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死なせてやらないよ

生きる意味?

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「お前よ.....」


「どうしたんだい?そんなしかめっ面して」



にやにやと笑っている、わかっているくせに。



「俺の邪魔してんじゃねえよ!!!!」




「邪魔とか言い方が悪いなあ、君が死なないようにそばにいてあげてるんだよ♡」




「♡とかきめえよ...確実に変なやつに見られたわ....これ以上浮きたくないのに....」



「ごめんごめん、流石にこれ以上いじわるしたら死にそうだからやめとくよ!」




ほんとに馬鹿にするのがうまいやつだ。




「馬鹿にしてるつもりはないんだけどなあ~」





「だから俺の心読むのやめろよ!!!こええよ...」




「わかったわかった、もう邪魔はしないよ~」





こいつといると疲れる...














































下校、下校、下校。






「やあひより!学校が終わったのかい?」



「よう糞ガキ」



「口が悪いなあ、ずっと暑い外で待っててあげたのに」



「待っててって言ってねえし幽霊に暑さとかねえだろ...」




「細かい事は気にしちゃだめだよひより、今日は来てほしいところがあるんだ」



「来て欲しいところ?」




「そうだよ、すこし時間をいただくことになるけどいいかい?」




「別にいいけどどこへ行くんだよ」





「物を作っているところだよ!」






は???















「いやあのさ....」





「なんだい???」






「なんで工場なんだよ!!!!!」





「いやあよく小学生の頃とかあったろう??工場見学とか!してみたかったんだよ!」


いやいや。


「してみたかっただけかよ...そんなの一人で行けばいいのに....」






「冷たいなあ、一人で行くより二人で行った方がいいだろう?」




いやなんで俺なんかと...





「いいじゃないか、可愛い女の子と工場デートなんてそうそうできないさ!」




「夢もロマンもねえよ....」







するといきなりみゆうが手を握った。












「ひより、少し真面目な話をしようか。」














みゆうはいつもと違う真面目な顔をしていた。














「君はなぜ生きているか、いや生かされているか、話をしよう」



「どういうことだ?」






「なぜ生かされているという表現するか、それはだね、親、自分を肯定してくれる人間、電気、食べ物、水道、社会、動物、命、技術、自然、それを人間が人間に供給されているからなんだ、だから僕は、生きている、というより生かされている、という表現をしているんだ。」






いつになく真剣で、真っ直ぐで。









納得してしまった、ひとつひとつの言葉に意味があって、説得力があって。















伊達に死んでいないだけある。



 












「僕は単純に君には死んで欲しくない、死んだら絶対君は後悔する、いつでもいい、僕のことを信用していないのは知っている、だから僕の事を信用できる時になったらでいい、死にたい理由を教えてくれないか?僕も伊達に死んでない、力になることは出来る」

















「.........。」















「まあ言いたくなったら言ってくれよ!そんなしょげないでよ~」













「おう...」



































俺、文月ひよりは、何も言えなかった。


























言う言葉すらなかった。


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