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18 後悔

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 なんて辛いことを話したくないことを話させてしまったんだ。
 俺は、ゼロが出て行っても暫く動けなかった。家族のみんなも同じだった。

兄「あぁ、辛いこと話させるなんて。」

妹「絶対、知られたくなかったよね。」

母「だから、無理って言ってたのね。」

父「良かれと一人暮らしを許可したんだが。」

「俺は、どんなゼロでも関係ない。」

母「そうよ、関係ないわ。」

妹「どんな気持ちで話しただろう。なんで詰め寄ってしまったのかしら。はあー。」

兄「おい。ディラン追いかけないのか?」

父「待て。ディラン、お前は本当に大丈夫なんだろうな。」

母「そうね、たぶんいっぱい傷付いて来たんだと思うわ。いつも最後には、怖いって言うのよ、ゼロ。」

父「確かに。怖いって言っていた。お前は、ゼロを傷付けないか?幸せに出来るのか?」

「出来る。必ず幸せにする。家族になりたい。」

妹「じゃあ、行かなきゃ。」

父「場所は、ここだ。遠くはない。」

兄「会ってもらえなくても頑張れ」

母「そうよ、あとは、あなたの愛を伝えなさい。」

父「そうだ、嫌われることが怖くて、愛されることに不慣れなあの子をお前が愛せ。」

妹「うん。ゼロは、愛されたいと思っていよ。でも自分には価値がないって思ってるのよ。」

「行ってくる。」






ブーブー コンコン    ブーブー コンコン

「ゼロ、ゼロ、いるんだろ。ディランだ。ドアを開けなくてもいいから聞いてくれ。」

「俺の気持ちは、変わらない。ゼロが好きなんだ。つらいこと話させて悪かった。話したくないことだったと理解している。でも、俺は、ゼロのことが知れてうれしい。どんなゼロでも変わらない。好きだ。」

「また、来るから。」




 無理だよ、そんなこと言われても。こんな価値のない底辺の人間なんだぞ。怖いよ、信じられないんだよ。児童養護施設でも、俺を里子に欲しがったやつなんていなかった。みんな上辺だけ優しくて同情なんだよ。それに、みんな俺の体しか欲しがらなかった。心は、いらないって。ディランさんもああ言ってるけど、そのうち俺をいらなくなる。きっと捨てられる。それなら、付き合ったりしたくない。生まれた時から一人だったんだ。これからもずっと一人でいいんだ。大丈夫。

 なんか疲れた。もう一人でいいよ。一人でも生きられる。俺は、ゼロ。だから何をしても、毎日ゼロになるんだ。
          

 



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