「監査官兼執行官アッシュ・ノイマン」ーこの異世界はなにかがオカシイ

『むらさき』

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7 テンセイシャに関する報告書

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 報告者:アッシュ・ノイマン

 件名:ジャガンと『テンセイシャ』個人との関係性に関する調査報告

【報告内容】

 1. 調査の背景

 ジャガンの自決事件を受け、彼と『テンセイシャ』と呼ばれる謎の人物との間に何らかの関係があるのではないかという疑念が提起された。本調査は、この二者の関係性を解明し、今後の対応策の検討を目的とする。

 2. テンセイシャとは

『テンセイシャ』は、個人でありながら、多大な影響力を持つ人物とされる。奇跡の力に関して深い知識を有し、特定の個人にその力を目覚めさせることができると言われている。その手法や目的は不明であるが、テンセイシャの介入によって奇跡の力が目覚めた者たちは、しばしば制御不能な状態に陥ることがある。

 3. ジャガンとテンセイシャとの関係性

 ジャガンへの調査中、彼の奇跡の力について話題にした際、「制御が効いていない奇跡には、共通点がある。それは『テンセイシャ』によって目覚めさせられた奇跡」という仮説を提示した。この発言に対し、ジャガンは明らかに動揺を見せた。これは、ジャガンの奇跡がテンセイシャの介入によって引き起こされた可能性を示唆している。

 4. 考察

 ジャガンの動揺から、彼とテンセイシャとの間には何らかの接点が存在すると推測される。テンセイシャがジャガンに奇跡の力を目覚めさせたこと、そしてその力が制御不能になったことが、ジャガンの自決に至る精神的圧力の一因である可能性が高い。

 5. 結論と今後の提言

 ジャガンと『テンセイシャ』個人との関わりがあったことはほぼ確実である。テンセイシャによって奇跡の力を目覚めさせられた者たちの支援と、テンセイシャの捜索およびその目的の解明が急務である。また、奇跡の力に関する理解を深め、制御不能になる前に適切な助言や教育を提供することで、今後の同様の事件の予防が必要である。

 以上、報告とする。 


 アッシュは、報告書を丁寧に引き出しに収めた後、アリアナの足音がオフィスに近づくのを感じ取った。彼女がアッシュの作業スペースに到着すると、彼女の表情は、ジャガンの件についての重圧を物語っていた。

「アッシュ、ジャガンの悲劇について、あなたの見解を聞かせて。テンセイシャと彼の間に何か関係はあったの?」

 アリアナは直接的に問いかけた。

 アッシュは一瞬、考え込んだ後、静かに答えた。

「アリアナ様、私が調査した限りでは、ジャガンとテンセイシャの間に直接的な関係は見つかりませんでした。ジャガンに関わる多くの要素を検証しましたが、その二者の関連性について確証は得られなかったんです」

 アリアナはアッシュの言葉を静かに聞き入れ、

「そう、わかったわ。ジャガンの件は複雑で、簡単に解明できるものではないのは明らかね」と言った。

 アリアナの言葉には、アッシュの努力を理解し、彼の尽力を評価する深い敬意が込められていた。彼女はアッシュの肩を軽く叩き、

「アッシュ、あなたの冷静な判断と分析能力をこれからも頼りにしているわ」と励ました。

 アッシュはアリアナの言葉に心からの感謝を表し、

「ありがとうございます。ジャガンの件については結論が出せなかったことが心残りですが、今後はさらに慎重な調査を心がけます」と語った。

 ◇

 数日が過ぎ、アッシュはいつものように疲れた身体を引きずりながらアパートに帰宅した。彼の足取りは重く、その日一日の出来事が頭を巡っていた。しかし、彼のアパートの扉に近づくと、いつもとは異なる光景が目に飛び込んできた。扉の隙間からわずかに見える薄い紙片が、彼の注意を引いた。

 不審に思いながら、アッシュはその手紙を拾い上げた。封筒は無地で、外見からは送り主が誰であるかの手がかりは一切なかった。

 「親愛なるアッシュ・ノイマンへ」

 彼の名前が慎重に筆記されている以外、何も記載されていない。アッシュの直感は、手紙を開く前から既に早鐘を打ち始めていた。

 アパートの中に入り、アッシュは深呼吸をして封を切った。手紙の中には、細かく折りたたまれた一枚の紙が入っている。彼はゆっくりとそれを広げ、目を通し始めた。

 手紙の内容は衝撃的だった。

 そして、最後に書かれていた差出人は...「運び屋」だった。
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