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タイムカプセル
しおりを挟む雪絵は、スマートフォンに届いたメッセージを見つめていた。
「タイムカプセル覚えてる?」
と書かれた短いメッセージ。それは若菜からだった。雪絵はしばらく時が止まったように感じた。
高校生の頃、彼女たちは仲の良い男女5人組だった。青春の真っ只中で、将来の夢や秘密を詰め込んだタイムカプセルを若菜の実家の庭に埋めたのだ。あれから30年以上が経ち、雪絵は50歳になり、子供も成人して、浮気性の夫と別れた。たくさんの出来事があった。
しかし、タイムカプセルのことは忘れていなかった。むしろ、心の奥底に深く刻まれた思い出として残っていた。
「久しぶりに会わない?」
という若菜の次のメッセージに、雪絵は少し躊躇しながらも
「うん」
と返信した。彼女の心には、過去の記憶と共に淡い期待と不安が交錯していた。
数日後、雪絵は若菜の実家を訪れた。若菜の家は昔と変わらず、懐かしい匂いが漂っていた。庭に出ると、かつての友人たちも集まっていた。健二、直樹、そして美和。皆、それぞれの人生を歩んできたが、再会の喜びが彼らの間に溢れていた。
若菜がスコップを手に取り、
「ここだったよね」
と微笑みながら言った。皆で掘り返すと、錆びた金属の箱が現れた。開けると、中には一人一人の手紙や小さな思い出の品々が入っていた。
雪絵は自分の手紙を手に取り、封を開けた。そこには、当時の自分が書いた夢や希望が綴られていた。しかし、手紙の最後には「直樹へ」という一文があった。雪絵の心臓が高鳴る。直樹はその頃、雪絵にとって特別な存在だった。けれども、その想いを告白することなく時が過ぎてしまったのだ。
直樹も自分の手紙を読んでいた。ふと顔を上げた彼と雪絵の目が合った。彼の目には、何か言いたげな表情が浮かんでいた。
「直樹、あの頃のこと覚えてる?」
雪絵は勇気を出して尋ねた。
直樹は少し照れくさそうに笑い、
「もちろん覚えてるよ。あの時、僕も君に伝えたいことがあったんだ」
と言った。
彼の言葉に、雪絵の胸がいっぱいになった。
「どうして言わなかったの?」
「勇気がなかったんだ。君のことが大切すぎて、友達としての関係を壊すのが怖かったんだ」
と直樹は答えた。
二人はしばらく黙って、お互いの気持ちを確かめ合った。その瞬間、過去の痛みや後悔が和らぎ、温かい感情が彼らの間に流れた。
「これからは、お互いの気持ちを大切にしよう」
と直樹は優しく言った。
雪絵は涙をこらえながら頷いた。タイムカプセルが彼らを再び繋げたのだ。過去の思い出と共に、新たな未来が始まる予感がした。
再会の夕暮れ、彼らは高校時代のように笑い合い、昔話に花を咲かせた。雪絵は、自分の心が若返ったように感じた。そして、未来への希望を胸に抱きながら、仲間たちと共に新たな一歩を踏み出したのだった。
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