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第三章 路地裏のお姫様
第50話 路地裏の喧嘩
しおりを挟む暗く湿った、建物と建物の間が作り出す狭い空間。
事件の匂いしかしない路地裏を確かな足取りで歩いていく。
拳で肉を叩く音が先程から聞こえてきている。
ここはストリートファイトが行われている路地裏。
現在使える最大の「剣知覚」を発動しながら街を歩き、おおよそストリートファイトが開催されている思われる人の集まりを探してこの場所に来たわけだ。
当たりである。
リングに近づいていき、人の輪の中に収まる。
彼らには経験と金策のために犠牲になってもらう。
リング全体を視界に収める。
ここのリングはちょっと小さいな。
直径6メートルくらいの狭い空間に廃材などで区切られた簡易的なリングが設置されている。
リングの外側には、なにやら賭け金レートが貼りだされている看板が見える。
賭博は当然のように行われているようだ。
ヤクザ……じゃなくてマフィア? ギャング? でもいるんだろうか?
少しあたりを見渡すように視線を泳がすと……案の定あやしい男たちを見つけた。
黒いトレンチコートに黒のハットを被った、とにかく黒、黒、黒が好きなクロちゃんが路地裏の一角に2人一組で佇んでいる。
さらにすぐ横の建物の扉にも2人黒ずくめの男が立っており、いかにも賭博場という雰囲気をかもし出している。
額に冷や汗がにじむ。
俺まずいところに来ちゃったんじゃないの?
ストリートファイトって別に違法じゃないよね?
師匠も言ってたし大丈夫だよね?
黒ずくめの男たちを見た瞬間から一気に不安が膨れ上がっていった。
「なァ! ぼうや! 俺とやろうぜェ? ぐへへ」
「へ?」
下衆な声の方を振り向くとリングから巨漢の男が話しかけて来ていた、
これはまずい。
雰囲気にビビってクロちゃんたちに目を奪われていたせいでリングの男に気がつかなかった。
もう勝負は終わっていて次の勝負が組まれようとするタイミングだったらしい。
「なァ! やろうぜ! ぼうやもここにいるってことはヤレる口なんだろォ?」
目の前でニヤニヤとキモイ笑みを顔に貼り付けて、大きな男は危ない発言をする。
こいつ……そっちなのか?
「おいおい! やめてやれよ! 完全にビビってんじゃねぇかよ! へへへ」
「ガキで勝利数稼ぐのは汚ねぇな!」
リングの周りの男たちは男へ野次を飛ばしている。
だが、リングの男はそんなことお構いなしばかりに、こちらに顔をぐいっと近づけてきた。
「べろべろぶぅあ~」
「このやッ……」
巨漢は汚い顔をさらに歪めて、べろべろしながらの究極の煽りをして来る。
こいつぶっ殺してやろうかな?
周りの空気に萎縮していた俺だったが、流石にこれにはプツリと来てしまった。
危なく拳が出かけてしまったが、なんとか思いとどまる。
「チッ」
この男「剣気圧」を纏っていないのだ。
きっと俺が感情に任せて殴ったしまったらワンパンで路地裏を脳みそと血で紅色に染め上げることになってしまう。
殺人はまずいだろう。
俺はこれから魔術大学に入学するのだ。
殺人者なんて知れたら学校側がどんな処置をとるかはわからない。
経歴うんぬんの問題を除いても、ムカついたから殺す、というのは少しやり過ぎな気がする。
「べろべろ、べろべろ」
だからと言って、このべろべろイキリ野郎を見逃すことはないがな。
「べろべろ、べろッ!?」
ーーパンッ
「痛ぁあ!?」
とりあえず軽いジャブを入れて巨漢を黙らせる。
「おい、調子乗るんじゃねぇよ。勝負受けてやるからさっさとかかってこい。死なない程度にぼこしてやる」
「うぇぇーい!」
「いいねぇ! ぼうや!」
周りの取り巻きたちがどっと騒がしくなった。
いい感じの空気だ。
「へ、へへ、そうこなくっちゃねェ! ぼうや!」
俺は懐から金貨を6枚取り出す。
「おい、べろべろ。俺は金貨6枚で勝負するからよ、お互い財布中身全部賭けてやろうぜ」
「ナニッ!?」
「おぉ!?」
「なんだと!」
取り巻きたちは金貨を取り出した瞬間に一気に湧き上がり、黒服の男たちもどよめき出した。
「あ、やっぱーー」
「おぉー!」
「なんだよ!? いきなり大勝負だぞ!」
「ふぅー! ぼうやは貴族の出の子供だったか! こんなところに来るなんて悪い子だなぁ!」
あ…………やばい、ミスった。
完全にやり方を間違えてしまった。
ムカつき過ぎたせいで理性を失っていた。
アホなのか俺は
金貨6枚なんて出したら黒服も俺に注目してしまうじゃないか。
「チッ」
だが時すでに遅し。
最初に勝負をふっかけたべろべろ巨漢は場の空気に呑まれて、後には引けない状況になってしまっている。
「へ、はは、へェぼうや、お金をたくさんもってるんだ、ねェ……実は俺も金貨6枚ピッタリ持っててーー」
べろべろ巨漢はポケットから用心深く皮袋から金貨6枚を取り出した。
しかしーー。
「おい! 待てよ、てめぇ、お前はもっと持ってる筈だろうが」
「な、お、おい! よせ! やめてくれェ!」
取り巻きの男たちは数人がかりでべろべろ巨漢を取り押さえ、革袋の中身をひっくり返す。
すると革袋から金貨や銀貨などの硬貨が気持ちのいい音を立ててリングに落ちた。
出てきた金貨の数は7枚、先ほどの6枚と合わせてこの男の所持金は金貨13枚以上あったことになる。
「おぉ、結構えげつねぇな……」
自然とべろべろ巨漢に同情してしまう。
きっと巨漢の財布の中身が暴かれる瞬間が残酷だったからだ。
良いカモを見つけたと思ったら、130万円の財産を掛けた大勝負に発展してしまった……なかなかに不運な男である、べろべろ巨漢。
不要に財産を持ち歩くもんじゃないな。
「ぁ、あぁ! このクソガキ! お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだ!」
だがどれだけこの巨漢に同情しようとも俺は負けてはやらない。
だって俺も王都で過ごすための財産かかってるし、そもそも悪いのはコイツだ。
俺がお前に出来る最大の譲歩は、苦しませずにダウンさせてやるくらい……だ、と言いたいところだが。
「くっ! 仕方ねェ! ぼうや、悪いが俺にも後が無くなっちまったようだからよォ。手加減する余裕が無くなっちまったかもしれねェ」
あんま強くないと思うのだがな。
まず「剣気圧」が無い時点でお話にならない。
俺は黒服の男たちをチラッと確認する。
マフィア風勢の男たちはしっかりとこのファイトを見届ける姿勢だ。
うむ、やはり圧勝はまずい。
マフィアみたいな犯罪組織に目をつけられたくないし、そもそもこんなガラの悪いファンは作りたくない。
ギリギリの辛勝……が理想だ。
だがあまりワザとらしくなっても行けない。
「やれぇー!」
「頑張れよ! ぼうやー!」
「負けるなぁよ! グレゴリック!」
「いくよォ! ぼうや、俺も負けられないからねェ!」
とりあえずは良いバトルをしている風に見せよう。
瞳を閉じて意識を集中し「剣気圧」を今までの感覚的にちょうどいいと思われるところまで下げる。
よし調整完了だ。
瞳をゆっくり開く。
「やれ! いけぇ!」
「ほら! どうした! ぼうや!」
「構えないのか!」
「ダリア! 舐められてるぜ!」
……なに?
喧騒のさなか俺の目映ったのは飛びかかってくる巨漢の男ではない……取り巻きの向こう側にいるくたびれた帽子被った男だった。
その帽子を被った男は異様な気配を漂わせ俺の目を注意をひいてはなさない。
ただ、俺の注意を引いたのは正確に言えばその帽子の男ではなく、その男が抱えている人間のだったのかもしれない。
「ぁ」
抱えられている小さな小さな人間は頭に分厚い布を被せられており、一見すればただの布袋に見える。
ただ俺には気配でわかる。
あれは人だ。
その光景から脳裏に浮かんだ1つの言葉。
人攫いい。
今まさにその被害者の子供が目の前にいる。
そういう犯罪者たちがいる事は話には聞いていたが、まさかこんな簡単に出くわすとは思わなかった。
つい目を奪われていた時、人攫いの帽子の男がこちら側を振り返りニヤリと笑った。
一体なんなんだ?
ーーゴキャッ
「うァアア!」
突然耳元で鳴った何かが砕ける粉砕音と、眼前でヘタリ込み大声を出す巨漢の男
「ぅ、う、腕ガァ!」
目の前でもがき苦しむ巨漢の男が掲げている腕を見て、何が起こったのか瞬時に悟った。
「やべ……やっちった」
人攫いに目を奪われて無意識の内に剣気圧の強度上げてしてしまっていたのだ。
巨漢の男は鎧圧を全力でぶん殴ってしまったらしく、手首が変な形になってしまっている。
「うァアアア!」
目の前でのたうち回る巨漢から目をそらし、再び人攫いの方へ視線を向ける。
既に人攫いはいなかった。
剣知覚を発動してあたりを探ってみると、どうやら黒服2名が塞いでいた扉の奥へ行ったらしいと知る。
そこからどんどん下へ、下へ下へと向かっている。
気配の動き方から、あの扉の先には地下へ通じる通路があることがわかる。
「腕ガァア!」
「うるせぇッ! お前がふっかけた喧嘩だろうが。俺は悪くないからな。とりあえず全部寄越せ!」
俺はヤケクソになって転げ回る巨漢から、こぼれ落ちた革袋を拾い上げて中身を確認する。
「とりあえず慈悲をくれてやるよ」
革袋から金貨を3枚取り出し巨漢へ投げつける。
巨漢の男は腕の痛みに呻きながらも金貨3枚をたしかに拾い、大事に抱え込んだ。
「くゥゥッ!」
結局、巨漢は勝手に自滅してしまうし、黒服やここのガラの悪い犯罪者集団みたいな奴らには目をつけられてしまうし最悪だ。
とにかくこの場を離れるべきだと判断して、俺は外套を拾い上げてさっさと路地裏から出て行く事にした。
ー
人々が本格的に活動し始めている大通りを歩く。
あの裏路地で見た人攫いの事が俺は気になっていた。
何がこんなにも引っかかるのかわからない。
目の前で子供がさらわれているのを見て確かに驚いたし、可哀想だなと他人事の感情は湧いて来た。
本心で言えば助けてあげたい。
俺にはそれを実行するだけの力もある、はずだ。
「なに考えてるんだよ、たく」
自惚れているな。
最近は勝ちが続いているから俺は調子に乗ってしまっている。
冷静に考えてみろ。
あの黒服と扉の先に発見した気配数。
相手はきっと巨大な犯罪組織だ。
ファンタジックな夢見がちな思考は捨てろ。
俺ごときの一個人がどうしたところで組織という生き物には絶対に勝てない。
それにだ。
あの子供だけ救ったって俺の自己満足で終わるだけだ。
きっと世界では、王都では人攫いなんて日常茶飯事に起きていることなんだ。
だから俺が子供を助けたって何の意味もない。
そこに大義はあっても意義はない。
「はぁ……見たくなかった……」
見なければ何も悩むことはないのに。
人はそれが目に入ってしまうから気になるんだ。
元の世界でだってそうだろう。
アフリカでどれだけの子供が食べ物がなく、無残に死んでいようが、紛争で命を落としていようが、そんなものが見えない日本という場所にいれば、結局何にも気にする事なく生きることが出来る。
自分の知らないところでならいくら子供が攫われていようときっと無関心、何の興味もなく生きられる。
ただ、今回は見えてしまったってだけだ。
あんなのは氷山の一角にすぎないというのに。
「……そうだよ、やっぱバカなことはやめよう」
エヴァやアディにだって迷惑はかけられない。
俺には俺の人生がある。
あの子供は運がついていなかったんだ。
だからその運のついていなかった知りもしない子供のために、俺がわざわざ危険を冒す必要はない。
俺は間違ってない……。
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