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29 進展させるために

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「ねぇ、ミランちゃん、付き合ったらどれぐらいでキスとかするもん?」

「えっ、キス?」

「うん」 

「えっと、聞いてもいいのかなあ?お兄様とキスってまだなの?」

「うん」

「うそ、ほんと?」

「ほんとだよ」

「そこまでヘタレだったとは」

「で、どのぐらいでするもん?」

「早ければ直ぐよ」

「やっぱりそんなもんだよな」

「ごめんね。なんかお兄様が」

「これは、俺からいった方がいいのか?」

「いや、それはやっぱり、ディランお兄様からでしょ」

「そうだよな」

「でも、ディランお兄様のペースだといつになるのことやら」

「うん。まあ、気長に待ってもいいけど」

「でもやっぱキスしたいでしょ。その先も」

「ちょっと、ミランちゃん。はしたないですわ」

「何よ、普通のことよ」

「まぁそうなんだけどね、年下のミランちゃんからそんなこと聞きたくない」

「女の子だって色々欲あるから。それに私に相談している時点でねぇ」

「まあ、そうなんだけど」

「じゃあ、もっとカップルらしいことして雰囲気出したら?」

「どういうこと?」

「いつもデートってどこに行く?」

「公園や時計台 屋台、果樹園、布屋さん」

「カップルぽくない」

 言われてみれば、確かにカップルより家族連れや熟年夫婦が多い。デートだけど特別感とかないかも。

「だから、恋人同士が行くようなお店に行ったらどう?」

「例えば?」

「いつもなら、屋台で食事するところをちょっと良い感じのレストランとか?可愛いカフェとか?」

「あぁ何となく理解できた」

「私がディランお兄様に美味しいお店紹介しとくから。少し恋人の雰囲気を出そうよ」

「うん。いつもありがとう」

 恋人の雰囲気は出るかもしれないけど、果たしてキスまで行けるのかなあ?やっぱりここは、俺が仕掛けるしかないか。でも男のプライドってやつもあるし。俺も男だけど。色々悩んだけれど、デートの日になってしまって。

 ディランさんため息ついているなあ。何か悩みかな?やっぱり俺と付き合うの嫌なのか?だからキスしないのか?あーダメダメ、ネガティブに考えるな。


 ミランちゃんのおすすめカフェは、いかにもデートしてますっていう可愛いお店だった。ディランさんは、不安顔だけど、ここは、頑張ろう。おっ、ここは席が近い。真っ正面に座るのでなく。少し斜めの隣同士だから、体が近い。確かに恋人同士にいいね。

 あっ、あっちの恋人たちは、あーんしてる。これか。ミランちゃんはこれをしたらということなんだな。理解したよ。ありがとうミランちゃん。あーんなら俺でも出来そうだし、いいかも。

 ディランさんにあーんをしたら、少し赤くなりながらケーキを食べてくれた。俺にもあーんしてもらい、また、俺があーんをすると口の端にクリームがついてしまった。つい、ペロリと舐めたら、ディランさんが真っ赤になり、プシューと音が聞こえそうなほど沸騰していた。そのあとのディランさんは、ずっと上の空だった。舐めたのがいけなかったのかと反省したが、でも、これで少し進展する方向に行ってくれるといいなと思った。やっぱり、俺も男だから、そのしたくなるのだ。あのたくましい腕でギュッとされたいと。

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