英雄と魔王の娘はまったりスローライフを送りたい。

黒田悠月

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異世界生活準備編

06

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私は週に一度、ドーテ子爵邸にパンとお菓子を定期的に届けることになった。

そう!立派なお宅だと思ったらやっぱりお貴族様でした。

これで一つ定期的な収入の目処がついたわけだ。
卵もバターも使用不可な分メニューを考えるのはちょっと大変だけど、ファルカ君の可愛さを思えば少しくらいの苦労はどうってことないよね!

うん。
ファルカ君マジ天使。

マーニャちゃんはう~ん、微妙?
見た目は可愛いんだけどねぇ。
何故かずっと睨まれ続けたという。
初対面なんですけどね、はっ!!もしや、私のファルカ君への邪なショタ心を見透かされたとか?

別に可愛いなあって癒されはするけどそれだけだよ?

できれば笑って欲しいなーとかちょっとだけ頭をナデナデしたり欲を言えば手繋ぎ散歩とかできれば幸せだよね。

だけどそれだけだよ?

ほんのちょっと愛でたいってだけでそれ以上は考えてませんよ?

それもダメ?

僅かに漏れ出る変態臭を嗅ぎとったのだろうか。

できればマーニャちゃんとも仲良くしたいんだけどな。

だって可愛いし。

今度マーニャちゃん用のパンやケーキも持っていってみよう。


私はそんなことをテーブルをフキフキしつつ徒然と考える。

店は週に三回、朝から夕方まで開けている。
お昼は一時間だけ休憩で閉め、朝はモーニングセットっぽいパンと紅茶やコーヒーのセットをメインにいくつかの持ち帰りパンを並べる。
昼からは朝のメニューにプラス日替わりでケーキやお菓子を出す。

今はお昼の休憩時間。
本日の持ち帰りパンであるあんドーナツをパクついた後は店内の軽い掃除と昼からの準備だ。

キッチンのオーブンではレーズンとクルミのパウンドケーキがほのかに甘い匂いを漂わせている。

パウンドケーキって焼くまでは早いしそんなに手間もないんだけど、焼き時間がおよそ40分と長い。
休憩時間いっぱいオーブンを占領してくれるから、残りのお菓子はオーブンを使わないものにしたい。

(……プリンとかかな?)

時間もそれほどかからないし、オーブンもいらないからね。

よし、とさっそくテーブルを拭いた布巾を片して、冷蔵庫から材料を取り出す。

始めましょっか、とエプロンを絞め直したちょうどその時だった。

コンコン、と店の方からドアではなく、窓を叩いているらしい音が聞こえてきたのは。
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