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6 謁見

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 今日は、謁見の日だ。挨拶の仕方も挨拶の言葉も何とかなったと思う。まぁ、何とかなるだろう。着ていく服も伯爵家で作ってくれ、馬車で城に行くみたいだ。

「緊張する」

「大丈夫よ」

「大丈夫、一緒にいるから」

「あと、このベール何?邪魔なんだけど。」

「我慢してね。みんながびっくりするから。」

「そうそう。王様がベールを取れと言うまで外さないでくれ。」

「わかりました。」

 

「よう、来てくれた。」

「さぁ、もっと前へ、」

「はい。」

「バードナー伯爵よ、面倒な挨拶はなしだ。いいなお前ら」

「御意」

「さぁ、落ち人よ」

「お初にお目にかかります。星野と申します」

「星野か、名前か性か?」

「性にございます。」

「名前は?」

「大変申し訳ありませんが、結婚する相手に最初に教えるのが私の国の決まりでして。結婚したら、教えられます。」

「なぜだ?」

「名前、真名は、真の名を伝えることは、相手に自分のすべてを任せることになると言われています。そのため、結婚する相手に親から貰った真名を初めて教えることが相手への信頼なのです。」

「そうか、では、仕方ないな。」

「伯爵よ、隣国の話では、落ち人は、落ち人を見つけた人が後見人にとなり面倒を見る。しかし、落ち人が王国に後見人になって欲しいと言えば王国が後見人にとなる。落ち人の意志が尊重される。我が国もそのようにする。それでいいか?落ち人の星野のよ。」

「はい。」

「では、どうする?」

「伯爵様にお世話になりたいと存じます。」

「そうか、では、バードナー伯爵頼んだ。」

「伯爵よ、そういえば、なんでベール着けさせているのだ。これもかの国のしきたりなのか?」

「いえ、星野は、とても端正な顔立ちのため、少々困ることもあるかと思い。」

「そうか、星野よ、顔を見せては貰えぬか?」

「はい。」

 ベールを外すと、顔が赤くなり、ぽーっとしている人や驚愕している人などがいた。そして、みんな俺に見とれているようだった。

「なんと。綺麗な顔、人形のような顔立ちだな。ワシの側妃にならんか?」

「ご遠慮させて頂きます。」

「遠慮せんでも良いんだぞ。」

「王様と私では、つりあいません」

「気にするな」

「気にします。」

「側妃が嫌なら第三夫人ならどうだ。」

「申し訳ありませんが、私は…傷物なのです。どうかお許しを。」

「そ、そうか。そういえば、落ち人は、傷つき落ちてくる。辛いことを言わせてしまった。すまん」

「いえ、お気遣い頂きありがとうございます。」

「では、伯爵大切にしてあげろ。何かあれば、こちらでも対処するぞ。」

「大変有り難きお言葉。」

「今日の謁見は、これで終わりだ。」

「あぁ、伯爵は、書類があるから残ってくれ。二人は、向こうの部屋で待っていてくれ。直ぐに終わる。」





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