【完結】転生ヒロインと転生(?)悪役令嬢は逆ハーエンドを回避したい! 〜R18禁エンドはごめんです!〜

koromachi

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それぞれの放課後(図書館ではお静かに・続)

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「何だか愉快なことになっているねー」  

 そんなカオス化した空間に、ジャンの楽しそうな声が響いた。

「すまない、フルーツを選んでいたら、遅くなっ……!」

 その後ろから慌ててついてきたエラリーは、いつもとは違う食卓の様子に、トレーを落としそうになった。

「なっ、なっ、なぜっ、クラリス嬢の隣に……!」


「ん?クラリスのクラスメイトか?俺は今日からこの学園に通うポールだ。よろしくな!」

 ジャンとイメルダはいつもの席に座ると、屈託のない様子で自己紹介をするポールに笑顔を向けた。

「僕はジャン。一年生だよ」

「イメルダと申します。よろしくお願いいたします」

「……エラリーだ。クラリス嬢とは同じクラスで親しくしている」

 無言でクラリスの隣の席にトレーを置いたエラリーが、ポールを睨みつける様に真っ直ぐ見た。

「クラリスと親しく……?ふーん?」

 ポールの目がキラッと光る。

「あ、あの、皆様!こちらは私の幼馴染のポールお兄ちゃんです!私がまだ幼い頃、家族ぐるみで親しくしていたんです!」

 険悪なムードになりそうなのを見てとって、慌ててクラリスはポールと自分の関係を説明した。

 (そう、私達は幼馴染なの!それ以上でもそれ以下でもないのよ!)

 そんな思いをこめて、クラリスは精一杯の笑顔を浮かべる。


「ところで皆さん、早く食べないとお昼休みが終わってしまいますよ」

 そんなクラリスの思いが通じたのか、それまで静観していたアンソニーが、ごく常識的な忠告をしたことで、この場はひとまず収まったかの様に見えた。





「クラリス嬢、今日の果物はバナナとみかんとりんごだ」

「まあ、エラリー様、いつもありがとうございます。ですが、毎回申し上げているように、こんなにたくさんは食べられません」

 一緒に昼食を取るようになってから、エラリーはクラリスのために毎回デザートを購入していた。

 初日はクラリスの好みがわからず、スイーツ全種類をトレーに載せてきてクラリスを困惑させていたが、クラリスは果物などさっぱりしたものを好むと知り、毎回フルーツを少しずつ、何種類か載せてくるようになった。

「クラリスが好きな果物は、いちごと桃だ。それから、クラリスは少食だから、こんなに沢山は食べられないぜ」

 クラリスに礼を言われて嬉しそうにしているエラリーを見て、ポールが面白くなさそうに呟く。

「……!大丈夫、クラリス嬢、食べられる分だけ食べてもらえれば。後は私が全部食べるから、気にしないでくれ」

 クラリスを挟んで、火花を散らす二人にアリスはイライラとした視線を向けながら、ふと不思議に思った。 

 (あれ?ゲームのポールはこんなキャラじゃなかったような気がする。ウィルを呼び捨てにしたり、このポールって貴族に対しても遠慮がないわよね?)
 
 思考に耽るアリスを隣からニコニコと見つめながら、ウィルが声をかけた。

「アリス嬢、今日は授業が終わり次第、私の馬車で一緒に王宮に向かおう」

 (!忘れてた!お茶会だった!)

「いえ、私は公爵家の馬車で向かいますわ。待たせている御者にも申し訳ないですし。あ、そうでしたわ、クラリスさん、今日は一緒に帰ることができないんですの。ごめんなさい」

 ウィルの提案をバッサリ切り捨てると、アリスは心底残念そうにクラリスに告げた。

「いえ、アリス様、私のことはお気になさらないでください。それに私も今日は図書館で勉強する予定でしたし」

「そうだ、私達と一緒にな」

 クラリスの言葉を受け、ドヤ顔でポールを見るエラリーは、目の前で「あちゃー、言っちゃった」という顔をしているジャンとイメルダには気づかない。

「へえ、図書館で勉強かあ」

 ポールの唇が綺麗な弧を描いた。

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