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やっぱり呼び出しは裏庭で
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「こ、この場面は……!」
目の前に居並ぶ煌びやかなご令嬢達の姿に、クラリスは前世で友人が見せてくれた乙女ゲームの画面を思い出した。
=================================================
『見てみて!これが最初のイベント!冒頭で選択した攻略対象がヒロインのピンチに助けに来るのー!』
『へー。』
『もう、ちゃんと聞いてる?!』
そんな会話とともに前世の記憶が蘇ってくる。
陸上部に所属し体を動かすのが趣味!な自分と、対象的に文芸部でライトノベルと乙女ゲーム命!なクラスメイトの姿が浮かぶ。見た目も中身も対照的な二人だったが、何故かウマがあって、休みの日はどちらかの家で過ごすことが多かった。
その日も友人宅で、乙女ゲームにはまる友人の横で、自分は運動生理学の本を読んでいた。
友人がプレイしていたのは発売されたばかりのゲームで、何でもギャルゲーの神様と呼ばれた名物プロデューサーが初めて手がけた乙女ゲームとかで、友人は逐一解説しながらゲームを進めている。そんな独り言ともつかない解説を聞くともなしに聞いていた記憶が蘇る。
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確か、金髪でクルクルカールが可愛い、少し垂れ目気味の王道ヒロインを妬んだ悪役令嬢達が、校舎の裏庭にヒロインを呼び出していじめるっていうお約束イベントで…
で、その金髪垂れ目の美少女が自分?!
え、どういうこと?!
「嘘でしょ……こんなことって……」
怒涛のように押し寄せる記憶の波に対応できず、固まってしまっているクラリスを見て、ご令嬢集団が我慢ならないとばかりにクラリスに詰めよった。
「まあ!さすがは平民ね!目上の人間が話しているというのに、まともに口もきけないのかしら。」
「どうせ汚い手を使って試験に通ったんでしょ。あなたみたいな平民が上位で進学できるなんておかしいのよ!」
「そうよ、優秀な家庭教師のもとで学んでいる私達より点数がいいなんてあり得ないわ。さっさと退学になりなさいよ!」
ひどい言われようだが、前世の記憶に混乱しているクラリスの耳には届いていない。その反応の無さに余計に苛立ったのか、令嬢の一人がクラリスの肩を強く押した。
「痛っ」
混乱して目の前の令嬢集団が目に入っていなかったため、体を支えることができず、クラリスは思いっきり尻餅をついてしまう。
舗装されていない裏庭は、昨夜の雨で少しぬかるんでいた。
「進学するからって買ってもらった服が……」
転んだ痛みよりも、一張羅を汚されてしまったショックで、クラリスは呆然としてしまう。
「ふふ、いいザマね。」
「あなたみたいな平民はそうやって泥の中に這いつくばっていればいいのよ!」
調子づいた令嬢の一人がさらにクラリスを傷つけようと、手にしていた扇子を振り上げた瞬間だった。
「皆様お揃いで何をなさっているのかしら。」
凛とした声にクラリスに詰め寄っていたご令嬢集団の動きが止まった。
「……オストロー様!」
目の前に居並ぶ煌びやかなご令嬢達の姿に、クラリスは前世で友人が見せてくれた乙女ゲームの画面を思い出した。
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『見てみて!これが最初のイベント!冒頭で選択した攻略対象がヒロインのピンチに助けに来るのー!』
『へー。』
『もう、ちゃんと聞いてる?!』
そんな会話とともに前世の記憶が蘇ってくる。
陸上部に所属し体を動かすのが趣味!な自分と、対象的に文芸部でライトノベルと乙女ゲーム命!なクラスメイトの姿が浮かぶ。見た目も中身も対照的な二人だったが、何故かウマがあって、休みの日はどちらかの家で過ごすことが多かった。
その日も友人宅で、乙女ゲームにはまる友人の横で、自分は運動生理学の本を読んでいた。
友人がプレイしていたのは発売されたばかりのゲームで、何でもギャルゲーの神様と呼ばれた名物プロデューサーが初めて手がけた乙女ゲームとかで、友人は逐一解説しながらゲームを進めている。そんな独り言ともつかない解説を聞くともなしに聞いていた記憶が蘇る。
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確か、金髪でクルクルカールが可愛い、少し垂れ目気味の王道ヒロインを妬んだ悪役令嬢達が、校舎の裏庭にヒロインを呼び出していじめるっていうお約束イベントで…
で、その金髪垂れ目の美少女が自分?!
え、どういうこと?!
「嘘でしょ……こんなことって……」
怒涛のように押し寄せる記憶の波に対応できず、固まってしまっているクラリスを見て、ご令嬢集団が我慢ならないとばかりにクラリスに詰めよった。
「まあ!さすがは平民ね!目上の人間が話しているというのに、まともに口もきけないのかしら。」
「どうせ汚い手を使って試験に通ったんでしょ。あなたみたいな平民が上位で進学できるなんておかしいのよ!」
「そうよ、優秀な家庭教師のもとで学んでいる私達より点数がいいなんてあり得ないわ。さっさと退学になりなさいよ!」
ひどい言われようだが、前世の記憶に混乱しているクラリスの耳には届いていない。その反応の無さに余計に苛立ったのか、令嬢の一人がクラリスの肩を強く押した。
「痛っ」
混乱して目の前の令嬢集団が目に入っていなかったため、体を支えることができず、クラリスは思いっきり尻餅をついてしまう。
舗装されていない裏庭は、昨夜の雨で少しぬかるんでいた。
「進学するからって買ってもらった服が……」
転んだ痛みよりも、一張羅を汚されてしまったショックで、クラリスは呆然としてしまう。
「ふふ、いいザマね。」
「あなたみたいな平民はそうやって泥の中に這いつくばっていればいいのよ!」
調子づいた令嬢の一人がさらにクラリスを傷つけようと、手にしていた扇子を振り上げた瞬間だった。
「皆様お揃いで何をなさっているのかしら。」
凛とした声にクラリスに詰め寄っていたご令嬢集団の動きが止まった。
「……オストロー様!」
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