途轍もなくしょうもない題名が多い短編集

イケオジ伯爵とヘタレ王子と悪役令嬢の三角関係

読み切り

　王国の端にある壮大な庭園で、イケオジ伯爵エドワード、ヘタレ王子アレクサンダー、そして悪役令嬢リリアナの三人は、運命の夜に集まった。リリアナの招待で、三角関係の糸が絡み合う。

　リリアナは、二人を見つめながら、自分の計画に満足していた。

（さて、今夜はどんな展開になるかしら？）

　彼女は心の中でつぶやいた。

　エドワードは、リリアナに近づき、優雅に一礼した。

「リリアナ様、今宵は美しさが一層際立っておられますね」

　リリアナは軽く微笑んだ。

「エドワード様、お褒めに預かり光栄です」

　その時、アレクサンダーが緊張しながら二人の間に入った。

「リリアナ、今夜は本当に美しいよ」

　リリアナは心の中で溜息をついた。彼女はアレクサンダーの純粋さに惹かれていたが、エドワードの魅力にも心を奪われていた。

　夜が深まるにつれ、三人は庭園を散策し、それぞれの想いを語り始めた。

　エドワードはリリアナに向かって真剣な表情で言った。

「リリアナ様、私の気持ちはお察しの通りです。しかし、アレクサンダーの純粋な愛情も見てきました。私は、あなたが幸せであればそれでいい」

　リリアナは驚いたが、エドワードの優しさに心が温まった。

　次に、アレクサンダーが勇気を出してリリアナに告白した。

「リリアナ、僕はずっと君のことを思っていた。君の笑顔、君の悲しみ、すべてを受け入れたい」

　リリアナはアレクサンダーの告白を聞いた後、一瞬の沈黙を破って微笑んだ。しかし、その微笑みの裏には、彼女がこれから二人に提示する無理難題が隠されていた。

「二人とも、私の心を動かすためには、もっと努力が必要ね。では、私の愛を手に入れるため、二つの試練を用意しました」

　エドワードとアレクサンダーは互いに顔を見合わせた後、リリアナに同意した。

「まず最初の試練は、禁断の森から珍しい薔薇「夜光花やこうばな」を摘んでくること。この花は一年に一度、今夜だけ咲くの。次に、世界の果てから「永遠とわの水」を汲んできて。この水は、飲む者に永遠の若さを与えると言われているわ」

　エドワードは冒険を楽しむかのような笑みを浮かべたが、アレクサンダーは苦悩の表情を隠せなかった。それでも二人はリリアナの愛を勝ち取るため、試練に挑むことを誓った。

　数日後、エドワードは禁断の森の深奥を冒険し、数多の困難を乗り越えて「夜光花」を手に入れた。一方、アレクサンダーは世界の果てへの旅を続け、ついに「永遠の水」を見つけ出した。

　二人がリリアナのもとへ戻ると、リリアナは彼らの努力を認め、微笑んだ。

「二人とも、よくやってくれたわ。でも、これらの試練を通して私が気づいたのは、本当に大切なのは物ではなく、心の中にある愛情と勇気よ」

　リリアナの言葉に、エドワードとアレクサンダーは深く考え込んだ。そして、彼らはリリアナに対する自分たちの愛が、試練を乗り越えることでさらに強くなったことを実感した。

　◇実は．．．

　エドワードとアレクサンダーは、リリアナが出した無理難題に直面し、深く考え込んだ。彼らは真心を込めてリリアナの愛を勝ち取ろうとしたが、禁断の森の「夜光花」や世界の果てからの「永遠の水」を手に入れることは、単純に勇気や愛だけでは不可能なことだと悟った。

　そこで二人は計画を練った。それは、リリアナの試練を受け入れたように見せかけつつ、実際にはイカサマをして彼女の試練をクリアしようというものだった。

　エドワードは、彼の古い友人である錬金術師に接触し、「夜光花」を思わせる造花を作ってもらった。一方、アレクサンダーは、旅する商人から「永遠の水」と称される美しい色水を手に入れた。この水は、実際には普通の井戸水に色を付けて光る粉をまぶした程度に過ぎなかったが、見た目には非常に特別なものに見えた。

　数日後、二人はリリアナの前に戻り、それぞれの「成功」を報告した。エドワードは「夜光花」を、アレクサンダーは「永遠の水」を手渡した。リリアナは、彼らが試練を乗り越えて持ち帰ったという物語に感動し、二人の愛と勇気を讃えた。

　しかし、リリアナは彼らの策略を見抜いていた。

　後日、リリアナは、エドワードとアレクサンダーがから受け取った「夜光花」と「永遠の水」を前にして、高笑いを始めた。

エドワードの古い友人である錬金術師と、旅する商人は、実はリリアナの家来だったのだ

　彼女は家来から手に取った金貨を輝かせながら、さらに大きく高笑いしていた。

「ただの造花と水が金貨に化けたｗｗｗ」

「頂き悪役令嬢リリアナーかぐや姫にインスパイアされてー」～完～