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15 ディランの本気

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「これ前に美味しいって言ってた、クッキーだ。ゼロのために買ってきた。」

「ありがとう、ディランさん。毎回いいのに。そんなにしないで欲しい。」

 あれから、毎日のように口説かれている。俺のために時間を作って俺の好きな物を買いに行ったり、俺のことを誉めてくれたりする。前より少しずつ一緒にいる時間が増えてきていた。
 この状況はやばいと頭の中で警告音が毎日なっていた。会話が楽しくて、俺だけを見てくれるのが嬉しくて、警告音無視してた。

「もう、プレゼントとかはいらないなら。大変でしょ。」

「別に俺がしたいんだ。ゼロのことを考えて買うことが楽しいから。」

「俺は、無理だよ。」 

「分かっている。だけど、したいんだ。迷惑かけてごめん。でもやめないから。ゼロが好きだ」

「わ わかったから。もう」

「ほんとか?俺は、ゼロが好きだ。」

「言わなくていいから。」

「言わないと伝わらないだろ。」

「あーこの前までのディランさんどこにいったの。」

「俺は、本気だから変わることにした。」

「他に本気になってよ。」

「俺は、不器用だから一つことしか出来ない。ゼロしか見えないから。」

「はあー、困る」

「どうしてだ?」

「開き直ってるよ。」

「開き直るさ、ゼロが好きなんだから。何も怖くない。」

「俺は、怖いよ。その正直さが」

「そうか?」

「うん。」

「でも、無理だ。ゼロが無理だっていうだろ。俺も諦めることは無理だ」

「あーあーもう聞きたくないです。どうしたら諦める?


「無理だ」

「もう、平行線だよ。」

「平行線ではないぞ。」

「平行線だから、交わらない。」

「平行線なら重なればいい。ゼロの全てを受け入れる。一つになればいい。」

「はぁー絶対に受け入れられないよ。」

「そんなことはない。」

「あるってんだろ。」

「ない。」

「ほら平行線だ。」


「もう、何言い合ってるの?仲良いね。」

「そうだろミランダ。」

「違うだろ。」

「ゼロ、ディランお兄様けっこうおすすめよ。」

「そうだ、もっと言ってくれ。」

「真面目だし、優しいし、一途だし。誰とも恋愛もしたことないから真っ白よ。25歳だけどピュアよ」

「それは、言わない約束だろ。」

「えっでも、遊んでいる男よりは、いいわよね。」

「あれ、ゼロどうしたの?何か調子悪い?」

「あ あ 大丈夫。」

「そう?ならいいけど、ほら、こんな見た目だから怖がられて何もないから。」

「えっと 何もないって」

「それは、そのまぁそう言うことだ。恥ずかしながら。」

「そうそう、だからね、本気でゼロが好きなんだよ、ディランお兄様は。」

「ゼロ、具合悪くなったのか?大丈夫か?」

「あっうん。ごめん、なんか具合わるいかも。」

「ゼロ、ごめんね、部屋で休む?」

「うん。そうする。二人ともごめん。」
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