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美鈴編
一月
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うちは小さいといえる規模の神社でありますが、町内会と密接に関りがあるため、年末年始だけ参拝に来られる方も結構おられます。
なので、大忙しのてんてこ舞いとなってしまいます。
普段は社務所で事務作業をしたり、行事の段取りをしている翔太も販売員として駆り出されてしまっています。
えーと、去年の夏にいろいろあって、翔太とは今は結婚を前提にお付き合いしています。えへへ。
三が日の間は、翔太と話をする暇もありません。夜になると私は交代で仕事から外れるんですが、翔太はお賽銭の集計とか、夜遅くまで仕事があります。食事も正月だというのに、簡単に食べられるものばかりです。
翔太のご両親はご実家の方に向かわれているそうで、翔太もここの仕事に就く前は行っていたそうですが、この仕事になってからは年末年始は別行動になっているそうなんです。それなら、せめて三が日が終わったら、うちのおせち料理を食べさせてあげたいなと、思った次第です。
半分くらいは買ってきたものを切るだけとか、お取り寄せの物なんだけど、黒豆になますと筑前煮は必ず作っています。去年まではわたしはお手伝いはしていたんだけど、作る主体はお母さん。でも、今年は筑前煮を一から作りたかった。
「翔太くん、昔から煮物好きだもんね」
うー、お母さんにはお見通しなのよね。
手伝いはずっとしていたから、材料は問題なし。切るのも問題なし。調味料も問題なし。だから、チョロいとは言わないけど、そんなに大変なことはないはずなんだけど、出来たのはなんか味が違う。
「邪念が残っておる。その邪念を完全に捨て去ることができたとき、真の筑前煮が」
「お母さん、漫画の読みすぎ。だいたい真の筑前煮ってなによ」
「あなたが落としたのは、金の筑前煮ですか? 銀の筑前煮ですか? それとも鉄の筑前煮ですか?」
「普通のはないの?」
「中国四千年前の筑前煮」
「前ってもう化石じゃん」
「中国にはツッコんでくれないんだ」
とかなんとかやってたもんだから、すっかり遅くなっちゃった。お母さんはわたしにかまいながら、黒豆となますをきっちり作ってるんだから、主婦業キャリアの差よね。
それで、ちゃんと筑前煮ができたかどうかと言われれば、自分で味見したのはまあまあいい出来だと思うんだけど。
でも、翔太がうちに来たことは何度かあるけど、正月に呼ぶのは初めて。ちょっと緊張するなあ。
三日でも翔太はまだ忙しくて、来たのは結構夜も更けてから。お父さんも宮司だから毎日忙しいのは変わらないけど、もうお酒飲んでるし。
「お邪魔します」
「おう、邪魔邪魔。帰れ帰れ」
「お父さん。そんな新喜劇みたいなベタなことを」
「もう飲んでるんですか」
「一応三日が解禁日だからね。早速よ。さ、翔太も座って」
お母さんが翔太の取り皿に取った中には筑前煮もあって、翔太が筑前煮を食べたときにはどうしても気になって聞かずにはいられなかった。
「おいしい?」
でも、聞いてしまってから思ったけど、ここでおいしくないと言えるわけないわよね。でも、おいしいと言ってくれた翔太の表情は普通のままで、お世辞とかはないと思えた。よかった。
「翔太のために一生懸命につくったのじゃからな」
「お父さん、やめてよ」
ええい、この酔っ払い不良宮司があ!
なので、大忙しのてんてこ舞いとなってしまいます。
普段は社務所で事務作業をしたり、行事の段取りをしている翔太も販売員として駆り出されてしまっています。
えーと、去年の夏にいろいろあって、翔太とは今は結婚を前提にお付き合いしています。えへへ。
三が日の間は、翔太と話をする暇もありません。夜になると私は交代で仕事から外れるんですが、翔太はお賽銭の集計とか、夜遅くまで仕事があります。食事も正月だというのに、簡単に食べられるものばかりです。
翔太のご両親はご実家の方に向かわれているそうで、翔太もここの仕事に就く前は行っていたそうですが、この仕事になってからは年末年始は別行動になっているそうなんです。それなら、せめて三が日が終わったら、うちのおせち料理を食べさせてあげたいなと、思った次第です。
半分くらいは買ってきたものを切るだけとか、お取り寄せの物なんだけど、黒豆になますと筑前煮は必ず作っています。去年まではわたしはお手伝いはしていたんだけど、作る主体はお母さん。でも、今年は筑前煮を一から作りたかった。
「翔太くん、昔から煮物好きだもんね」
うー、お母さんにはお見通しなのよね。
手伝いはずっとしていたから、材料は問題なし。切るのも問題なし。調味料も問題なし。だから、チョロいとは言わないけど、そんなに大変なことはないはずなんだけど、出来たのはなんか味が違う。
「邪念が残っておる。その邪念を完全に捨て去ることができたとき、真の筑前煮が」
「お母さん、漫画の読みすぎ。だいたい真の筑前煮ってなによ」
「あなたが落としたのは、金の筑前煮ですか? 銀の筑前煮ですか? それとも鉄の筑前煮ですか?」
「普通のはないの?」
「中国四千年前の筑前煮」
「前ってもう化石じゃん」
「中国にはツッコんでくれないんだ」
とかなんとかやってたもんだから、すっかり遅くなっちゃった。お母さんはわたしにかまいながら、黒豆となますをきっちり作ってるんだから、主婦業キャリアの差よね。
それで、ちゃんと筑前煮ができたかどうかと言われれば、自分で味見したのはまあまあいい出来だと思うんだけど。
でも、翔太がうちに来たことは何度かあるけど、正月に呼ぶのは初めて。ちょっと緊張するなあ。
三日でも翔太はまだ忙しくて、来たのは結構夜も更けてから。お父さんも宮司だから毎日忙しいのは変わらないけど、もうお酒飲んでるし。
「お邪魔します」
「おう、邪魔邪魔。帰れ帰れ」
「お父さん。そんな新喜劇みたいなベタなことを」
「もう飲んでるんですか」
「一応三日が解禁日だからね。早速よ。さ、翔太も座って」
お母さんが翔太の取り皿に取った中には筑前煮もあって、翔太が筑前煮を食べたときにはどうしても気になって聞かずにはいられなかった。
「おいしい?」
でも、聞いてしまってから思ったけど、ここでおいしくないと言えるわけないわよね。でも、おいしいと言ってくれた翔太の表情は普通のままで、お世辞とかはないと思えた。よかった。
「翔太のために一生懸命につくったのじゃからな」
「お父さん、やめてよ」
ええい、この酔っ払い不良宮司があ!
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