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生徒会のお仕事
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「それで、どうしてこの顔ぶれに決められたのか、教えていただけますか?」
放課後の生徒会室は、何故か人口密度が高く、少し蒸し暑かった。
淑女の必須アイテムである扇子を取り出したアリスが、精一杯冷静な声で問いただす。
「この顔ぶれと言うと、生徒会役員のことかな?」
ニコニコ顔のウィルが確認する。
「あー、僕達のことは気にしないで。図書館でクラリス嬢も一緒に勉強会をする予定がちょっと変更になっただけだから」
悪びれた様子もなく、ジャンがサラッと言う。その隣には恐縮して小さくなっているイメルダが。
更にその隣では、エラリーとポールが睨み合っていた。
人口密度が高い原因は、クラリスが生徒会の補佐に決まったと聞いて無理矢理ついてきたポールとエラリー、それに野次馬のジャンと、ジャンを止められなかったイメルダがいたからだった。
「アリス嬢の質問に答えるけど、さっきもみんなの前で話した通りだよ。昨年度は三年生が多かったからね。三年生が卒業した後、しばらくは私とトニーの二人で生徒会業務をこなさないといけなくて大変だったんだよ。だから、今年度からはそういったことがないように、と先生方とも相談して決めたんだ」
(その業務のほとんどは私が一人でやっていましたが……)
もはやジト目がデフォルトとなったアンソニーが恨めしそうにウィルを見るが、ウィルはどこ吹く風だ。
(挙げ句の果てに、今年度の書記はアリス嬢に決めた!といきなり言い出して……各方面への根回しがどれだけ大変だったか……!)
「そのご説明では、なぜ私が書記に選ばれたのかがわかりませんわ。私よりもふさわしい方はたくさ……」
「王太子である私の婚約者で、学年一位の成績を誇るアリス嬢が書記に任命されるのに何も不思議はないと思うが」
(ま、また被せてきた!クラリスちゃんを側に置こうとするのはわかるけど、どうして私まで!)
相変わらずのキラキラ王子様スマイルに、さすがのアリスも口を閉じるしかなかった。
「皆さんいいですか。高等部では学生の自治に委ねられる範囲が、初等部、中等部に比べてだいぶ広くなります」
それぞれ自己紹介を終えて、アンソニーが生徒会の役割を説明する。
ちなみに、この時点で役員以外の面々は生徒会室から追い出されている。
「ですから、生徒会の仕事は多岐に渡ります。例えば、生徒同士の揉め事などの解決も生徒会の仕事になります」
「もちろん、我々の手に負えないと判断した場合はしかるべき所に相談することになりますが、まずは自分達で解決するよう全力を尽くさなければなりません」
「何か問題があった場合には速やかに生徒会役員で共有し、解決策を議論する必要があるということを忘れないでください」
「「「はい!」」」
「……はい……」
未だ緊張が解けない様子の一年生三人は元気よく、未だ納得がいかない様子のアリスは渋々、アンソニーの説明に頷いた。
「まあ、今日は顔合わせといった所だから。あまり長くなってもいけないし、そろそろ解散しようか」
「そうですね。皆さん、お疲れ様でした。お気をつけてお帰りください」
ウィルの解散宣言に、サラとダンリーは一礼して生徒会室を出て行く。
「クラリスさん、今日こそは一緒に帰りましょう」
ホッとしたアリスがクラリスを連れて退出しようとしたところをすかさずウィルが引き留める。
「少し話したいことがあるから、アリス嬢は残ってくれないか。トニー、クラリス嬢を図書館まで送って行ってくれ」
「かしこまりました。クラリス嬢、行きましょう」
「は、はい……アリス様、また明日……!」
(こ、この、腹黒王子ー!私とクラリスちゃんの邪魔ばかりして!一体何の話があるっていうのよー!!)
最推しとの時間を妨害され、眉間の皺を隠しきれないアリスだった。
放課後の生徒会室は、何故か人口密度が高く、少し蒸し暑かった。
淑女の必須アイテムである扇子を取り出したアリスが、精一杯冷静な声で問いただす。
「この顔ぶれと言うと、生徒会役員のことかな?」
ニコニコ顔のウィルが確認する。
「あー、僕達のことは気にしないで。図書館でクラリス嬢も一緒に勉強会をする予定がちょっと変更になっただけだから」
悪びれた様子もなく、ジャンがサラッと言う。その隣には恐縮して小さくなっているイメルダが。
更にその隣では、エラリーとポールが睨み合っていた。
人口密度が高い原因は、クラリスが生徒会の補佐に決まったと聞いて無理矢理ついてきたポールとエラリー、それに野次馬のジャンと、ジャンを止められなかったイメルダがいたからだった。
「アリス嬢の質問に答えるけど、さっきもみんなの前で話した通りだよ。昨年度は三年生が多かったからね。三年生が卒業した後、しばらくは私とトニーの二人で生徒会業務をこなさないといけなくて大変だったんだよ。だから、今年度からはそういったことがないように、と先生方とも相談して決めたんだ」
(その業務のほとんどは私が一人でやっていましたが……)
もはやジト目がデフォルトとなったアンソニーが恨めしそうにウィルを見るが、ウィルはどこ吹く風だ。
(挙げ句の果てに、今年度の書記はアリス嬢に決めた!といきなり言い出して……各方面への根回しがどれだけ大変だったか……!)
「そのご説明では、なぜ私が書記に選ばれたのかがわかりませんわ。私よりもふさわしい方はたくさ……」
「王太子である私の婚約者で、学年一位の成績を誇るアリス嬢が書記に任命されるのに何も不思議はないと思うが」
(ま、また被せてきた!クラリスちゃんを側に置こうとするのはわかるけど、どうして私まで!)
相変わらずのキラキラ王子様スマイルに、さすがのアリスも口を閉じるしかなかった。
「皆さんいいですか。高等部では学生の自治に委ねられる範囲が、初等部、中等部に比べてだいぶ広くなります」
それぞれ自己紹介を終えて、アンソニーが生徒会の役割を説明する。
ちなみに、この時点で役員以外の面々は生徒会室から追い出されている。
「ですから、生徒会の仕事は多岐に渡ります。例えば、生徒同士の揉め事などの解決も生徒会の仕事になります」
「もちろん、我々の手に負えないと判断した場合はしかるべき所に相談することになりますが、まずは自分達で解決するよう全力を尽くさなければなりません」
「何か問題があった場合には速やかに生徒会役員で共有し、解決策を議論する必要があるということを忘れないでください」
「「「はい!」」」
「……はい……」
未だ緊張が解けない様子の一年生三人は元気よく、未だ納得がいかない様子のアリスは渋々、アンソニーの説明に頷いた。
「まあ、今日は顔合わせといった所だから。あまり長くなってもいけないし、そろそろ解散しようか」
「そうですね。皆さん、お疲れ様でした。お気をつけてお帰りください」
ウィルの解散宣言に、サラとダンリーは一礼して生徒会室を出て行く。
「クラリスさん、今日こそは一緒に帰りましょう」
ホッとしたアリスがクラリスを連れて退出しようとしたところをすかさずウィルが引き留める。
「少し話したいことがあるから、アリス嬢は残ってくれないか。トニー、クラリス嬢を図書館まで送って行ってくれ」
「かしこまりました。クラリス嬢、行きましょう」
「は、はい……アリス様、また明日……!」
(こ、この、腹黒王子ー!私とクラリスちゃんの邪魔ばかりして!一体何の話があるっていうのよー!!)
最推しとの時間を妨害され、眉間の皺を隠しきれないアリスだった。
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