上 下
11 / 19
『第4回次世代ファンタジーカップ』の作品を考えた

「異世界背信中~ポルノ男優の日常~」プロローグ

しおりを挟む

 数十年前、この世界は魔王との壮絶な戦いに勝利し、かつてない平和を手に入れた。しかし、戦時中に開発した、魔力を使って遠くの映像を伝達する魔道具たちは、いまや使われることがなくなってしまった。

 王都の片隅で、これらの魔道具を扱う女商人、ドルチェビッチは店を畳むことを考えていた。

「人の日常や情報を発信しても、誰も興味を持たない。もはやこれらの魔道具は必要ないのかもしれない」

 悩むドルチェビッチに、運命が微笑む。

 稲妻が光り輝く夜、突如として裸の男性が彼女の前に現れた。ターミネーターの如く、時空を超えて来たその男性、シュミット・ケンイチは日本から来たポルノ男優だった。

「どこだ、ここは?」

 困惑するシュミケンに、ドルチェビッチはこの世界の現状を説明する。彼女の話を聞いたシュミケンは、ひらめく。

「じゃあ、僕の仕事をここで生かせばいいんじゃないか?」
しおりを挟む

処理中です...