英雄と魔王の娘はまったりスローライフを送りたい。

黒田悠月

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異世界生活準備編

02

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(かんっぺき計画的だったんじゃん!これ……)

隠れ家のキッチン。
とりあえず家の中を確認しておこうとまずやってきたそこで、私は怒りにプルプルと肩を震わせた。

(ガッデム!!)

あんのクソオヤジ!

キッチンの収納棚。
業務用の大きな冷蔵庫。
脇のパントリー。

それら全てに大量の食材が詰め込まれていた。

(何日も前から準備して持ち込んでしてるでしょっ!)

たった今思いつきましたってな顔しくさってその実しっかり計画されて準備していたとした思えない。

粉類とか業務用だし!

強力粉5キロ×2とか。

一人でどうやって使えと?

冷蔵庫の中は卵やらバターやらが山盛り積まれてるし。

店する前提でしょ!これ。

用意周到なのもムカつくけど、私の思考回路を読まれてる感じが余計腹立つ。

転移させられる→場所がここ→お店ある。よしカフェして生活しよう。

ってか?

いや、でもこれ。
そうなるように仕込まれてるから!

……ちょっと。だいぶ助かるけど。

(……これで食材の心配がなくなったもんねー)

しかも日本の食材。
ジャパンブランドだ。

粉一つとったってこっちのものとは全然質が違う。

もともとこの隠れ家のキッチン家電は日本のものを転移させたものだ。

ただし電気ではなく地脈に流れる魔力で動いている。
冷蔵庫もオーブンも発酵器もレンジもIHのコンロもトースターもコーヒーメーカーも。
父オリジナルの魔方陣魔法。

のらりくらりしてるし人をイライラさせる父だけど、魔方陣や魔導具を作るのは天才的なのですよ。
この世界、普通は汲み取り式のトイレで、お風呂も桶にお湯を入れて布で拭くか町にある共同の水浴場かちょっとお金持ちや貴族なら岩盤浴か。

ここを含める我が家の隠れ家はどこも温水便座付きの洋式ウォッシュトイレにユニットバス。

日本の快適生活ガッツリ持ち込んでます。

水は地下水をやっぱり魔方陣で汲み上げている。
水道水より美味しい。

(ちゃんと品質管理されて改良されてる食材に天然の美味しい水とか、よっぽど大失敗しない限り美味しいでしょ♪)

転がされ感は半端ないけど、これなら食生活は問題ない。

(お店もすぐに開店できるね♪)

ついでに冷蔵庫にはこんな貼り紙が。

『食材の追加は週一土曜日にメール受付』

ってあんたは卸し業者か!?

スマホ持ってくることまで予測済み?
スマホがあれば魔力で父母やサハーラスラのおばさんに連絡取れるかもって咄嗟に思ったんだけどさ。

そこまでお見通しだとしたら気ぃ悪いし気持ち悪いわ。

(あとは他の部屋も確認しとかないとね)

これだけ用意周到なあたり、他も問題なく使える状態だとは思うけど。

店も掃除バッチリだったしねー。

部屋を回りながら私はこの後どうしようか、と頭を巡らせる。
何もしなくても数日は余裕で暮らせそうだけど。

まずはこちらの知り合いに手紙でも書くか。
しばらくこっちにいるからよろしくって?

子供の時からちょくちょく来てるから、一応知り合いや友人の二人や三人はいるのだ。

(魔国はたぶん面倒なことになるしなー)

うん。
魔国だと一応お姫様だから、下手するとすぐお迎えが来て退屈で大変なお姫様生活をさせられかねない。

魔国はなし。
あとはー。

ルルーとグレンには出しておこうかな。
せっかくだから久しぶりに会いたいし。

ルルーとグレンはアルハザードの貴族で双子の兄妹で、私のこちらでの幼馴染み。
ルルーは15才だけど10才くらいにしか見えない。
ロリ好きにはたまらないだろう美少女だ。
グレンは顔は似てるけどルルーほど童顔ではない。
2年前は騎士学校へ通い出したとかでグレンには会えなかったけど、きっと結構なイケメンになってモテモテなんじゃないかな?

(うん。二人には手紙を書こう)

あとは。
明日は朝からパンや簡単なケーキでも焼いて町に持っていくか。

宣伝がてら、ご挨拶だね。

よっし、じゃあ今日はお風呂入ってごろごろして寝るかな!

明日からは本格的な異世界生活~♪っと。

あれ?
私ってば案外楽しんじゃってる?

ま、いっか。











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