出稼ぎ公女の就活事情。

黒田悠月

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カランコエの花言葉。

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 ああそうだ。

 わたしだってモンタさんをルグランディリアの生まれではないと、そう思ったのはその獣の耳にそれがなかったからではないか。

 一般的には、幼少期を獣の姿で過ごすためにただの獣と差別化させるために着けられていると言われているが。

 わたしが街で見たルグランディリアの人たちは大人であっても最低一つよく似た形の耳飾り、耳環をしていた。
 シンプルなちょうどわたしの耳にあるものとよく似た形のもの。

 トクン。

 こんな時なのに、思い出してしまう。
 この耳環に刻まれた花の模様。

 別れぎわ、紹介所の前でミラさんが告げた言葉。

『カランコエの花言葉をご存じですか?』


 わたしはキュッと唇を噛んだ。
 知っている。
 だから、
 
ーーわたしは何があっても諦めない。


「ーーって言われたんや」 

 自身の思考の虚に沈んでいたわたしは、モンタさんの言葉を聞き逃してしまって「え?」と聞き返す。

「姉ちゃんを連れて来たら、わいに耳環をくれるて言われたんや。そしたらわいは軍に入れる。頑張ったらちゃんと騎士にかてなれる。そう言われたんや」

ーーーすまん、と下げたモンタさんの耳飾りのない丸い耳をわたしは見つめる。

 何を、どう言おうか少し悩んで、やがて長い息を吐いてから、頭を横に振った。 

「あのね?モンタさんだけのせいじゃないんだよ?」

 怪しいとわかっていたのについて行ったのはわたしだ。
 正直、自分自身を過信していたし、モンタさんを軽視してしまっていたのも確か。
 
 モンタさんが相手ならばなんとでもなると思ってしまったのも確かなのだ。

ーーそれに。

「騙されたというわけではないけど、利用されたのはわたしもだもの」
「……へ?」
「たぶん。利用されたの」

 リルに。
 わたしは利用されたのだ。
 
 だからこそリルは、わたしにこれをくれた。

 利用して、囮にするけれど必ず助けると。


 リルはシルルを使ってわたしを軍の基地に連れて行った。
 平民だけでなく貴族も訪れる場所に。
 考えなしのわたしと違って、リルはけして忘れない。馬鹿な油断なんてきっとしない。
 なのに、わたしを連れ出した。
 モンタさんのことだってあの夜、シルルが見ているのだ。報告はしっかりとされているはず。
 
 なのに今日、ここに来ることだって許されたのは。

ーーわたしを、餌にするため。

 わたしを餌に、リルがおびき出したかったのはきっと、あの人。
 リルとよく似た、あの銀狼。

 気づいたのはついさっき。
 カランコエの花言葉。

『幸福を告げる』
『たくさんのちいさな思い出』

 そしてもう一つは、


『あなたを守る』
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