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美鈴編
十月
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十月になってもまだ暑い日が続きますね。
「ほらー、頑張ってねー」
翔太が走ってます。うーん、そんなに悪いフォームでもないんだけど、やっぱり普段から運動とかしてないから、長時間は無理か。
町内の運動会は結構昔からやっているそうで、参加率も高くて、今年も結構盛況になりそう。翔太はお父さんから参加を強制…じゃなくて、非常に大きな期待の元、強い要望を受けて、競技の方にも参加することになったとか。
ま、あたしはあたしで準備することがあるから、こつこつと、と言うか、ちくちくと、ね。
さて、運動会当日。いい天気に恵まれました。あたしは午後一番に出番があるからね。準備オッケー。
「なんで巫女装束?」
「仮装リレーよ」
号砲一発、スタートしたのはいいんだけど…、あらら、仮装リレーとはいえ、遅れたわね。うちのグループ。
「ごめん、お願い」
「まあかせてぇ」
そのために巫女装束を改造したんだから。まあ、足元はさすがにシューズを履いてるけど、そっちもカラーリングはちょっとそれっぽく変えてる。
とはいえ、さすがに本当に全力で走れる格好じゃないし、距離も短いから、前に追い付くのがぎりぎり。
バトンを渡したときにはまだ最下位ではあったけど、差はほとんどないところまで追いつけて、最終的に結果は二着。ま、面白くなったからよしということで。
小さい頃から走るのは得意で、小中学校の徒競走ならいつも一着か二着だった。今でも走ることは好きで、ウェアはちょっと凝った物を持ってるの。
今回の運動会で翔太もあたしが足が速いって初めて知ったんでしょうね。学区が違うから、見たことなんてなかっただろうし。「見たい?」って聞いたら、いかにも見たそうな顔をしてたから、それじゃということで、後日デートでウェア姿をお披露目したら、ちょっと残念そうな顔してた。
もっと露出度の高い、普通のジョギングウェアとか想像してたんだろね。
まあ一応デートだから、走り回ってるだけじゃないけど、いつもと違う感じでちょっと張り切りすぎちゃったみたい。うちに二人で帰ってきて、シャワーを浴びてから、あたしは上下スウェットに着替えてリビングで話をしてたんだけど、いい具合に疲れてたのかな。いつの間にかソファに座ったままで寝ちゃってた。
「美鈴、こんな所で寝てたら風邪ひくよ」
「うーん…」
肩を揺さぶられて、目を開いたら、翔太の顔が見えた。
なんか、すごく眠たくて、ふわっとした気分で、翔太に甘えたくなっちゃって。思わず両手を伸ばしてこんな事を口走ってた。
「翔太…、だっこ」
「ふふ。なーに言って…」
翔太は苦笑いしながら、あたしが伸ばした手を取って、立ち上がらせようとでもしたのかな。でも、いたずらのつもりで手をちょっと引いたら、バランスを崩したらしくて、あたしに覆いかぶさるように倒れてきた。
翔太は頭がぶつからないように手で支えたんだけど、顔が本当に直前にまで近づいてた。
ちょっとした間があって。
「美鈴…」
そのままキスして…、すごくいい雰囲気。あたしの腕も翔太を抱きしめていた。
今日はお父さんもお母さんも帰ってくるのは夜遅く。後から考えたら、家の中でなんて大胆だったかなと思った…。けど。
だけど…、翔太とだって初めてなんかじゃないけど、こんなにも幸せな気持ちになれるなんて。
快楽とかそういうのは別にして、今まで感じたことのない、一番幸せな気持ちだった。
「ほらー、頑張ってねー」
翔太が走ってます。うーん、そんなに悪いフォームでもないんだけど、やっぱり普段から運動とかしてないから、長時間は無理か。
町内の運動会は結構昔からやっているそうで、参加率も高くて、今年も結構盛況になりそう。翔太はお父さんから参加を強制…じゃなくて、非常に大きな期待の元、強い要望を受けて、競技の方にも参加することになったとか。
ま、あたしはあたしで準備することがあるから、こつこつと、と言うか、ちくちくと、ね。
さて、運動会当日。いい天気に恵まれました。あたしは午後一番に出番があるからね。準備オッケー。
「なんで巫女装束?」
「仮装リレーよ」
号砲一発、スタートしたのはいいんだけど…、あらら、仮装リレーとはいえ、遅れたわね。うちのグループ。
「ごめん、お願い」
「まあかせてぇ」
そのために巫女装束を改造したんだから。まあ、足元はさすがにシューズを履いてるけど、そっちもカラーリングはちょっとそれっぽく変えてる。
とはいえ、さすがに本当に全力で走れる格好じゃないし、距離も短いから、前に追い付くのがぎりぎり。
バトンを渡したときにはまだ最下位ではあったけど、差はほとんどないところまで追いつけて、最終的に結果は二着。ま、面白くなったからよしということで。
小さい頃から走るのは得意で、小中学校の徒競走ならいつも一着か二着だった。今でも走ることは好きで、ウェアはちょっと凝った物を持ってるの。
今回の運動会で翔太もあたしが足が速いって初めて知ったんでしょうね。学区が違うから、見たことなんてなかっただろうし。「見たい?」って聞いたら、いかにも見たそうな顔をしてたから、それじゃということで、後日デートでウェア姿をお披露目したら、ちょっと残念そうな顔してた。
もっと露出度の高い、普通のジョギングウェアとか想像してたんだろね。
まあ一応デートだから、走り回ってるだけじゃないけど、いつもと違う感じでちょっと張り切りすぎちゃったみたい。うちに二人で帰ってきて、シャワーを浴びてから、あたしは上下スウェットに着替えてリビングで話をしてたんだけど、いい具合に疲れてたのかな。いつの間にかソファに座ったままで寝ちゃってた。
「美鈴、こんな所で寝てたら風邪ひくよ」
「うーん…」
肩を揺さぶられて、目を開いたら、翔太の顔が見えた。
なんか、すごく眠たくて、ふわっとした気分で、翔太に甘えたくなっちゃって。思わず両手を伸ばしてこんな事を口走ってた。
「翔太…、だっこ」
「ふふ。なーに言って…」
翔太は苦笑いしながら、あたしが伸ばした手を取って、立ち上がらせようとでもしたのかな。でも、いたずらのつもりで手をちょっと引いたら、バランスを崩したらしくて、あたしに覆いかぶさるように倒れてきた。
翔太は頭がぶつからないように手で支えたんだけど、顔が本当に直前にまで近づいてた。
ちょっとした間があって。
「美鈴…」
そのままキスして…、すごくいい雰囲気。あたしの腕も翔太を抱きしめていた。
今日はお父さんもお母さんも帰ってくるのは夜遅く。後から考えたら、家の中でなんて大胆だったかなと思った…。けど。
だけど…、翔太とだって初めてなんかじゃないけど、こんなにも幸せな気持ちになれるなんて。
快楽とかそういうのは別にして、今まで感じたことのない、一番幸せな気持ちだった。
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