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スライムらしき魔物はダンジョン内の壁に張り付いてうねうねと粘膜を蠢かしては這うように進んでいた。
見た目はこれまでとな色の違うスライム。
毒々しい黒にも見える緑色の身体はぼこぼこと断続的に泡立っている。
(なんか聞かなくてもわかるな)
『正解。ポイズンスライムレベル3。レベル下だからスキル強奪出来るな。見てわかる通り粘膜には毒があるから触るなよ』
ポイズンスライムは全部で5体。
うねうねと両側の壁の一部を埋めている。
『スキルはもう発動させてるからいつでもいいぜ』
「お、おう」
ごくりと唾を飲んで神経を集中させる。
「カマイタチ!」
風の刃が片側のポイズンスライムたちを切り刻む。
毒がある以外は普通のスライムとあまり大差ないらしい。
あっさりと三体が弾けて地に落ちる。
後二体と思ったところで、ポイズンスライムの身体が膨らみボンっと粘膜の塊が飛んできた。
おわっ!と回避しかけたカティの寸前を白っぽい軌跡が通りすぎて、粘膜の塊を地に弾き落とした。
フラウの蛇咬剣だ。
『ナイス!』
「『切り裂け!』!」
佑樹の声とカティの声が交差する。
風の刃に刻まれたポイズンスライムの身体は弾けて地に落ちると
地面に吸い込まれて消えていく。
地上とダンジョンの違いだ。
ギルドで聞いたのだが、ダンジョン内の魔物は死ぬとダンジョンに吸収されて死骸は残らない。
なので討伐しても核等の素材を持ち帰ることはできないのだが、たまに死骸の一部だけが吸収されず残ることがあり、ドロップ品と呼ばれるそれらは地上の魔物の素材よりも上質で高値で取引される。
スライムの類いならそのドロップ品は核か目玉になるはずだが、残念ながら落とされてはいないようだ。
『ドロップ品は無しか』
「残念ですー」
「そう多くはないみたいだから仕方ないか」
『けど、スキル強奪はできたぜ?』
ポイズンスライムから強奪したスキルは毒耐性(小)〈レベル1〉
「毒耐性か、でも(小)だからあんまり過信はできないかな」
まあ、初スキル強奪成功だからよしとしよう。
その後はおおねずみ2体とゴブリン3体を討伐したものの、スキルの強奪、ドロップ品は無し。
どれもレベルは4以下だったのだが、どうもスキル強奪は成功率がランダムで必ずし強奪できるわけではないようだ。
それなりに魔物を討伐しつつ地下への階段にたどり着いた。
階段を降りると同じような洞窟が続くのかと思いきやいきなりダンジョンは様相を変えた。
「綺麗ですぅ」
きゃっきゃっとフラウが嬉しげにくるくると回る。
黒っぽい岩壁に緑のこけが覆っていた洞窟は、きらきらと光り輝く水晶の洞窟に変わっていた。
見た目はこれまでとな色の違うスライム。
毒々しい黒にも見える緑色の身体はぼこぼこと断続的に泡立っている。
(なんか聞かなくてもわかるな)
『正解。ポイズンスライムレベル3。レベル下だからスキル強奪出来るな。見てわかる通り粘膜には毒があるから触るなよ』
ポイズンスライムは全部で5体。
うねうねと両側の壁の一部を埋めている。
『スキルはもう発動させてるからいつでもいいぜ』
「お、おう」
ごくりと唾を飲んで神経を集中させる。
「カマイタチ!」
風の刃が片側のポイズンスライムたちを切り刻む。
毒がある以外は普通のスライムとあまり大差ないらしい。
あっさりと三体が弾けて地に落ちる。
後二体と思ったところで、ポイズンスライムの身体が膨らみボンっと粘膜の塊が飛んできた。
おわっ!と回避しかけたカティの寸前を白っぽい軌跡が通りすぎて、粘膜の塊を地に弾き落とした。
フラウの蛇咬剣だ。
『ナイス!』
「『切り裂け!』!」
佑樹の声とカティの声が交差する。
風の刃に刻まれたポイズンスライムの身体は弾けて地に落ちると
地面に吸い込まれて消えていく。
地上とダンジョンの違いだ。
ギルドで聞いたのだが、ダンジョン内の魔物は死ぬとダンジョンに吸収されて死骸は残らない。
なので討伐しても核等の素材を持ち帰ることはできないのだが、たまに死骸の一部だけが吸収されず残ることがあり、ドロップ品と呼ばれるそれらは地上の魔物の素材よりも上質で高値で取引される。
スライムの類いならそのドロップ品は核か目玉になるはずだが、残念ながら落とされてはいないようだ。
『ドロップ品は無しか』
「残念ですー」
「そう多くはないみたいだから仕方ないか」
『けど、スキル強奪はできたぜ?』
ポイズンスライムから強奪したスキルは毒耐性(小)〈レベル1〉
「毒耐性か、でも(小)だからあんまり過信はできないかな」
まあ、初スキル強奪成功だからよしとしよう。
その後はおおねずみ2体とゴブリン3体を討伐したものの、スキルの強奪、ドロップ品は無し。
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それなりに魔物を討伐しつつ地下への階段にたどり着いた。
階段を降りると同じような洞窟が続くのかと思いきやいきなりダンジョンは様相を変えた。
「綺麗ですぅ」
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