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『誰だ?』
(さあ?)
宿の女将あたりだろうか。
知り合い等の心当たりは皆無なので、そのぐらいしか思いつかない。それにしたって部屋まで訪ねてくるには遅い時間である。
「カティさん、すみません。起きてますか?」
遠慮がちにかけられた声は看板娘ミリーのものだ。
「あーはい、起きてますけど・・・」
ちょっと待って下さいと立ち上がって扉に向かう。
部屋の前には申し訳なさそうに頭を下げるミリーと、その少し後ろにどこかで見たことのある少女の姿。
(あれ?あれって・・・)
「遅くにすみません。こちらの方がどうしてもカティさんにお会いしたいと・・・。カティさんには来ることは伝えてあるとのことなんですが」
ホントですか?と上目遣いな目が問いかけるのに、カティは首を傾げた。
いや、聞いてないけどって話なのだが、それを言うと案内してしまったミリーが困るだろう。
どうしようか、と思っていると、扉の前に立つミリーを軽く押し退けて、少女がカティの前に立った。
「ありがとう。あなたもういいわよ」
振り向きもせずに言うのに、ミリーは「でも・・・」と戸惑った顔でカティと少女を交互に窺う。
「言っとくけど、あたしはちゃんとその子に今夜にでも行くから言っておいてねって伝えておいたわよ」
そうカティに告げて指差したのは部屋の奥で座っているフラウ。
「そうなのか?」
「ごめんなさい。忘れてましたです」
フラウが言うには昼間散歩していた際に偶然会ったそうで、そういえば別れ際にそういったことを言われた気がするとのことだ。
「わかりました。とりあえず中へどうぞ」
「あ、あのカティさん?」
いいんですか?と暗に問うミリーに「知らない人ではないから大丈夫」と苦笑を返した。
少女はというとさっさと部屋に入り込んで周りを見渡すと「ソファーはないのね」とため息をついてベットの端に腰掛けた。
「ありがとう。ごめんね」
ミリーにお礼とお詫びを言って扉を閉める。
さていったい何の用かと若干緊張感を覚えながらカティもまた部屋の奥に戻った。
「そういえば自己紹介がまだだったわね」
いつの間にどこから取り出したのか、何やら白い飲み物の入ったコップを手にしながら少女が口を開いた。
「それ何ですか?」
「え?ああ、牛乳よ。あなたも飲む?」
「わあい、欲しいですー!お姉さんも胸をおっきくしたいで飲んでるのですか?」
「べ、べべ別にそんなんじゃないわよ。ただ好きなだけよっ」
慌てて否定する様子に思わず目が胸元に行ってしまう。
なるほど、まな板ではないが、残念な感じではある。
ギリギリBカップ、といったところだろうか。
『お姉さんもってことはフラウは胸が欲しいのか?』
〈看板娘みたいになるですー〉
「ごほんっ!じ、自己紹介させてもらうわね!あたしはリリス。ご存じの通り凄腕テイマーのA級冒険者よ」
凄腕かは知らないが、テイマーであることは知っている。
しかしA級だったとは知らなかった。
少女はダンジョンで出会った元テディの主人。
相変わらす冒険者らしくないヒラヒラのスカートにクリームイエローのブラウスという出で立ちだ。
プラチナブロンドの髪は頭の後ろでいわゆるポニーテールにくくられていた。
「あなたたちに頼みがあって来たの」
神妙な顔つきになった少女の姿を、カティたちは何を言い出すのかと息を飲んで見守る。
「あたしを・・・」
ぎゅっと太ももの上で握られた手が、少女の緊張をカティたちに伝えていた。
(さあ?)
宿の女将あたりだろうか。
知り合い等の心当たりは皆無なので、そのぐらいしか思いつかない。それにしたって部屋まで訪ねてくるには遅い時間である。
「カティさん、すみません。起きてますか?」
遠慮がちにかけられた声は看板娘ミリーのものだ。
「あーはい、起きてますけど・・・」
ちょっと待って下さいと立ち上がって扉に向かう。
部屋の前には申し訳なさそうに頭を下げるミリーと、その少し後ろにどこかで見たことのある少女の姿。
(あれ?あれって・・・)
「遅くにすみません。こちらの方がどうしてもカティさんにお会いしたいと・・・。カティさんには来ることは伝えてあるとのことなんですが」
ホントですか?と上目遣いな目が問いかけるのに、カティは首を傾げた。
いや、聞いてないけどって話なのだが、それを言うと案内してしまったミリーが困るだろう。
どうしようか、と思っていると、扉の前に立つミリーを軽く押し退けて、少女がカティの前に立った。
「ありがとう。あなたもういいわよ」
振り向きもせずに言うのに、ミリーは「でも・・・」と戸惑った顔でカティと少女を交互に窺う。
「言っとくけど、あたしはちゃんとその子に今夜にでも行くから言っておいてねって伝えておいたわよ」
そうカティに告げて指差したのは部屋の奥で座っているフラウ。
「そうなのか?」
「ごめんなさい。忘れてましたです」
フラウが言うには昼間散歩していた際に偶然会ったそうで、そういえば別れ際にそういったことを言われた気がするとのことだ。
「わかりました。とりあえず中へどうぞ」
「あ、あのカティさん?」
いいんですか?と暗に問うミリーに「知らない人ではないから大丈夫」と苦笑を返した。
少女はというとさっさと部屋に入り込んで周りを見渡すと「ソファーはないのね」とため息をついてベットの端に腰掛けた。
「ありがとう。ごめんね」
ミリーにお礼とお詫びを言って扉を閉める。
さていったい何の用かと若干緊張感を覚えながらカティもまた部屋の奥に戻った。
「そういえば自己紹介がまだだったわね」
いつの間にどこから取り出したのか、何やら白い飲み物の入ったコップを手にしながら少女が口を開いた。
「それ何ですか?」
「え?ああ、牛乳よ。あなたも飲む?」
「わあい、欲しいですー!お姉さんも胸をおっきくしたいで飲んでるのですか?」
「べ、べべ別にそんなんじゃないわよ。ただ好きなだけよっ」
慌てて否定する様子に思わず目が胸元に行ってしまう。
なるほど、まな板ではないが、残念な感じではある。
ギリギリBカップ、といったところだろうか。
『お姉さんもってことはフラウは胸が欲しいのか?』
〈看板娘みたいになるですー〉
「ごほんっ!じ、自己紹介させてもらうわね!あたしはリリス。ご存じの通り凄腕テイマーのA級冒険者よ」
凄腕かは知らないが、テイマーであることは知っている。
しかしA級だったとは知らなかった。
少女はダンジョンで出会った元テディの主人。
相変わらす冒険者らしくないヒラヒラのスカートにクリームイエローのブラウスという出で立ちだ。
プラチナブロンドの髪は頭の後ろでいわゆるポニーテールにくくられていた。
「あなたたちに頼みがあって来たの」
神妙な顔つきになった少女の姿を、カティたちは何を言い出すのかと息を飲んで見守る。
「あたしを・・・」
ぎゅっと太ももの上で握られた手が、少女の緊張をカティたちに伝えていた。
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