君と跳んだ未来の約束

らいむ

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第13話:修復の鼓動

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佐藤涼太は、2045年の時間管理局のコア部屋で、光る球体――タイムライン修復装置の前に立っていた。白い空間にホログラムスクリーンが浮かび、「最終選択:タイムラインを修復しますか? 代償:選択の記憶の一部が失われる可能性があります」と表示されている。美咲が隣で涼太の手を握り、エージェント・クロノのデジタル時計のような瞳が二人を見据える。

「涼太様、準備はできていますか?」クロノの声は静かだが、どこか重い。

涼太は美咲の手の温もりを感じ、深呼吸した。「美咲…お前が信じてくれるなら、俺、やれる」

美咲がニコッと笑う。「涼太、絶対大丈夫! こんなキラキラした未来、君と一緒なら、なんでも乗り越えられるよ!」

その笑顔に、涼太の心が少し軽くなる。だが、胸の奥でそわそわする不安が消えない。記憶が失われる? 美咲との2015年の桜並木、告白の瞬間、それも消えるのか?

「クロノ、始めよう。どうやるんだ?」

クロノが球体に手を触れる。ホログラムスクリーンが光り、モニターのメッセージが変化する。

「修復開始:デバイスを接続してください」

涼太はポケットから透明なカードデバイスを取り出し、球体のスロットに差し込んだ。瞬間、低い振動音が部屋に響き、球体が青白く輝き始める。ホログラムスクリーンに、数字が流れ出す。「崩壊率:80%…79%…78%…」

「動いてる…!」美咲が目を輝かせ、涼太の腕にしがみつく。「涼太、なんかドキドキする! ほんとに時間直ってるの!?」

クロノが冷静に言う。「修復装置は、複数のタイムラインを一つに統合します。あなたの選択の記憶を解析し、最も安定した未来を選びます。だが…」

「だが?」涼太が眉を上げる。

「過程で、不安定な記憶が断片化する可能性があります。たとえば、2015年の美咲様との記憶が、部分的に変形するかもしれません」

美咲がハッとする。「変形って…! 私と涼太の思い出、なくなるの?」

クロノが首を振る。「完全にはなくなりません。だが、細部が変わる可能性はあります。準備してください。修復は不可逆です」

球体の光が強くなり、部屋が揺れ始める。ホログラムスクリーンに、映像の断片がチラチラと映る。2015年の桜並木、2025年の涼太のアパート、2045年の新宿のマンション。美咲と笑う涼太、孤独に歩く涼太。映像が混ざり合い、ノイズが走る。

「涼太、なんか…頭、クラクラする…」美咲が額を押さえる。

「美咲、大丈夫か!?」涼太が支えるが、彼自身もそわそわする感覚に襲われる。まるで記憶が揺らぐような、奇妙なざわめき。2015年の告白の瞬間が、なぜか曖昧に感じる。美咲の笑顔は覚えているのに、どんな言葉を言ったか、思い出せない。

「クロノ! これ、ほんとに大丈夫なのか!?」

クロノの瞳が一瞬強く光る。「修復は進行中です。焦らないでください。タイムラインが統合されつつあります」

その時、部屋の隅で、影が動いた。涼太が振り返る。誰もいない。だが、かすかに、スーツの擦れる音と、疲れた溜息のような気配。49歳の自分の姿が、頭をよぎる。いや、気のせいか? だが、そわそわする胸騒ぎが止まらない。

「涼太、なんか…あそこ、変な感じしない?」美咲が部屋の隅を指す。彼女も気配を感じたらしい。

クロノが鋭く言う。「集中してください! 修復装置はあなたの意志に反応します。動揺すると、タイムラインがさらに不安定になります!」

球体の光がピークに達し、部屋全体が青白く輝く。スクリーンに「崩壊率:50%…40%…」と数字が急降下。だが、同時に、涼太の頭にノイズが走る。美咲とカフェで話した記憶、2045年の光る街、全部が揺らぐ。

「涼太…! 君の声、覚えてるよ…」美咲が涼太の手を強く握る。「絶対、忘れないから!」

その言葉に、涼太は力を振り絞る。「美咲、俺もだ! お前との時間、絶対守る!」

突然、球体から爆音が響き、ホログラムスクリーンが一瞬暗転。クロノの声が響く。

「修復率:90%。最終統合フェーズへ。涼太様、最後の意志を!」

モニターが再び現れ、シンプルなメッセージ。

「最終確認:タイムラインを固定しますか? 代償:一部の記憶が永久に失われます」

カウントダウンが始まる。10、9、8…。

涼太の心臓がバクバクする。部屋の隅の気配が、またチラリと動く。美咲の手の温もりだけが、そわそわする不安を抑える。

「涼太…君なら、きっと…!」美咲の声が、希望の光のようだ。
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