Sランクパーティを追放された雑用係、実は世界最強の【剣豪】だったのを思い出したから異世界無双する

ファンタスティック小説家

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思い出した事:ガーディアンだった

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 サムスは痛む体に鞭を打って歩いていた。

 彼は事前にダンジョンのマッピング情報を、先達の冒険者たちから仕入れて、暗記してこのダンジョン攻略に挑んでいたため、自分がおよそどのあたりにいるのかは見当がついていた。

「あの奈落の形状で、まだバルドローたちの笑い声がかすかに聞こえたってことは、ざっと150メートルくらいは落ちた事になるか……」

 サムスは頭のなかに暗記した地図思い浮かべ、ダンジョン奈落から帰還した貴重な冒険者の証言と照らし合わせていく。

「ここだな……」

 岩壁に刻まれた文字。
 これが奈落の先輩のメッセージだ。

 サムスは短剣で彫られた「後輩へ」という文字を見て、薄く微笑む。

 サムスは、壁に刻まれた矢印にしたがい、ほふくして進める小さな穴に身をつめた。

 小さな穴を抜けると、その先は荒い岩肌の壁になっていた。

 ただ、その岩肌はさきほどサムスが落ちて来たような垂直なモノではない。

 傾斜があり、足をかけたり、手で掴むのにちょうど良さそうなデコボコがある″登れそうな岩肌″だ。
 
 サムスは手首をかるく回して、最初のとっかかりを掴んだ。

「ガルゥ」

「……」

 唸り声が聞こえた。

 サムスは登れそうな岩肌から離れて、声の主人のほうへ振りかえった。

 彼を先に見つけていたのは、鋭い牙をたずさえた2匹のオオカミであった。

「ケーブファングか」

 洞窟に住む痩せたオオカミの魔物。

 そこそこの強さで、冒険者パーティが連携して戦えば負けることはない。

 だが、ここにはパーティはいない。

 いるのは、捨てられた雑用係だけだ。

「ガルゥウ」

 サムスは喉を鳴らして生唾を飲みこみ、どうするべきか思案する。

 俺に勝てるのか?
 高い目標をかかげ、剣を振っていた16歳の頃とは違い、今の俺はまったく動けない。

「ガウガウ!」

「っ!」

 悩んでいると、ケーブファングは左右から挟みこむように向かって来た。

 瞬間、サムスの身体は勝手に動いた。

 サムスはとっさに、機械化された右腕をケーブファングに噛ませて初撃をガードした。
 そして、もう片方のケーブファングを鋭いキックで蹴り飛ばした。

 続いて、サムスは勝手に動く体にしたがい、左手でケーブファングの首を鷲掴みにした。
 そのまま引き剥がし、機械の右腕でその顔を容赦なくなぐった。

「ガ、る、ぅ……」

 一撃で沈黙するケーブファング。

 サムスは動かなくなった敵を気にもとめず走りだす。

 彼の目線の先は、もう次の″敵″だ。

「キャイン!」

 サムスは起き上がろうとするケーブファングの2体目の顔を再度蹴り、倒れたところへ、馬乗りになってその右腕でトドメをさした。

 敵が沈黙したことで、暗い洞窟内は、ふたたび静かになった。

 サムスは忘れていた呼吸を再開する。

 不思議なことに、息はまったく乱れていなかった。

「なんだ、これは……」

 サムスは自分の手のひらを見下ろす。
 彼にはわからなかった。

 だが、彼の身体はすこしずつ
 
 サムスは立ちあがり、肉体の導きにしたがい構えてみる。

 右腕を引き絞り、左手を前に、骨で大地に根をおろす。

 構えてみると、凄くしっくりきていた。

「ん、これは……」

 サムスの身体を青紫色のオーラが包みこむ。

 通常時とは比べ物にならない、途方もないチカラを感じるそのオーラの正体に、サムスは知識からたどりつく。

 『剣気圧けんきあつ』であった。
 剣士が剣で岩を切断したり、自分のよりずっと身体の大きなオーガに吹き飛ばされても耐えられる理由。

 遥か東のほうでは『気功きこう』とか言うらしい。

「俺、剣気圧を身につけられなくて、雑用係になったんじゃなかったか……」

 サムスは自分の記憶に疑問をいだく。

 瞬間、空の脳裏にふたたびヂィリっとした焼けつく痛みがはしった。

《俺、温かくなったら前線にいくよ》

「うぐっ!」

 若い男の子の声だった。
 サムスは直感的にそれがだとさとる。

《そうなんだ……みんな居なくなっちゃたのに、サムスも行っちゃうんだね……》

 応えるのは黒髪の少女だ、
 まぶたの裏側にうつる幼くも可憐な姿に、サムスは凍結されていた時間を思いだす。

《必ず『ガーディアン』になって、俺はすべてを守るんだ。もう無くさないように》

《でも、ガーディアンには選ばれた人間しかなれないって聞いたよ?》

《だから、俺がなるんだって。強い意志があれば絶対ガーディアンになれるんだ》

《そっかあ…………ねえ、サムス、行ってもいいけど、必ず帰ってくるって約束してくれない?》

《なんだよ、それ、そんな約束──》


 少年は明確な答えをださないまま、サムスのビジョンは終わり、意識はイマへと帰還した。

 サムスはよろめきから立ち直る。

「そうだ……俺は、ガーディアンだった……ガーディアンになるために、6年前、故郷チタン村を飛び出したんだ」

 サムスはどうして、そんな大事な過去を忘れていたのか、不可解な気持ちになった。

 『ガーディアン』とは、3年前に終結したばかりの『第2次二世界大戦』やそれ以前に、別世界の侵略からこの世界を守った英雄たちのことである。

 戦争にはガーディアン以外にも多くの兵士たちが動員された。
 ただ、サムスたちの世界をまとめあげて、侵略と戦った″冒険者ギルド″によって選ばれた、精鋭中の精鋭である『異世界の守護者ガーディアン』たちは、やはり格別の強さと、ヒロイックさを持っていた。

 それは、ふたつの世界共通の認識である。

「ガルゥウアア!」
「っ」

 サムスが頭痛から立ち直ると、ダンジョンを揺らすほどの咆哮が聞こえた。

 どこからともなく現れたのは、体長4メートル近くもある巨大なケーブファングであった。

 通称、ドン・ケーブファング。
 
 ケーブファングのボスだ。

「ガルゥアア!」
「ガーディアンの力、試させてもらうか」

 サムスは体の記憶にまかせ、軽く腰を落として構えた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 
 一方『クロガネ隊』

 あまりにも帰りの遅い風魔法使いバネッサに呆れた大剣使いバルドローと、双剣使いゴルドゥは、引き返したダンジョンのなかで、魔物たちと戦っていた。

「バネッサ! 弱点属性で攻撃しろよ!」

 バルドローは大剣で敵の攻撃をガードしながら叫ぶ。
 
「そんなのわかんないわよ! サムスが今までどの属性を使えば、楽に倒せるか全部教えてくれてたんだもん!」
「ぐぅ! とりあえず、物理は効きにくいみたいだから、そうだ、炎属性試してみろ!」

 ゴルドゥは双剣を振りまわし、炎の球状の魔物ファイアスピリットを牽制し、バネッサに指示を出した。

 バネッサは言われるままに、火属性式魔術≪火炎弾ファイアショット≫をはなつ。

 バネッサの大杖から放たれた赤い魔弾はまっすぐ飛んでいき、ファイアスピリットに見事命中した。

「ちょちょ、なんか図体デカくなってねぇか?!」
「おい、バネッサてめぇ、何してんだよ!?」
「知らないわよお! もう、サムス、なんとかしなさいよぉー!」
 
 この後、バルドローたちは水属性式魔術なら、瞬殺できるファイアスピリットに30分も時間をかけて地道に物理攻撃で倒すことになった。
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