「監査官兼執行官アッシュ・ノイマン」ーこの異世界はなにかがオカシイ

『むらさき』

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1 光の回廊

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 ゲルニカ暦1452年、星霜月1日

 報告者:アッシュ・ノイマン

【件名】
 新興宗教「光の回廊」の危険性に関する調査報告

【背景】
 ゲルニカ国内では、多くの信仰が共存しており、それぞれが国民の精神生活に寄与している。公式に認められた宗教団体は、国の監督のもと、活動を行っている。

【現状】
 しかし、最近「光の回廊」と名乗る新興宗教が出現し、急速に信者を増やしている。この宗教の教祖ジャガンは、「教祖との一対一の対話を通して罪を自覚する」という儀式を通じて、信者たちに強い影響を与えている。この儀式は、外部からは不透明で、信者たちが教祖ジャガンに過度に依存する形をとっていることが指摘されている。

【問題点】

 「光の回廊」の活動は、信者の個人的、精神的自由を侵害する可能性がある。
 教祖ジャガンによる不透明な儀式が、信者を過度に依存させ、個人の判断力を低下させる恐れがある。
 この宗教団体の急速な拡大が、社会の秩序や既存の宗教団体との間に摩擦や紛争を生み出す可能性がある。

【結論及び提言】
 「光の回廊」の活動は、国民の精神的自由や社会秩序に悪影響を及ぼす危険性がある。そのため、この宗教団体の活動を監視し、必要に応じて介入することが求められる。また、国民に対して、宗教団体を選択する際の注意喚起や教育を強化し、個人の精神的自立を促すためのプログラムの開発を提案する。さらに、既存の宗教団体との対話を促進し、宗教間の理解と協力を深めることで、社会全体の調和を図るべきである。


 アッシュは、報告書を提出したあと、食堂で一息ついていた。そんなとき、騎士団のレオナルド・ルイスが、いつものように爽やかに近づいてきた。

「アッシュ、ちょっと話があるんだけどさ」とレオが言う。

 アッシュは内心、

「またか」と思いつつも、表面上は笑顔で

「どうした、レオ?」と返した。

 レオは隣に座りながら、その日の厳しい訓練について話し始めた。しかし、彼の本当の関心事はすぐに明らかになった。

「実はな、アリサのことが気になってるんだ。彼女、いつも静かだけど、その静けさがなんとも言えない魅力があるんだよ」

 アッシュは、レオがアリサに興味を持っているのを知って、少し苦笑いした。アリサはアッシュの同僚で、美しい黒髪を持つ華奢な女性だが、話すことができない。そのため、彼女はいつも静かで、自分の考えを筆談やジェスチャーで伝える。アッシュはレオに対して、少し軽い口調で答えた。

「アリサは、話すことができないんだ。だからこそ、いつも静かなんだよ」

 レオは少し驚いた表情を見せたが、

「それでも、彼女のことがもっと知りたいんだ。どうしたらいいと思う?」とアッシュに尋ねた。アッシュは面倒くささを感じつつも、レオに向かって友好的にアドバイスを投げかけた。

「じゃあ、直接アプローチしてみたら?アリサは筆談やジェスチャーでコミュニケーションを取るから、その方法でゆっくりと距離を縮めていけばいいんじゃないかな」

 「なるほどね、ありがとう!」

 とレオは元気よく答え、新しいアプローチについて考え始めた。

 レオは、その明るい金髪としっかりとした体格で、どこにいても目立つ存在だった。太陽のように輝く彼の髪は、彼の爽やかな性格を象徴しており、広い肩幅と筋肉質の腕は、騎士団員としての訓練の成果を物語っている。彼の明るい青い瞳は、話しかける人を引き込む魅力があり、その笑顔には誰もが心を奪われる。そんな魅力的なレオがアリサに興味を持っていることを知ったアッシュは、少しの間、彼の話に耳を傾けつつも、彼の人柄の良さに改めて気づかされた。

 アッシュが席を立ち、仕事に戻ろうとしたその瞬間、レオが爽やかな笑顔で声をかけてきた。

「アッシュ、今の助言ありがとうな」

 レオの声には、いつもの元気さとは少し違う、真剣さが感じられた。彼の明るい青い瞳が、感謝の気持ちをしっかりと伝えている。

 レオは笑顔を浮かべながら、アッシュに向かって軽く拳を差し出した。

「気にしないでくれ」

 そう言いながら、アッシュは自分の拳をレオの拳に軽く合わせた。

「ああ、本当にありがとう。そして、アリサとのこと、うまくいくようにがんばるよ!」

 とレオは力強く言い、アッシュに向かって笑顔を見せた。

 食事を終えたアッシュは、トレイを持って席を立った。食堂を出るとき、アッシュはふと、レオのように明るく人を引きつけるタイプではない自分自身について考えた。しかし、彼はすぐにそんな考えを振り払い、自分には自分の役割があると自己確認した。外の空気を深く吸い込み、アッシュは次に控える仕事に向けて、足取りを早めた。
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