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奴隷になるはずが、何故か今王宮にいる。
一昨日カティは奴隷商の元でステータス鑑定を受けた。
変わったスキルを持っていたり、特定の技能に基づくスキルを持っていたりするとより高く売れるのだろう。後は体力があるとか魔力が高いとかを見ているようだ。
机の上に置かれた水晶に奴隷(一応まだ候補かな?)たちが順に手をかざしていくと、水晶が淡く光って文字らしきものが浮かび上がる。それを検査官らしき男が羊皮紙に書き取って、1人1人渡していく。
渡された奴隷は先に待つまた別の男に紙を見せて、男は奴隷を分けて並ばせていく。
カティも同じように水晶に手をかざし、検査官は浮かび上がった文字を書き写していたが、途中でその手が何故か止まった。
水晶を確認するように見直して、軽く目を見張ったようだったが、すぐに気を取り直したのかカティに紙を渡すと次の奴隷を促す。
「とろとろするな!」
カティはといえば、戸惑う暇もなく怒鳴られて先に進む。
奴隷を分けて並べていた男もまた驚いた顔をしてカティを見下ろしてきたが、やはり次がやってくると追い立てられて一番人数の少ない列に並ばされた。
カティが並んだ列には縦にも横にも大きい年上の少年と五歳くらいの女の子が並んでいた。
隣の列には10人以上が並んでいるのに、ここにはカティも合わせてこの三人だけだ。
女の子は茶色いくるくる巻き髪に大きな緑の瞳をした可愛らしい子供でカティはこんな子は貴族に買われて行ったりするんだろうなと思いつつ、こんな子供を奴隷商に売る親を嫌悪した。
が、すぐになんか違うかな?と思う。
親に売られてきたにしては女の子はふっくらとした頬に服も汚れてはいるもののそれほどボロくはない。
子供を奴隷に売る程貧しい家の子供らしくないのだ。
「お父さんに売られて来たの?」
気になったカティは小声で聞いてみた。
すると女の子はぷるぷると頭を振り、大きな瞳に涙を浮かべながらやはり小声で答えた。
「違うの。パパとママと馬車に乗ってお出かけしてたら恐い知らないおじさんたちがきて・・・パパとママが・・・」
思い出してしまったのか、ぐずぐずと鼻を鳴らして泣き出した女の子にカティは「ごめん。ごめんね」と慌てて声をかけた。
恐らく親と出かけていた道中で盗賊にでも襲われたのだろう。
女の子は奴隷商に売られたけれど、多分親の方は・・・。
「ホントごめん。ごめんね」
申し訳ない気持ちになって、カティは何度も女の子に謝った。
「ううん。いいの」
服の袖で顔を拭ってやると、女の子はされるがままに任せる。
ふっくらとした小さな手がカティの服の裾をきゅっと掴んできたので、カティもまたされるがまま女の子に寄り添った。
その後もカティたちの列には人が増えることなく、ステータス鑑定が終わる。
他の列の奴隷たちが次々奴隷の首輪を着けられているなか、何故かカティたちだけは放置されていた。
カティたち以外の奴隷たちがほぼ全て首輪を着けられた時点で、カティたちは男に呼ばれ、首輪を着けないまま外に出され、止めてあった馬車に乗せられる。
「おまえたちはラッキーだったな」
馬車の幌を閉めながら男がいうのにカティは首を傾げる。
(どういうことだ?)
まさか奴隷にならずにすむというわけではあるまい。
「魔力が高いおかげで勇者の召喚に立ち会えるぞ」
(勇者?召喚?)
男はカティたち1人1人に目を合わせてニヤリとイヤな笑みを浮かべた。
「異世界の勇者を召喚するのに魔力の高い子供の生け贄が大勢必要らしい。おまえたちは勇者を呼び出す為のエサなんだとよ」
きゃっと女の子が悲鳴を上げてカティにしがみつく。
カティは女の子を抱きしめながら、男の顔を見上げた。
男は閉まりかけた幌の隙間からカティたちの蒼白になった顔を面白いものを見るように笑って、幌を完全に閉めた。
しばらくして馬車が動き始めたのが揺れでわかったが、カティたちはずっと無言だった。
やがて馬車が止まり、降ろされた所は王宮など見たことのないカティでもここはきっと王宮なのだとわかる豪奢なお城の中庭。
遠目に見える物見台の上に王家の旗がはためいている。
カティたちが馬車を降りた時、ちょっとした事件が起きた。
カティたちと共に馬車に乗せられてきた大柄な少年が逃げ出そうと走りだしたのだ。
逃げられるわけもなく、少年は側にいた騎士たちにすぐ捕らえられその場で首を切られた。
カティは女の子を背中から抱きすくめ、腕で女の子の耳と手をふさぎ、自分も騎士が剣を振り上げた瞬間ぎゅっと固く目をつぶった。
目を開けた時には少年の身体は首の上と下で別々に転がっていた。
転がった首と目が合い、カティは吐きそうになり下を向いた。
ただ女の子には見せたくないと思って、目をふさいだまま背を向けさせた。
その後はもちろんカティに逃げようという気が起こるわけもなく、連れられるまま城の中に入り、祭壇が設けられた広い部屋に入るとそこには大勢の、驚く程大勢の子供たちが集められていた。
一昨日カティは奴隷商の元でステータス鑑定を受けた。
変わったスキルを持っていたり、特定の技能に基づくスキルを持っていたりするとより高く売れるのだろう。後は体力があるとか魔力が高いとかを見ているようだ。
机の上に置かれた水晶に奴隷(一応まだ候補かな?)たちが順に手をかざしていくと、水晶が淡く光って文字らしきものが浮かび上がる。それを検査官らしき男が羊皮紙に書き取って、1人1人渡していく。
渡された奴隷は先に待つまた別の男に紙を見せて、男は奴隷を分けて並ばせていく。
カティも同じように水晶に手をかざし、検査官は浮かび上がった文字を書き写していたが、途中でその手が何故か止まった。
水晶を確認するように見直して、軽く目を見張ったようだったが、すぐに気を取り直したのかカティに紙を渡すと次の奴隷を促す。
「とろとろするな!」
カティはといえば、戸惑う暇もなく怒鳴られて先に進む。
奴隷を分けて並べていた男もまた驚いた顔をしてカティを見下ろしてきたが、やはり次がやってくると追い立てられて一番人数の少ない列に並ばされた。
カティが並んだ列には縦にも横にも大きい年上の少年と五歳くらいの女の子が並んでいた。
隣の列には10人以上が並んでいるのに、ここにはカティも合わせてこの三人だけだ。
女の子は茶色いくるくる巻き髪に大きな緑の瞳をした可愛らしい子供でカティはこんな子は貴族に買われて行ったりするんだろうなと思いつつ、こんな子供を奴隷商に売る親を嫌悪した。
が、すぐになんか違うかな?と思う。
親に売られてきたにしては女の子はふっくらとした頬に服も汚れてはいるもののそれほどボロくはない。
子供を奴隷に売る程貧しい家の子供らしくないのだ。
「お父さんに売られて来たの?」
気になったカティは小声で聞いてみた。
すると女の子はぷるぷると頭を振り、大きな瞳に涙を浮かべながらやはり小声で答えた。
「違うの。パパとママと馬車に乗ってお出かけしてたら恐い知らないおじさんたちがきて・・・パパとママが・・・」
思い出してしまったのか、ぐずぐずと鼻を鳴らして泣き出した女の子にカティは「ごめん。ごめんね」と慌てて声をかけた。
恐らく親と出かけていた道中で盗賊にでも襲われたのだろう。
女の子は奴隷商に売られたけれど、多分親の方は・・・。
「ホントごめん。ごめんね」
申し訳ない気持ちになって、カティは何度も女の子に謝った。
「ううん。いいの」
服の袖で顔を拭ってやると、女の子はされるがままに任せる。
ふっくらとした小さな手がカティの服の裾をきゅっと掴んできたので、カティもまたされるがまま女の子に寄り添った。
その後もカティたちの列には人が増えることなく、ステータス鑑定が終わる。
他の列の奴隷たちが次々奴隷の首輪を着けられているなか、何故かカティたちだけは放置されていた。
カティたち以外の奴隷たちがほぼ全て首輪を着けられた時点で、カティたちは男に呼ばれ、首輪を着けないまま外に出され、止めてあった馬車に乗せられる。
「おまえたちはラッキーだったな」
馬車の幌を閉めながら男がいうのにカティは首を傾げる。
(どういうことだ?)
まさか奴隷にならずにすむというわけではあるまい。
「魔力が高いおかげで勇者の召喚に立ち会えるぞ」
(勇者?召喚?)
男はカティたち1人1人に目を合わせてニヤリとイヤな笑みを浮かべた。
「異世界の勇者を召喚するのに魔力の高い子供の生け贄が大勢必要らしい。おまえたちは勇者を呼び出す為のエサなんだとよ」
きゃっと女の子が悲鳴を上げてカティにしがみつく。
カティは女の子を抱きしめながら、男の顔を見上げた。
男は閉まりかけた幌の隙間からカティたちの蒼白になった顔を面白いものを見るように笑って、幌を完全に閉めた。
しばらくして馬車が動き始めたのが揺れでわかったが、カティたちはずっと無言だった。
やがて馬車が止まり、降ろされた所は王宮など見たことのないカティでもここはきっと王宮なのだとわかる豪奢なお城の中庭。
遠目に見える物見台の上に王家の旗がはためいている。
カティたちが馬車を降りた時、ちょっとした事件が起きた。
カティたちと共に馬車に乗せられてきた大柄な少年が逃げ出そうと走りだしたのだ。
逃げられるわけもなく、少年は側にいた騎士たちにすぐ捕らえられその場で首を切られた。
カティは女の子を背中から抱きすくめ、腕で女の子の耳と手をふさぎ、自分も騎士が剣を振り上げた瞬間ぎゅっと固く目をつぶった。
目を開けた時には少年の身体は首の上と下で別々に転がっていた。
転がった首と目が合い、カティは吐きそうになり下を向いた。
ただ女の子には見せたくないと思って、目をふさいだまま背を向けさせた。
その後はもちろんカティに逃げようという気が起こるわけもなく、連れられるまま城の中に入り、祭壇が設けられた広い部屋に入るとそこには大勢の、驚く程大勢の子供たちが集められていた。
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