着いたところは異世界でした。

千野恵

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第二章  魔法使いイチロー

20.リバイアさん

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20.リバイアさん

「まったく。勿体つけおって。よし。腹をくくったならさっさとお聞きしたいことをお聞きせんか」

俺は勿体はつけてない!と言いたいところだけど。
ちょっと勿体つけちゃったかな。

うん。
さっさと聞きたいことを聞こう。

「お聞きしたいことは三つです。

一つ目はお気づきかもしれませんが、俺の体がこの世界に来る前の常とは違っていることです。力が、というか筋力が異常にあるということと、オウラが尋常じゃなくあることについて。

二つ目は、知らない自分がいる、というか、知らないことなのに知っている自分がいることについて。

三つめは、先ほどの地球についてです。極地転移で地上が大変なことになって時間軸がずれていたりしたといわれましたが、その後おれの知人や友人とかどうなったか、ということです」

そう。俺がずっと気になっていたこと。

自分についてききたいのが一番なんだけど、親友の動向もずっと知りたかったのだ。
あの時は関東地震だと思っていたから、もしかして生きているんじゃないかと思ったけど、極地転移による地球規模の大震災だったら、無事ではすんでいないのかもしれない、と思って。

三百年前とか言われてもピンとこないけれど、そんなに時間がたっていたら今はもう生きてはいないだろうけれども、その後があったら知りたい。

『そう。まず一つ目からですね。実は二つ目と根源的には同じなのですよ。
貴方はこの世界に来るときにどのように来られましたか?』

え。どのようにって。地面が割れて、その中に吸い込まれるように落ちて、白い世界にしばらくいて、それで・・・どうなった?

なんか衝撃が来たんだった。背中になんか当たってすごい痛みが来たんだった。

「白い世界で漂っていて、背中に衝撃が来て、死ぬかと思うくらいの痛みがあったことは覚えていますが、ほかには何も。」

俺がそう答えると、女神が頷いて言った。


『それは、貴方と次元を漂うリヴァイアサンが衝突のはずみで融合したからなのです。』

は?リバイアさん?

なんだそれ?それって聞いたことがあるような気もするけど、よくわからん。

そんで融合とか、オカルトじゃないんですけど~。

『本来ならば質量の違い過ぎるもの同士が衝突したら、片方は圧死するか吸収され飲み込まれるかします。現に過去そういうことがあったのですから。しかし貴方は圧死することなく、なぜかリバイアサンをして飲み込むという、奇妙な現象が起こったのです。』

俺が、リバイアさんを、吸収?

『しかし、リバイアサンを吸収したものの、貴方の体には多少の変化があっただけで、筋力が多少増えたくらいだったでしょう。』

いや、結構な筋力でしたよ。生活する中でどんだけ気をつかったか。凄いなリバイアさん。
ってか、さっきから融合とか吸収ってなんだよ!
ああああっ、話についてけないよ~!

『さらに奇妙なことは、意識も体と同様に融合したのですが、意識もあなたが表面に出ていることです。これは、リバイアサンが進んでそうとしたとしかありえない現象です。』

・・・どういうこと?

『けれども、あなたとリバイアサンは融合しているわけですから、人間には通常なら持ちえない知識、知力、魔力オウラがあなたにあるはずなのですが、そういったことはなかったですか?』

あるよ!知らない自分が怖い、ってか不安だったよ。
ファンに俺自身が知らないはずの知識を披露しちゃった事があったんだから。

『もっとも、百分の一も生かしきれていないようですが。』

・・・・・・。

はい~?



『次は三つ目ですね。
貴方の友人の名前とどこにいたのかがわかれば、ある程度は答えられますよ。』


え、いや、その前にリバイアさんってだれだ?





      ~~~~  ~~~~  ~~~~  ~~~~  ~~~~




   
ここで女神が言っているリバイアサンは、キリスト教の旧約聖書にあるリバイアサンとは多少異なります。
なんせこれはパラレルワールドの異世界のことですから。

ちなみに旧約聖書の解説は以下に転載してみました。


リバイアサン
世界大百科事典 第2版の解説
《ヨブ記》(41:1~34)に記された水棲の巨大な幻獣。レビヤタンともいう。堅いうろこと恐ろしい歯をもち,目は光り口からは火花を発し,鼻からは煙を出し息は炎のようで,その通った跡には強い脂が残るとある。1年ごとに死んで新しく生まれ変わる。ワニか巨大な蛇または鯨とも想像され,聖書に語られる陸の怪獣ビヒモスと対をなす巨獣である。一説には,地球を背負っている大魚で,最後の審判には救世主が捕らえて,聖なる人の食物にされるといわれる。
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