雨、シトシト

コンラン

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雨、シトシト

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シトシト、雨が降っている、静かな雨だ。
こんな日にしか、僕はでてくることはできない、大雨でもダメ、ザァーーー。
小雨でもダメ、ポツポツ、そうシトシトしかでてこれない。

 あるマンション、ベランダの窓越しに、僕は見てた。
たまに僕のこと見える人間もいて、妖精さんとか小さな神様とか呼ぶ人もいるけど、
この男の人と女の人はどうだろ?

 僕のこと見えるだろうか?まあ期待しても仕方ない、ほとんどの人間は、僕のことは見えないんだ。
 昔はよかったな、ほとんどの人間は僕のこと見えてた。
そして話もできたし、寂しくもなかった。
でもいまじゃ、僕のこと見える人ほとんどいない。

 この窓越しに見える男女、人間がいうところのカップルってやつだろうか。
なんか揉めてるみたいだな。これだから人間てやつは、やだやだ。
昔、僕のこと見える人間たちは、よかったな。
みんな優しいし、みんな笑ってた。

 ぼくのこと崇めてるって感じでもないし、良き隣人って感じだったし.......

昔に戻りたいよ........

 でも暇だしちょっとこのカップル、いたずらしてやろう。
まあどうせ気づかないだろうし。
 ベランダの窓をすり抜け、部屋に入る、ニーエルディーケーっていうやつだろうか。
なんかよくわからないけど。

 ぼくはこれでも一応、水の精だから、水を操作できるんだ。
よしそこの机にある、水の入ったコップを倒してやれ。

そーれ、カコン。
水が動いて重心が変わりコップが倒れ、水がこぼれた。

 急に、突然コップが倒れ驚く、カップル。

喧嘩してた熱も冷めて、「なんで?」 「風でも吹いたのか?」 とか不思議に思いながら、

机を拭く二人、ちょうど目が合う男女、なぜか笑いだした。

 うん?何で笑うんだ。怖がれ。
くっそーーー怖がれよ!!

地団駄をふむ、僕。

ふん、まあいい、またきてやるから、こんどは怖がらせてやる絶対。



 それから何日ぐらいったったんだろう、3日、それとも1週間、1か月か、わからないけど
またシトシト、雨が降り出した。

 よし、こんどこそ怖がらせてやる。
僕は意気込んで、まずは二人の様子を見てた。
うーん今日は何かぴったりくっついてるなこの二人、なんだつまらないな。

 なんかテレビっていうのかこの薄いおおきな板に映った、映像?ってもの見てる。
ふーんどれどれこれがテレビか、ふむ、あはは、えっ、なるほど、うーん.....

 気が済んだのかテレビを消して、外に出かけるカップル。
なんていうか、おもしろ...じゃない、とても興味深いな。
実に。はあーもう一度見たいな。




 それからまた何日たっただろうか。
シトシト、雨が降ってきた。

 僕は、またあのカップルのことみてた、なんでここまでこの二人に執着するかわからないけど。

きょうは微妙な距離感だな。ぴったりひっつくでもなく、離れてるでもない。
何かあったのだろうか?

 よし、またいたずらしてやれ。
うーんと、お、テーブルに花瓶かざってあるな、これ倒してやれ。

 そぉーれ、ガタンゴロン、花瓶が倒れる。

水がぼとぼとテーブルからも流れ落ちる。
 あれ、ふたりとも反応しない、なんだかそれどころか喧嘩が始まった。

うーん、なんだか僕は悲しくなった。
ごめんなさい、お父さん、お母さん、そんなつもりじゃなかったのに。

 うん?お父さん、お母さん? ????。
なんのことだろう?僕は混乱した。

 そして、二人はずっと喧嘩している。
それをみてたら、なんだかまた悲しくなった。

もう見たくなかったのでそっとその場から消えた。


 



 それから何日、何週間たったのだろうか?
シトシト、雨が降ってきた。

 きょうはどうだろうか、おそるおそるカップルを見る。
きょうはぴったりくっついているな、ふぅーよかった。

 なんだかほっとしている自分がいた。
なんでほっとしている自分がいるんだろうか?

 だって僕の居場所なくなっちゃうじゃないか。
うーんなんのことだろ?

また僕は混乱した。

 けれど、僕はうれしくなってふたりのまわりをくるくるまわっていた。

くるくるまわりながらおどってると、女の人のおなか当たりが光っている。

 なんだろ?ぼくはずっとみていた。きれいだな。

そうおもうとなんだか、引き込まれるように、光に吸い込まれた。



 それから、僕は、なんだかあったかい場所にずっといた。

とても心地よく、そとからもなんだかやさしい声が聞こえるような気がした。

 きっとこんどは雨が降るときは、しとしと、雨が降りそうだ。

すこしだけ、世界がやさしく思えた。

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