敵を9割弱体化させていた呪術師、追放される。勇者が雑魚敵に負ける中、俺は即死チートで無双する~戻れと言われても、魔王の娘と幸せなので~

eringi

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第24話 創造主との最終決戦。世界の理(ルール)ごと書き換えて、俺が新世界の神になる?

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「システムコマンド承認。……全エリア対象、『初期化(フォーマット)』を開始します」

上空に浮かぶ少年――『創造主』が無邪気に宣告した瞬間、世界が白く染まり始めた。
空を埋め尽くす無数の魔法陣から、破壊の光ではなく、静寂なる「無」が降り注ぐ。
それは物理的な攻撃ではない。
存在そのものをデータとして消去する、絶対的な管理権限による粛清だ。

「きゃっ……!? 足が……消えていく……!?」

アリシアが悲鳴を上げる。彼女の足先が、白いノイズとなって霧散し始めていた。
セリスも、ヴェルドラも、自分の体が透けていくのを見て愕然としている。

「おのれ……! 魔王の障壁すら通じぬというのか!?」
「我ノ鱗ガ……データノヨウニ……!」

「無駄ですよ。貴方たちは所詮、私が作ったプログラムの一部。……製作者が『いらない』と言えば、消えるのが道理でしょう?」

創造主はクスクスと笑い、指揮者のように手を振るう。
王都の建物が、逃げ惑う人々が、次々と白い砂嵐となって消えていく。
痛みはない。ただ、最初から存在しなかったかのように世界が白紙に戻されていく恐怖。

「メルキセデク、解析は!?」

「不可能です、マスター! これは魔法ではありません! 『世界記述言語(ワールド・コード)』による直接干渉です! 防ぐには同等の権限が必要です!」

メルキセデクの体も半分ほどノイズ化している。
俺の体も、指先から徐々に感覚がなくなっていた。

「なるほど、管理者権限ってやつか。……チート対策としては優秀だな」

俺は消えゆく自分の手を見つめ、ニヤリと笑った。

「だが、詰めが甘いぞ」

俺は意識を集中させた。
相手がシステムで来るなら、こっちもシステムで対抗するまでだ。
俺のスキル『編集』。
それは単なるステータス操作や物質変換ではない。
この世界の「理(ことわり)」そのものにアクセスし、書き換える力。
つまり、俺は最初から「管理者権限」を持っていたのだ。

「システム干渉開始。……俺の『編集』権限で、お前の『削除』命令を上書きする」

スキル発動、『対抗編集(カウンター・エディット)』。
対象:創造主の『初期化』コマンド。
変更内容:【実行キャンセル】&【データの復元】

ピタリ。

世界の崩壊が止まった。
アリシアの足が、セリスの体が、王都の街並みが、巻き戻されるように元通りに修復されていく。

「……はい?」

創造主の笑顔が消えた。
彼は空中で首を傾げ、自分の手を見た。

「あれ? おかしいですね。確かにコマンドは実行されたはずなのに。……バグかな?」

「バグじゃない。俺が直したんだよ」

俺は空を蹴り、創造主と同じ高さまで上昇した。

「な……君、今何をしたんですか? 私の管理者コードに侵入した……?」

「お前のセキュリティ、穴だらけだぞ。パスワードくらい設定しておけ」

「……っ! 生意気な……!」

創造主の表情が一変した。
無邪気な少年の顔が、激昂した鬼のような形相に変わる。

「ただのデータの分際で! 製作者に逆らうな! 『削除』! 『削除』! 『削除』ォォォッ!!」

彼は両手から、黒い稲妻のような「削除コマンド」を乱射した。
触れれば即死、防御不能の即死攻撃の嵐。

「危ない、クロウ!」

セリスが叫ぶ。
だが、俺は避けなかった。

「『編集』。対象:削除コマンド。……属性変更:【そよ風】」

黒い稲妻が俺に触れる直前、爽やかな風に変わって俺の髪を揺らした。

「『編集』。対象:削除コマンド。……属性変更:【花びら】」

次は無数のバラの花びらとなって舞い散る。

「『編集』。対象:削除コマンド。……属性変更:【子猫】」

最後は、大量の子猫が空から降ってきて、「ニャー」と鳴きながら俺の周りを浮遊した。

「な、な、な……!?」

創造主が絶句する。
彼の最強の攻撃が、ただのファンシーな演出に変えられてしまったのだ。
地上で見守る人々も、空から降ってくる子猫の群れにポカーンとしている。

「ど、どうなっているんだ……!? 私の権限が……効かない!?」

「お前は『作る』側かもしれないが、俺は『直す』側だ。……完成したプログラムをいじるなら、デバッガーの方が強いに決まってるだろ」

俺は一歩ずつ、空を歩いて彼に近づく。

「来るな! 寄るな! 『強制停止』! 『アクセス禁止』! 『アカウント凍結』!!」

創造主は必死にコマンドを叫ぶが、全て俺の『編集』によって無効化される。

「さて、そろそろ退場してもらおうか。……この世界の管理者は、もうお前じゃない」

俺は創造主の目の前に立ち、その胸に手を当てた。

「ひッ……!?」

「チェックメイトだ」

スキル発動、『権限編集(オーソリティ・エディット)』。
対象:創造主。
実行内容:【管理者権限の剥奪】&【一般人(NPC)への降格】

「や、やめろぉぉぉッ! 私は神だぞ! この世界を作ったんだぞ! それを奪うなんて……!」

「作った責任を取らない奴に、神を名乗る資格はない。……下界で人間として、泥にまみれて生きてみろ」

ズギュゥゥゥゥゥンッ!!

俺の手から放たれた光が、創造主の体を貫いた。
彼の体から、黄金の光の粒子――「神の権能」が抜け出し、俺の体へと吸い込まれていく。
全知全能の感覚。
世界の全てが手に取るように分かる。
星の裏側の天気から、路地裏の蟻の動きまで、全ての情報が俺の脳内に流れ込んでくる。

「あ……あぁ……力が……消える……」

創造主の輝きが失われる。
背中の翼が消え、浮遊能力もなくなり、彼は重力に従って落下し始めた。

「うわあああああああああああああっ!!」

ただの少年となった元・神様は、手足をバタつかせながら王都の噴水広場へと落ちていった。
(一応、死なないように水面に着水するよう『落下地点編集』をしておいてやった。優しいな、俺)

静寂。
空には、神の力を吸収し、黄金に輝く俺だけが残った。

「クロウ……お主、その姿は……」

セリスが地上から呆然と見上げている。
今の俺は、まさに新世界の神そのものだった。
指一本動かせば大陸を消せるし、望めば時間を巻き戻すことも、死者を蘇らせることもできる。
文字通り、世界を意のままにできる力が手に入ったのだ。

「……ふむ」

俺は自分の手を見つめ、考えた。
この力を使って、何をしようか。
世界征服? ハーレム王国建設? それとも、永遠の命を楽しもうか?

『警告。管理者権限への完全移行には、自我の統合が必要です。……個としての感情を捨て、システムの一部となりますか?』

脳内に、無機質なシステム音声が響いた。
神になるということは、個人の人格を捨て、世界を管理する装置になるということらしい。

「……はっ、冗談じゃない」

俺は笑い飛ばした。

「俺はクロウだ。ただの荷物持ちだ。……システムなんかに使われてたまるか」

俺は両手を広げ、世界全体に向かって宣言した。

「聞け、世界! そして全ての住人たちよ!」

俺の声は、以前の創造主のように強制的なものではなく、風に乗って自然と世界中へ届いた。

「今日をもって、この世界の『管理』を終了する!
レベルも、ステータスも、勇者や魔王といった『役割(ロール)』も、全部廃止だ!
これからは、誰かに決められた運命じゃなく、お前らが自分で決めた道を行け!」

俺は最後のスキルを発動した。

スキル発動、『世界編集(ワールド・エディット)』。
実行内容:【「運命システム」の完全削除】&【管理者権限の自己崩壊】

パリンッ。

世界中で、何かが割れる音がした。
それは人々を縛っていた見えない鎖――ステータスプレートや、神託、運命といったシステムが砕け散る音だった。

「クロウ!? お主、何を……!」

セリスが驚いて叫ぶ。
俺の体から、黄金の光が溢れ出し、空へと溶けていく。
神の力を、世界中に還元したのだ。
魔力として、自然の恵みとして、全ての人々に平等の可能性として。

「あーあ、もったいない。……でも、これでいい」

俺の体が元の重さを取り戻し、ふわりと降下する。
神の輝きは消え、いつもの黒髪の青年、ただのクロウに戻った。

「……ただいま」

俺は王城のテラスに降り立った。
そこには、涙目の仲間たちが待っていた。

「馬鹿者! 心配させるでない!」

セリスが飛びついてきた。
その勢いで俺たちは床に転がる。

「クロウ様……! 神様の力を捨ててしまうなんて……」

アリシアも泣きながら抱きついてくる。

「もったいないことしますね、マスター。……ですが、それが貴方らしい」

メルキセデクが眼鏡を拭いながら微笑む。

「主ヨ! 我ハ腹ガ減ッタゾ!」

ヴェルドラは空気も読まずに叫んでいる。

「ああ、悪い悪い。……帰ろうぜ。俺たちの家に」

俺たちは立ち上がり、王都の人々に手を振った。
人々は歓声を上げている。
神の支配から解放された人類は、これから自分たちの足で歩いていくだろう。
混乱もあるだろうし、争いも起きるかもしれない。
でも、それは彼らが自分で選んだ結果だ。
管理された平和より、自由な混沌の方が、人間らしくていい。

   ◇

それから一年後。

大陸の北端、魔境『竜の顎』改め『竜の楽園(ドラゴン・リゾート)』。
かつては魔物が跋扈する不毛の大地だったそこは、今や世界中から観光客が訪れる一大リゾート地となっていた。

「いらっしゃいませー! 名物『魔王印の温泉まんじゅう』はいかがですかー!」

お土産屋の店先で、元気な声が響く。
売り子は、かつての大聖女エリスだ。
彼女は魔力こそ失ったが、持ち前の愛想の良さと計算高さで、今や敏腕店長として働いていた。
「フフッ、売上目標達成ですわ。……これなら店をもう一店舗増やせますわね」
黒い商魂は健在らしい。

「こらガルド! サボるな! 露天風呂の掃除が終わってないぞ!」

「へいへい、分かってますよメルキセデクの旦那ぁ……」

元四天王ガルドは、従業員リーダーとしてこき使われている。
他の魔族たちも、観光客相手のガイドや警備員として真面目に(?)働いていた。

そして、屋敷のテラス。
俺はデッキチェアに寝そべり、優雅にトロピカルジュースを飲んでいた。

「ふあぁ……。平和だな」

「うむ。平和すぎて退屈なくらいだ」

隣のチェアでは、セリスがサングラスをかけて日光浴をしている。
彼女のお腹は、少しだけふっくらとしていた。
……ええ、まあ、そういうことだ。

「クロウ様、あーんしてください」

反対側からは、アリシアがフルーツを差し出してくる。
彼女はこのリゾートの専属医師として、湯治客の治療に当たっているが、オフの日はこうして俺にべったりだ。

「主ヨ、魚ヲ獲ッテキタゾ! 焼イテ食オウ!」

ヴェルドラが巨大なマグロみたいな怪魚を抱えて空から降りてくる。
彼女は相変わらず野生児だが、夜は……まあ、元気すぎて俺の腰が心配になるレベルだ。

「マスター。……元・創造主の少年から手紙が届いております」

メルキセデクが封筒を持ってきた。
あの少年、今は王都の孤児院に引き取られ、普通の子供として暮らしているらしい。
手紙には、拙い字で『人間って大変だけど、面白いね。今度遊びに行くよ』と書かれていた。

「遊びに来るのはいいが、無銭飲食はさせないぞ」

俺は苦笑して手紙を置いた。

神の力を捨てた俺だが、『編集』スキルだけは残っていた。
ただし、世界の理を書き換えるような大掛かりなことはもうできない。
せいぜい、不味い料理を美味くしたり、肩こりを治したり、温泉の温度を調節したりする程度の「生活便利スキル」だ。

でも、これでいい。
俺が求めていたのは、最強の称号でも、神の座でもない。
大切な仲間たちと、美味い飯を食って、笑って暮らす。
ただそれだけの「幸せ」だったのだから。

「さて、そろそろ仕事するか」

「仕事? 何の用だ?」

セリスがサングラスをずらして聞いてくる。

「温泉の効能をちょっと『編集』しようと思ってな。……『安産祈願』の効果でも追加しておくか」

俺がセリスのお腹を見ると、彼女は顔を真っ赤にして、枕を投げつけてきた。

「ば、馬鹿者! 気が早いわ!」

「あら、私もお願いしますね? ……まだ予定はありませんけど」

アリシアが意味深に微笑む。
ヴェルドラも「我モ! 我モ!」と騒ぎ出す。

やれやれ、俺の戦いはまだ終わりそうにないな。
主に、家庭内での平和維持という意味で。

でもまあ、悪くない。
追放された荷物持ちは、世界を救い、そして最高の居場所を手に入れた。

これが、俺の成り上がり物語の結末だ。

「みんな、愛してるぞ!」

「なっ、いきなり何を……!」
「もう、クロウ様ったら……」
「照レルナ、主ヨ!」

青空の下、俺たちの笑い声がいつまでも響き渡った。

追放された荷物持ち、アイテム効果を書き換えSSSランク装備を量産する
~美少女と最強ギルド設立。勇者一行が泣きついてももう遅い~

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kiki520
2026.01.02 kiki520

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