異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家

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第五章 都市国家の聖獣

ブラスマント王家の対応

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  ハブレスは顎に手を当てて思案し、王の問いに返答する。

「《イルト・ポーラー》ならば、あるいは攻撃を届かせることができるかもしれません」
「おお、まことか。流石は我が娘、クリスト・カトレアの宝よ」

 ブラスマント王は両手をあげて娘を讃えた。
 宰相も宮廷魔術師も「彼女ならば可能でしょう」とにこやかにハブレスの才能をほめたたえる。

 だが、彼女は付け加える。

「しかし、射程ぎりぎりと言ったところでしょうから、とても十分な威力を維持できるかどうか……。おそらくですが……わたくしの魔力と技術では不足でしょう」

 ハブレスは『氷の三式魔術師』だった。
 王城でも宮廷魔術師たちと並んでもっとも優れた魔術の使い手のひとりであった。

 魔術にはそれぞれ段階が存在しているが、それはなにも同じ段階だからと言って、皆が同じ実力であることを意味するわけではない。『氷の三式魔術師』のハブレスは、”三式になれた魔術師”だ。”四式になれない魔術師”ではない。
 三式魔術という規格を完全にコントロールし、三式魔術で行える最大火力・最大規模・最大燃費・最大魔力装填量で術を行使できるかと問われれば、まったくの”ノー”であるのだ。

(三式魔術のポテンシャルならば理論上100mの攻撃は可能……そこに最大魔力を込められれば射程はさらに伸びるでしょうが……わたくしには魔力を追加できるほどの技はない……)

「申し訳ございますせん、お父様」
「うむ……仕方ない。我々では手に負えないとなると、彼らに動いてもらわねばならなくなるな……」

 ハブレスふくめ、宮廷魔術師たちはハッとする。

「もしや陛下……カトレア家の方を?」
「ああ、それしかないだろう。国家の運営を託された身としては、大変に不甲斐ないことだが、あの方々の指示がこうした有事にこそ必要だ」

 ブラスマント王は真の王家である”聖獣王家カトレア”に対応を仰ぐことにした。
 使者の役目はハブレスにまわってきた。

「では、行ってまいります」
 
 カトレア家の者は二層化されている王城の下層にて生活をしている。
 上層と下層をつなぐ大螺旋階段には、厳格な警備がある。
 それは総勢200名からなる、カトレア家を守る精鋭騎士団による警備だ。
 
 この大螺旋階段は普通は長い期間──それこそ数年単位で閉ざされている。
 聖獣の住まう聖域と繋がる王城下層は、生きる神秘の領域なのだ。
 なんびとも容易く踏み犯すことは許されない神聖なる場所だ。
 ゆえに表の王家でブラスマントの者であろうと、そうやすやすと通れるものではないのだ。

 ハブレスは緊張の面持ちで、大螺旋階段を一段ずつ、ゆっくりと降り始めた。
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