228 / 306
第七章 魔法王国の動乱
早馬
しおりを挟む──アーカムの視点
王都について1日目。
俺は昼のうちに早馬の調達をしようとアンナといっしょに貴族街をまわった。
魔術王国でもそうだったが、貴族という生き物は王都に別荘を構える時、決まってこうした超上流階級のストリートを形成するものらしい。
足をつかってアポなし訪問をする目的は早馬の調達だ。
早馬というものは急使がなんらかの伝達事項をたずさえて急ぎ移動する際に利用される馬のことで、こと魔法王国のそれは魔術的な品種改良を加えられたものだ。ここまで100日以上旅を共にしてきた馬たちはあくまで普通の馬であるため、軍馬でもなければ、早馬でもないし、なにか特別な品種のモンスターの類でもない。
これまで荷物をたくさん抱え有事の際に対応できるようにしていたのだが、よくよく考えると、荷物を極限まで減らし、早馬で駆けた方が良いと気づいた。
聖神国にいた時は魔法王国までは遥かな旅路だったし、先行きがわからなかったが、王都まで戻ってくれば、もう道に迷う事も無ければ長旅でもない。
なので早馬にそろそろ乗り換える時期だと判断した。
ちなみに道中の村や町では早馬を調達することはできないことはなかった。
ただ確実性はなかった。町を探し回って調達するのに時間をかけると、なんのために移動時間を削ろうとしているのかわからなくなってしまう。
だから確実性のある王都で早馬で手に入れ、駆けるというプランを選んだ。
幸いにもすぐに早馬を調達できそうだった。
貴族街をまわった結果、何人かの貴族に接触でき、俺がキンドロ領地貴族の孫だと伝えると、すごく良くしてくれて、騎士団とのコネクションで早馬を用意できるとのことだった。
「これから泣き声の荒野に向かわれるのですね……どうかキンドロ卿によろしくお伝えください」
貴族は当主の弟の三男坊で、長男と次男が合戦に向かっている間、屋敷を預かっているのだと言う。いま魔法王国にはこういう貴族がたくさんいる。
当主の座にいるものは戦役から逃げられないので、戦役中は、本来なら家を継ぐはずでない者たちが一時的にそのポストに収まることになる。当主が帰らなければ、当主の繰り上げが行われ、そのまま領地を運営していくことになる。
早馬を手に入れる算段つけ終えると、日が落ちて暗くなっていた。
向こうの通りでゲリラ配信をしているキサラギとアンナを拾って今夜はゆっくり休むことにする。
貴族街をあとにし、日が落ちる古風な街並みを歩く。
気が付けば周囲に風化した遺跡ばかりの地域を歩いていた。
「ここが遺跡街か」
ローレシア魔法王国には古い時代の遺跡がそのままの形で保存されているという話だったが、なるほどたしかに1,000前の古代文明の石碑と言われても納得できる石造の建築物だらけだ。どれもこれも年月で風化し、いまはその全容を知ることはできず、欠損の美を称えているだけだが、確かな時間の重みを感じることはできる。
『アーカム! ちょっと地下に入ってみよう!』
お告げが来ました。
超直観くんのお告げです。
お告げは絶対。嘘じゃない。
ということで、路地を一本入って遺跡街の地下へ続いていそうな階段を都合よく発見したので足を踏み入れてみることにする。
まるで古代エジプトの隠された財宝を探しにいくようでちょっとわくわくする。
しかして、なにか妙な感じがする。
こういう薄暗くて、雨風しのげる場所には貧困の者や、悪党が住み着いていそうなものだが、ここにはそういう類が見当たらない。
「貴族街にわりかし近いから治安がいいとか、かな」
適当な木材を見つけたので足ですくって魔術で火をともした。
アーカム・アルドレア、これよりお告げを遂行します。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる