「ライ麦畑で彼女は笑った」ー短編集

『むらさき』

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イケおじに出会う

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 早乙女祥子は、都内の古びたマンションの一室で義母と二人の義姉と暮らしていた。母親が亡くなり、父親が再婚した相手は冷酷で、彼女に家事全般を押し付けるだけでなく、義姉たちとともに祥子を虐げた。父親は仕事で多忙を極めており、家の状況を知らないまま、再び遠方の仕事に出向いていた。

 祥子は高校を卒業してから、大学に通うことを諦めざるを得なかった。家計を支えるため、昼間はカフェでアルバイトをし、夜は銀座のクラブで働いていた。クラブでは、ホステスとして多くの客に接するうちに、彼女の美しさと純真な心が評判となり、常連客の一人から「パパ活」の話が持ちかけられた。

 初めは嫌悪感を抱いた祥子だったが、義母と義姉たちの圧力に耐えきれず、仕方なく承諾した。ある日、クラブで知り合った男性とのデートに向かう途中、彼女は偶然にも古くからの知り合いである小山田義弘と再会する。義弘は父親の友人で、会社の役員を務める年配の紳士だった。

「祥子ちゃん、久しぶりだね。最近どうしているんだい?」

「小山田さん…久しぶりです。実は、いろいろあって…」

 祥子は泣きそうな顔で答えた。その表情を見た義弘は心配そうに眉をひそめ、彼女の話を聞くことにした。カフェで話をするうちに、祥子の境遇を知った義弘は、彼女に手を差し伸べることを決意した。

「そんな辛い思いをしていたなんて…もし良ければ、うちの会社で働いてみないか?」

 祥子は驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりながらも、すぐに答えられなかった。義弘の真摯な眼差しに、彼女は初めて希望を見出したのだった。

 数週間後、祥子は義弘の紹介で彼の会社に就職し、徐々に職場での評価を高めていった。義弘の支えと指導の下で、祥子は自分の能力を存分に発揮し、仕事にも自信を持つようになった。義母と義姉たちからの干渉も少なくなり、次第に自立した生活を送るようになった。

 そんなある日、会社のパーティーで祥子は再び義弘と会話を交わす機会を得た。

「祥子ちゃん、君の努力は本当に素晴らしい。私は君のことを誇りに思うよ」

「小山田さん、すべてあなたのおかげです。本当にありがとうございます」

 祥子は感謝の気持ちを伝えると、義弘は微笑みながら彼女の手を取った。

「実は、私は君にずっと伝えたいことがあったんだ。君が幸せになれるように、これからもずっと側にいたい。もし良ければ、私と結婚してほしい」

 祥子は驚きと感動で涙を流した。義弘の誠実な気持ちに触れ、彼のプロポーズを受け入れることに決めたのだ。

 その後、祥子と義弘は幸せな結婚生活を送り、彼女は義母や義姉たちの束縛から完全に解放された。真実の愛と支え合いの中で、祥子はついに自分の夢を実現し、幸せな日々を過ごすことができるようになったのだった。
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