13 / 52
13 ゼロとディラン
しおりを挟む
「ゼロ、ゼロは手先か器用なんだな。職人みたいってミランダが言っていた。」
「ディランさん。そこまでではないですよ。」
「ゼロは、俺が嫌いか?」
「えっ、そんなことはないです。」
「でも、俺にだけ距離がある。壁がある。俺は、ゼロが好きだから分かる。」
「……ごめんなさい。」
「それは、何のごめんなさい?俺は、ゼロが好きなんだ、初恋だ。運命だと思っている。」
「ディランさん、気のせいですって。俺が怖くないって言ったから、好きになった気がしているだけだ。」
「違う、本当に好きなんだ。」
「俺のどこがいいんだよ、何も知らないくせに。」
「俺は、知らないかもしれないが、ゼロのことなら全部知りたい。」
「無理だ。俺は、底辺を生きて来たんだ。違うんだ」
「前のことなんか関係ない。」
「知らないからそんこと言えんだよ。」
「教えてくれ、何がそんなに違うんだ。」
「しつこいよ。もう行くから。」
「ゼロ、待って。」
ディランさんを振り切り部屋に戻る。知られたら、知られたら、無理だよ。言えないよ。みんなに嫌われ、汚い物をみる目で見られるんだ。伯爵家のみんなは優しいから、哀れみ同情するだろう。そして、腫れ物扱いされるんだ。
ディランさんのこと嫌いじゃない。好みのタイプなんだから、毎日話しかけてくれ、好きなんだ、気付いてくるってあんな目で見られたら、こっちだってその気になりそうだよ。でも、俺は、無理なんだ。教えずに付き合えるならそうしたい、でも、出来ない。今でさえ、みんな優しくて辛い。もし隠して付き合えても、体を売って生活していことが無くなることはない、隠していることがもっと辛くなる。神様、なんで転移だったんだ。
早く早く離れないと。まだ大丈夫。まだ好きじゃない。今なら大丈夫。この世界で物を作って金を稼いで誰にも文句言われないようにしないと。俺が必要とされるような仕事をしなきゃ。迷惑かけたくない。
ゼロは、何を抱えているだ。何に傷ついているのだろうか。あんな表情やあんなことを言わせてしまった。俺じゃあダメなんだろうか。ゼロのことが知りたい。どんなことを抱えていてもゼロがゼロでいてくれる限り俺は、愛したい。
俺は、何も経験もしていない、わからない。傷つくことに恐れて、今まで何もしてこなかった。だけど、ゼロだけは、ゼロだけには、逃げたくない。嫌がられても向かっていく。本気でゼロが好きだ。
「ディランさん。そこまでではないですよ。」
「ゼロは、俺が嫌いか?」
「えっ、そんなことはないです。」
「でも、俺にだけ距離がある。壁がある。俺は、ゼロが好きだから分かる。」
「……ごめんなさい。」
「それは、何のごめんなさい?俺は、ゼロが好きなんだ、初恋だ。運命だと思っている。」
「ディランさん、気のせいですって。俺が怖くないって言ったから、好きになった気がしているだけだ。」
「違う、本当に好きなんだ。」
「俺のどこがいいんだよ、何も知らないくせに。」
「俺は、知らないかもしれないが、ゼロのことなら全部知りたい。」
「無理だ。俺は、底辺を生きて来たんだ。違うんだ」
「前のことなんか関係ない。」
「知らないからそんこと言えんだよ。」
「教えてくれ、何がそんなに違うんだ。」
「しつこいよ。もう行くから。」
「ゼロ、待って。」
ディランさんを振り切り部屋に戻る。知られたら、知られたら、無理だよ。言えないよ。みんなに嫌われ、汚い物をみる目で見られるんだ。伯爵家のみんなは優しいから、哀れみ同情するだろう。そして、腫れ物扱いされるんだ。
ディランさんのこと嫌いじゃない。好みのタイプなんだから、毎日話しかけてくれ、好きなんだ、気付いてくるってあんな目で見られたら、こっちだってその気になりそうだよ。でも、俺は、無理なんだ。教えずに付き合えるならそうしたい、でも、出来ない。今でさえ、みんな優しくて辛い。もし隠して付き合えても、体を売って生活していことが無くなることはない、隠していることがもっと辛くなる。神様、なんで転移だったんだ。
早く早く離れないと。まだ大丈夫。まだ好きじゃない。今なら大丈夫。この世界で物を作って金を稼いで誰にも文句言われないようにしないと。俺が必要とされるような仕事をしなきゃ。迷惑かけたくない。
ゼロは、何を抱えているだ。何に傷ついているのだろうか。あんな表情やあんなことを言わせてしまった。俺じゃあダメなんだろうか。ゼロのことが知りたい。どんなことを抱えていてもゼロがゼロでいてくれる限り俺は、愛したい。
俺は、何も経験もしていない、わからない。傷つくことに恐れて、今まで何もしてこなかった。だけど、ゼロだけは、ゼロだけには、逃げたくない。嫌がられても向かっていく。本気でゼロが好きだ。
8
あなたにおすすめの小説
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
世界を救ったあと、勇者は盗賊に逃げられました
芦田オグリ
BL
「ずっと、ずっと好きだった」
魔王討伐の祝宴の夜。
英雄の一人である《盗賊》ヒューは、一人静かに酒を飲んでいた。そこに現れた《勇者》アレックスに秘めた想いを告げられ、抱き締められてしまう。
酔いと熱に流され、彼と一夜を共にしてしまうが、盗賊の自分は勇者に相応しくないと、ヒューはその腕からそっと抜け出し、逃亡を決意した。
その体は魔族の地で浴び続けた《魔瘴》により、静かに蝕まれていた。
一方アレックスは、世界を救った栄誉を捨て、たった一人の大切な人を追い始める。
これは十年の想いを秘めた勇者パーティーの《勇者》と、病を抱えた《盗賊》の、世界を救ったあとの話。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる