暗転。クロノの声が響く。
「修復率:90%。最終統合フェーズへ。涼太様、最後の意志を!」
モニターが再び現れ、シンプルなメッセージ。
「最終確認:タイムラインを固定しますか? 代償:一部の記憶が永久に失われます」
カウントダウンが始まる。10、9、8…。
涼太の心臓がバクバクする。部屋の隅の気配が、またチラリと動く。美咲の手の温もりだけが、そわそわする不安を抑える。
「涼太…君なら、きっと…!」美咲の声が、希望の光のようだ。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
遊鷹太
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる