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前十字靭帯断裂なサッカー選手の彼氏が引退しようとしている
読み切り
しおりを挟む夏の終わりに、彼はピッチを去ることを決意した。
「俺、引退するよ」
彼の声は静かだったけれど、その言葉は彼女の心を強く揺さぶった。彼女にとって、彼はただのサッカー選手ではなかった。彼は夢を追いかける情熱そのもの、彼女の青春の一部だった。
彼らの出会いは高校のサッカー場で始まった。彼はピッチの上で輝いていた。彼女はスタンドから、その輝きに魅了された。試合後、彼女は初めて彼に声をかけた。その日から、彼らの日々は共に過ぎていった。
しかし、夢は時に残酷だ。大学3年生の春、彼は前十字靭帯を断裂する怪我を負った。彼女は病院のベッドで泣いている彼を初めて見た。彼の目には不安が溢れていたが、彼女は彼の手を握り、
「大丈夫、一緒に乗り越えよう」と言った。
リハビリは長く、厳しかった。サッカーに戻ることだけが彼の目標だった。彼女は、彼がまたピッチに立つ日を夢見て、その支えとなった。
しかし、怪我は彼の身体に深い影を落とした。復帰後も、かつてのようにはプレイできなかった。彼は自分自身との戦いに苦しんだ。彼女はそんな彼を支え続けたが、彼の心の中には変わらぬ決断があった。
「サッカーができない自分なんて…」
彼の言葉は途切れがちだった。彼女は、彼の苦悩を知りながらも、彼を愛し続けた。
「あなたがサッカーをする姿も、しない姿も、私は全部あなたを愛している」
夏の終わり、彼は引退を決意した。彼女は彼の決断を尊重し、二人で新しい未来を築くことを誓った。サッカーは彼らの出会いのきっかけだったが、彼らの絆はそれだけではなかった。困難を乗り越える度に、彼らの愛はより深くなった。
「これからは、二人で新しい夢を見つけよう」
彼女の言葉に、彼は初めて安堵の笑顔を見せた。彼らの物語は、サッカーのピッチを離れても、まだまだ続いていく。
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