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子狸を抱えて旅をするべきか、それともゴスロリ幼女を連れて旅をするべきか。
カティの悩みは佑樹による『狸は宿に入れてもらえないんじゃないか?』という意見と、フラウ本人による「人間の姿が一番戦いやすいのですー」との主張によりあっさりと解消された。
フラウを連れて街道に戻る途中、オークが襲ってきたので大慌てで逃げようとしたら「やっつけるのです!」とやたらと張り切った声を上げたフラウがワンピースの裾を翻して突進していった。
止める暇もなくオークに肉薄し、振り上げられた太い腕を掻い潜る。
ドバンッ!
パンチ一発、オークは2メートル程も吹っ飛ばされてそのままぴくりとも動かなくなった。
(・・・・・・)
『オークを一発か。やっぱ結構なチートっぷりだな』
オークはDランクの魔物で、これまでカティが討伐してきたスライムやゴブリンとは単純に強さが違う。
ランクとはギルドが定めた魔物の討伐難易度の指標で、FからSSまで。最高ランクのSSともなれば一匹で国が一つ潰せると言われる伝説級の魔物。
スライムやゴブリンはFランクの魔物で、ランクが一つ上がるだけで魔物の強さは3倍増しになるという。
しかもオークは肉も皮や爪等の素材も対して良いものとはいえず比較的安く取り扱われているものの、力の強さと打たれ強さはDランクの中でも上位種にあたるはずだ。
そのオークを一発。
いっぱしの冒険者でも一人で相手取ることは避けると聞くのに。
オークは力は強いが足は遅い。
よほど側まで近づかれない限り走って逃げることは可能なのだ。
街道まで戻ったものの、寄り道をしていた分かなりの時間をくってしまっていた。
さすがに明るい内に次の町に着くことはできそうにない。
カティたちは街道脇に開けた場所を見つけ、今夜はそこで野宿することにした。
少し離れた場所には同じように野宿の用意をしている人たちもいて、二人きりよりは安心感もある。
もっともフラウが仲間になった今、この付近にいる魔物は不意打ちでもない限りたいした脅威にならないのかも知れないが。
さっきのようにフラウが突進していったところにカティが狙われたら、確実に生き残れる自信はない。
カティとしては他の人たちの側にできるだけ近づきたいのだが、アイテムボックスを見られないようにするにはそうもいかなかった。
『腹減ったー』
「フラウもお腹空きましたー」
腹ペコ二人に急かされて、夕飯の用意をする。
まずはアイテムボックスから料理道具を取り出していく。
道具屋で購入した火魔法の込められた魔方陣。
誰でも魔方陣の描かれたA4版程の羊皮紙を開き特定の詠唱を唱えるだけで火を起こせる便利道具だ。
ただ使い捨てなうえ、火の大きさはガスコンロで強火程度で調整は出来ない。
カセットコンロが欲しいな。
あ、そうなるとガス缶もいるのか。
フライパンと木べらも取りだす。
フライパンはノーマルガチャで手にいれたフッ素加工のフライパンだ。
何度かノーマルガチャを回してみた結果、どうやらノーマルガチャでは地球のものだけが出てくるようでこれまで出てきたものは
縄・漫画・釘・輪ゴム・フライパン・鉛筆・生姜焼きのたれ
である。
釘だの輪ゴムだの鉛筆だのは一つだけあってもイマイチ役に立つ時がくるのかビミョーだが、フライパンとたれはうれしい。
そう、生姜焼きのたれと今回手に入れたオーク肉があればアレが作れるのだ。
今晩のオカズはオーク肉の生姜焼き。
解体したオーク肉をあるもので漬け込んでおいた袋とたれを取り出す。
あるものとはペルージの国境の町でこれだけは買っておいたゴロゴロ茶葱。見た目は中も茶色い玉ねぎで味も少し辛味の強い玉ねぎだ。
オークを解体した際に、肉とともに刻んで同じ袋に入れて漬け込んである。オーク肉はほとんど豚肉そのものなのだが少し臭みがあり、こうして漬け込んでおくと臭みが取れ、肉が柔らかくなるらしい。ドズさんに教えてもらったのだ。
火をつけ、フライパンの上にオーク肉をたっぷりと乗せる。
軽く木べらで混ぜながら肉が色づいてきたらたれをかけて、と佑樹に指導されながら調理していった。
佑樹は大学に入ってから独り暮らしをしていたので、それなりには料理ができる。ほとんど炒めるだけとか煮るだけのものだが。
カティにも記憶はあるのだが、やはり実際に自身の手で行うのは勝手が違うようだ。
おぼつかない手つきに頭の中でつっこみを入れられながらも、出来上がったのは見た目も臭いもそのものの生姜焼き。
『生姜焼きのたれ神だわ』
「美味しそうですー」
フラウはすでに口許が涎でベタベタだ。
「あっ、こら!フライパンから直接手づかみとかしない!すぐに他も用意するからちょっと待って」
待ちきれないフラウを宥めながら、アイテムボックスからパンと水の入った水筒を取りだして、あと皿とフォークと。
準備が済んだらいよいよ実食である。
『フラウ、ご飯の前には手を合わせていただきます、だ』
〈はーい!ご主人さま!〉
「いただきます」
食べるものへの感謝か。
うん、いい習慣だよね。
カティの悩みは佑樹による『狸は宿に入れてもらえないんじゃないか?』という意見と、フラウ本人による「人間の姿が一番戦いやすいのですー」との主張によりあっさりと解消された。
フラウを連れて街道に戻る途中、オークが襲ってきたので大慌てで逃げようとしたら「やっつけるのです!」とやたらと張り切った声を上げたフラウがワンピースの裾を翻して突進していった。
止める暇もなくオークに肉薄し、振り上げられた太い腕を掻い潜る。
ドバンッ!
パンチ一発、オークは2メートル程も吹っ飛ばされてそのままぴくりとも動かなくなった。
(・・・・・・)
『オークを一発か。やっぱ結構なチートっぷりだな』
オークはDランクの魔物で、これまでカティが討伐してきたスライムやゴブリンとは単純に強さが違う。
ランクとはギルドが定めた魔物の討伐難易度の指標で、FからSSまで。最高ランクのSSともなれば一匹で国が一つ潰せると言われる伝説級の魔物。
スライムやゴブリンはFランクの魔物で、ランクが一つ上がるだけで魔物の強さは3倍増しになるという。
しかもオークは肉も皮や爪等の素材も対して良いものとはいえず比較的安く取り扱われているものの、力の強さと打たれ強さはDランクの中でも上位種にあたるはずだ。
そのオークを一発。
いっぱしの冒険者でも一人で相手取ることは避けると聞くのに。
オークは力は強いが足は遅い。
よほど側まで近づかれない限り走って逃げることは可能なのだ。
街道まで戻ったものの、寄り道をしていた分かなりの時間をくってしまっていた。
さすがに明るい内に次の町に着くことはできそうにない。
カティたちは街道脇に開けた場所を見つけ、今夜はそこで野宿することにした。
少し離れた場所には同じように野宿の用意をしている人たちもいて、二人きりよりは安心感もある。
もっともフラウが仲間になった今、この付近にいる魔物は不意打ちでもない限りたいした脅威にならないのかも知れないが。
さっきのようにフラウが突進していったところにカティが狙われたら、確実に生き残れる自信はない。
カティとしては他の人たちの側にできるだけ近づきたいのだが、アイテムボックスを見られないようにするにはそうもいかなかった。
『腹減ったー』
「フラウもお腹空きましたー」
腹ペコ二人に急かされて、夕飯の用意をする。
まずはアイテムボックスから料理道具を取り出していく。
道具屋で購入した火魔法の込められた魔方陣。
誰でも魔方陣の描かれたA4版程の羊皮紙を開き特定の詠唱を唱えるだけで火を起こせる便利道具だ。
ただ使い捨てなうえ、火の大きさはガスコンロで強火程度で調整は出来ない。
カセットコンロが欲しいな。
あ、そうなるとガス缶もいるのか。
フライパンと木べらも取りだす。
フライパンはノーマルガチャで手にいれたフッ素加工のフライパンだ。
何度かノーマルガチャを回してみた結果、どうやらノーマルガチャでは地球のものだけが出てくるようでこれまで出てきたものは
縄・漫画・釘・輪ゴム・フライパン・鉛筆・生姜焼きのたれ
である。
釘だの輪ゴムだの鉛筆だのは一つだけあってもイマイチ役に立つ時がくるのかビミョーだが、フライパンとたれはうれしい。
そう、生姜焼きのたれと今回手に入れたオーク肉があればアレが作れるのだ。
今晩のオカズはオーク肉の生姜焼き。
解体したオーク肉をあるもので漬け込んでおいた袋とたれを取り出す。
あるものとはペルージの国境の町でこれだけは買っておいたゴロゴロ茶葱。見た目は中も茶色い玉ねぎで味も少し辛味の強い玉ねぎだ。
オークを解体した際に、肉とともに刻んで同じ袋に入れて漬け込んである。オーク肉はほとんど豚肉そのものなのだが少し臭みがあり、こうして漬け込んでおくと臭みが取れ、肉が柔らかくなるらしい。ドズさんに教えてもらったのだ。
火をつけ、フライパンの上にオーク肉をたっぷりと乗せる。
軽く木べらで混ぜながら肉が色づいてきたらたれをかけて、と佑樹に指導されながら調理していった。
佑樹は大学に入ってから独り暮らしをしていたので、それなりには料理ができる。ほとんど炒めるだけとか煮るだけのものだが。
カティにも記憶はあるのだが、やはり実際に自身の手で行うのは勝手が違うようだ。
おぼつかない手つきに頭の中でつっこみを入れられながらも、出来上がったのは見た目も臭いもそのものの生姜焼き。
『生姜焼きのたれ神だわ』
「美味しそうですー」
フラウはすでに口許が涎でベタベタだ。
「あっ、こら!フライパンから直接手づかみとかしない!すぐに他も用意するからちょっと待って」
待ちきれないフラウを宥めながら、アイテムボックスからパンと水の入った水筒を取りだして、あと皿とフォークと。
準備が済んだらいよいよ実食である。
『フラウ、ご飯の前には手を合わせていただきます、だ』
〈はーい!ご主人さま!〉
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